シリケンイモリの体から皮がめくれているのを見て、不安になったことはありませんか?
実はそれ、多くの場合は健康な証拠である「脱皮」です。
この記事では、脱皮の仕組みから皮を食べる理由、注意すべき異常との見分け方まで、飼育初心者にも分かりやすく解説します。
シリケンイモリは脱皮するの?

脱皮は自然な生理現象
シリケンイモリは、定期的に古い皮膚を脱ぎ捨てる「脱皮」を行います。
これは爬虫類だけでなく、イモリなどの両生類にも共通する自然な生理現象です。
脱皮の目的は、皮膚の再生や汚れ・寄生虫の除去。
乾いた皮が落ちるというより、ぬるっとした薄い皮がはがれるような形で進みます。
見慣れないと病気に見えることもありますが、健康な個体でも普通に起こる行動なので心配はいりません。
見た目の変化と気づき方
シリケンイモリの脱皮は気づきにくいこともありますが、前後にはいくつか共通した変化が見られます。
脱皮前は体色がくすみ、ツヤや透明感が失われたように見えることがあります。
皮膚がゆるく浮き、動きに合わせて薄皮がめくれ始めるのも特徴です。
また、手足を体の下にたたんで動かなくなったり、目を閉じたまま静止する姿勢を取る個体もいます。
この状態で体表が白っぽく見える場合、短時間のうちに脱皮が始まることが多いです。
脱皮後の皮は自分で食べてしまうため、水槽内に痕跡が残らないケースも珍しくありません。
脱皮後の皮膚を食べる理由
シリケンイモリは、脱ぎ捨てた皮膚を自らの口でくわえて食べてしまうことがあります。
初めて目にした飼育者にとっては、「えっ!? 自分の皮を食べてる!?」と驚く行動かもしれません。
実はこれ、イモリにとってはごく自然で合理的な行動です。
その理由は主に以下の2つに集約されます。
栄養の再利用
ひとつは栄養の再利用です。
脱皮した皮膚には、まだ多少のタンパク質や微量元素が含まれており、それを無駄にせず自分の栄養源にしているのです。
特に自然下では餌がいつでも豊富とは限らないため、こうした再利用の仕組みは生存戦略のひとつでもあります。
外的への痕跡を残さない
もうひとつは外敵への痕跡を残さないためです。
脱いだ皮膚を放置しておくと、「ここにイモリがいるよ」と敵に知らせる手がかりになってしまう可能性があります。
それを避けるために、自分の痕跡をきれいに“処理”してしまうわけですね。
このように、ちょっと変わった行動にもちゃんとした意味があるというわけです。
他の両爬類の脱皮との比較(ヘビ・カエル・ウーパールーパー)
シリケンイモリの脱皮を理解するうえで、他の両生類や爬虫類と比べてみると違いがよく見えてきます。
蛇の脱皮
まず、ヘビの脱皮はとても特徴的で、一気にズルっと全身の皮を裏返すように脱ぐのがポイントです。
しかもその皮はそのままの形で残ることが多く、観察しやすい反面、目立ちます。
これは乾燥地帯での生活に適応した結果とも言われています。
カエルの脱皮
一方でシリケンイモリと同じく両生類に属するカエルのような両生類は、皮膚が薄く湿っているため、少しずつめくれるような脱皮が一般的です。
その上、自分で食べてしまうことが多いので、脱皮の痕跡はすぐに消えてしまいます。
アマガエルの脱皮については以下の記事で詳しく解説していますので参照してください。

ウーパールーパーの脱皮
また、こちらも両生類の仲間であるウーパールーパーの脱皮は、脱皮というよりも表皮が少しずつ更新されていくような印象です。
皮膚が一部はがれて見えることがありますが、脱皮として明確な「イベント」のように観察されることは少なく、より目立ちにくいタイプの皮膚更新と言えます。
(人間でいうところの垢落としに似てます)
なぜ脱皮するの?

皮膚の老化と再生のため
シリケンイモリが脱皮する最も基本的な理由は、古くなった皮膚を新しい皮膚に入れ替えるためです。
人間で言えば、日々垢が落ちていくようなものですが、イモリの場合はそれを「一枚の皮ごと」まとめて脱ぎ捨てるスタイル。
イモリの皮膚は常に水分を含んでいて繊細な構造をしています。
そのため老化や劣化が進むと、感染症や水質の悪化にもつながりやすくなってしまうのです。
定期的に皮膚を脱ぎ捨てることで、常に新しく健康的な状態を保とうとする仕組みなんですね。
成長期のサイズアップに伴う脱皮
シリケンイモリは、特に幼体〜若齢期にかけて急速に成長します。
この成長に伴って体のサイズが大きくなると、当然それまでの皮膚ではサイズが合わなくなってくるわけです。
このとき、新しい皮膚が内側で作られ、古い皮膚を押し出すようにして脱皮が行われるのです。
ちょうど人が小さくなった服を脱ぎ捨てるようなもので、これもまた生理的に自然な流れといえるでしょう。
成長期のイモリは、短い間隔で頻繁に脱皮する傾向があります。
逆に成長が落ち着いた成体になると、脱皮の間隔はやや長くなっていきます。
寄生虫や汚れを落とすための脱皮も
シリケンイモリの脱皮には、皮膚の表面に付着した寄生虫や細菌、汚れを取り除くという役割もあります。
水中や湿った環境で暮らす両生類は、どうしても微生物や病原菌に触れる機会が多くなりがちです。
そういった微小な異物が皮膚表面に溜まりすぎると、炎症や感染症のリスクが高まってしまうことがあります。
脱皮によって皮膚を一度“リセット”することで、清潔さと健康を保っているのです。
特に自然界では、寄生虫が皮膚に付着するケースも珍しくありません。
脱皮によってそうした外敵ごと古い皮をまるごと剥がし取ってしまうのは、非常に効率の良い自己防衛策といえます。
シリケンイモリの脱皮の頻度はどれくらい?
成体と幼体で異なる周期
シリケンイモリの脱皮頻度は、年齢や成長段階によって大きく異なります。
とくに成長期の幼体や若齢個体では、数日〜1週間に1回ほどのペースで脱皮することがあります。
これは、体のサイズがどんどん大きくなっていくため、皮膚が追いつかず頻繁に入れ替わる必要があるからです。
一方で、成体になって体の成長が落ち着くと、脱皮の間隔も長くなります。
個体差もありますが、2〜3週間に1度程度、場合によっては月に1回あるかないか、というくらいになることも珍しくありません。
このように、年齢や発育の段階によって脱皮頻度は変わるという点は、飼育中の観察の目安にもなります。
環境による差(気温・湿度・水質など)
脱皮の頻度やスムーズさには、飼育環境のコンディションも深く関係しています。
とくに影響が大きいのが、気温・湿度・水質といった要素です。
気温
まず気温が低すぎると代謝が落ちてしまい、皮膚の再生も遅れがちになります。
逆に高温すぎると今度はストレスや脱水につながり、やはりスムーズな脱皮ができなくなるリスクがあります。
湿度や水質
次に湿度や水質が悪いと、皮膚がうまくふやけずに脱皮不全を引き起こす可能性もあります。
特に乾燥しがちな冬場や、水換えの頻度が少ない場合は要注意です。
このように、飼育環境が整っていれば、自然なペースで無理なく脱皮してくれるのがシリケンイモリの特長。
逆に環境が乱れていると、脱皮の間隔が極端に空いたり、うまく剥がれないまま残ることもあるため、日々の観察とケアが大切です。
🟨コラム:脱皮すると金箔はどうなるの?

沖縄産のシリケンイモリといえば、体表にキラッと光る「金箔模様」が特徴的。

あの美しい金色の斑点や線、脱皮したら一緒に剥がれちゃうんじゃない?と心配になる方もいるかもしれません。
でも安心してください。
脱皮してもシリケンイモリの金箔は消えません。

実はこの金箔模様、皮膚の表面にペイントされているわけではなく、皮膚の奥にある色素細胞の構造によって生まれている模様なんです。
だから一枚皮を脱いでも、その下にちゃんと“次の金箔”がスタンバイしているというわけ。
脱皮直後は若干ツヤが抑えめに見えることもありますが、時間がたつとまたピカッと光沢が戻ってきます。
金箔持ちのシリケンイモリにとって、脱皮はむしろ新品の金ピカをお披露目する儀式なのかもしれませんね。
注意すべき「脱皮不全」とは?
皮膚が一部残ってしまう症状
シリケンイモリの脱皮は基本的にスムーズに終わるものですが、まれに皮膚の一部が体に残ってしまう「脱皮不全」が起きることがあります。
具体的には、足先や指の間、尾の先などの細かい部位に古い皮がまとわりついたままになるパターンが多いです。
この状態を放置してしまうと、血行不良を引き起こして指先が壊死してしまったり、バクテリアが繁殖して炎症につながるリスクもあるため要注意。
見た目としては、白っぽく薄い皮が何層か重なっているように見えることが多いです。
もしそのような状態を発見した場合は、できるだけ早めに対処してあげることが重要です。
脱皮不全が起こる原因(乾燥・栄養不足など)
シリケンイモリに脱皮不全が起きる原因はいくつかありますが、特に多いのが乾燥気味の環境と栄養不足です。
まず、湿度が足りないと皮膚がうまくふやけず、剥がれにくくなってしまいます。
これは冬場のエアコンによる乾燥や、水場が少ないレイアウトなどが関係していることがあります。また、水質が悪化している場合も皮膚へのダメージが蓄積しやすく、スムーズな脱皮を妨げます。
さらに、栄養バランスの偏りも見逃せません。
とくにビタミンAやカルシウムが不足していると、皮膚の再生が遅れたり、正常な脱皮が行えなくなることがあります。
偏った餌や与えすぎ・少なすぎなども見直してみるべきポイントです。
加えて、ストレスや病気、怪我などが脱皮不全のきっかけになるケースもあるため、総合的な体調管理が必要です。
そのままにするとどうなる?
脱皮不全をそのまま放置してしまうと、さまざまなトラブルの引き金になる恐れがあります。
とくに多いのが、指先や尾の先に古い皮膚が巻きついたままになり、血流が悪くなってしまうケースです。
この状態が長引くと、血行不良によってその部分が壊死して黒ずみ、最悪の場合はちぎれてしまうこともあります。
また、残った皮膚が水カビやバクテリアの温床になり、皮膚炎や化膿といった二次的な感染症を招く危険性もあります。
こうした感染症は進行が早いため、異変に気づいたらすぐに対応することが大切です。
さらに、脱皮がうまくいかない状態が続くと、イモリ自身にもストレスがかかり、食欲不振や活力の低下など、全体的な健康状態の悪化にもつながってしまいます。
「ちょっと皮が残ってるだけ」と軽く見ずに、早期発見・早期対処を心がけましょう。
脱皮を助ける飼育者の工夫と対策
適切な湿度と水質管理
脱皮トラブルを防ぐ基本は、飼育環境を整えることです。
特に重要なのが湿度と水質。
シリケンイモリは皮膚が乾燥すると脱皮不全を起こしやすいため、水に入れる場所や湿ったシェルターを用意し、適度な湿度を保ちます。
また、水質の悪化は皮膚の状態に直結するため、脱皮前後は特に水換えとフィルター清掃を丁寧に行いましょう。
バランスのとれた栄養摂取
脱皮をスムーズに行うには、日々の餌内容も重要です。
皮膚の再生に関わるタンパク質、ビタミンA、カルシウムが不足しないよう、ミミズ・コオロギ・冷凍赤虫・人工飼料を偏らせずに与えます。
必要に応じてサプリメントを補うのも有効ですが、与えすぎには注意しましょう。
栄養状態が安定することで、皮膚のトラブルは起きにくくなります。
シリケンイモリに餌をしっかり食させて、内側から健康な皮膚をつくることが、トラブルを防ぐ一番の近道です。

観察と早期発見のポイント
脱皮トラブルを防ぐ最大の対策は、日々の観察です。
次のような変化が見られた場合は、脱皮の前兆や不調のサインかもしれません。
・体色がくすむ
・皮膚が浮いたように見える
・動きが鈍く、じっとしている時間が増える
また、長期間まったく脱皮の痕跡が見られない場合や、手足・尾の先に皮が残っていないかも確認しましょう。
早めに気づいて対応することで、脱皮不全の悪化を防ぐことができます。
まとめ
シリケンイモリの脱皮は、健康維持に欠かせない自然な生理現象です。
皮を食べる行動も異常ではなく、合理的な習性のひとつ。
大切なのは、脱皮を邪魔せず、異常だけを見逃さないこと。
正しい知識を持って見守ることで、シリケンイモリとの飼育はより安心で楽しいものになります。
「脱皮」はただの生理現象ではなく、飼育者が健康状態をチェックするサインでもあります。
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