ウーパールーパーは丈夫な生き物ですが、水質悪化などの環境ストレスにより病気にかかることがあります。
中でも厄介なのが、皮膚が赤くただれる「レッドレッグ症」です。
発症すると助かる確率は低く、早期発見と適切な対応が求められます。
この記事では、レッドレッグ症の原因や初期症状、塩浴による対処法、そして予防のポイントについて詳しく解説します。
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ウーパールーパーの飼育まとめ
ウーパールーパーが罹るレッドレッグ症とは?

ウーパールーパーが罹ることがある「レッドレッグ症」はその名の通り、後ろ足の皮膚が血が滲むような赤に染まる病気です。
この動画の最後辺りに、前足が赤くなっているのが見えます。
そして飼い主さんが「赤いよね・・」と驚いている声が聞こえます。
これレッドレッグですよね?😭助かる見込みが少ないっていう…
— すいちゃん🐳 (@707_suisui) November 20, 2024
うそー😭😭😭
この動画はご飯あげたあと水槽に戻す時。数日前は「なんか尻尾赤いかも?」「水槽戻す時だけ大暴れするなぁ」って思ってたら、真っ赤ー😭
誰かアドバイス下さい😭死なせたくないです #ウーパールーパー #レッドレッグ pic.twitter.com/t1wtfbqGSC
ウーパールーパーのレッドレッグ症は、体表の血管が炎症を起こし、皮膚が赤く染まる病気です。
特に四肢や尾など、皮膚が薄い部分に赤みが現れやすくなります。
なお、同じレッドレッグ症でも、
- カエル類は主に後ろ足のみに現れる(ゆえにレッドレッグ症の名付け)
- イモリやサンショウウオは全身に症状が現れることが多い
のが特徴です。
これは、レッドレッグ症の原因がエロモナス菌という細菌であることが原因です。
エロモナス菌は水中に漂いながら生活する細菌の一種で、たくさんの種類があります。
一部の種類は魚に寄生して全身の鱗が逆立つような症状を出すため、松かさ病とも呼ばれます。
エロモナス菌に感染し発症したカエルの後ろ足が赤く染まるのは、カエルがお尻を水につけて腸から直接水を摂取するため、水に触れる場面の多い場所がエロモナス菌に感染し発症するためだと考えられます。
そのため、水生種であるウーパールーパーをはじめ、完全水生のカエルや、全身を水に浸して水分補給するイモリ・サンショウウオの仲間は全身に発症するのです。
エロモナス菌は感染力が強く進行が早いことも特徴で、一度発症した個体を治療するのは困難です。
ウーパールーパーがレッドレッグ症になる原因は?

レッドレッグ症の原因菌はエロモナス菌
レッドレッグ症の原因菌であるエロモナス菌は、生き物が暮らす水中ではサルモネラ菌と同じくごく普通に存在する細菌です。
もちろん、健康に見えるウーパールーパーの皮膚にも、エロモナス菌は付着しています。
しかし、ウーパールーパーの体力があり免疫力がしっかりしていれば、体表にエロモナス菌がいても発症することはありません。
水換えをさぼると発症しやすい
水換えを怠ると、水質が悪化してウーパールーパーの体力・免疫力が低下します。
この状態では、普段は問題にならない程度のエロモナス菌でも、感染・発症しやすくなります。
エロモナス菌は皮膚炎を引き起こす細菌なので、レッドレッグを発症した部分はエロモナス菌が大増殖し皮膚細胞がエロモナス菌に負けている状態、といえるでしょう。
レッドレッグ症を発症した個体は、皮膚が赤くなる以外にも食欲の減退や活動の低下、または痛がるように暴れる、などの症状を見せることがあります。

水替えを怠ることが、レッドレッグ症を発症させる最大の理由
ウーパールーパーのレッドレッグ症の初期症状とは?
早期発見のためのチェックリスト
ウーパールーパーのレッドレッグ症は、進行が早く命に関わる病気です。
しかし、初期症状の段階で異変に気付ければ、回復の可能性を高めることができます。
以下のチェックリストに当てはまる症状がないか、日頃から注意して観察しましょう。
- 水槽の中でじっとして動かないことが増えた
- エサを食べる量が減った、または食べなくなった
- 尾や四肢の付け根などにうっすら赤みが見える
- いつもより落ち着きがなく、水槽内をバタバタ動き回る
- 皮膚にかすかな傷やただれが見える
これらの症状が見られた場合は、すぐに隔離と塩浴を検討しましょう。
特に「尾や四肢が赤くなる」症状はレッドレッグ症の典型例なので注意が必要です。
ウーパールーパーがレッドレッグ症になった際の緊急対処法
残念ですがウーパールーパーがレッドレッグ症になった場合は、比較的致死率は高いので、そもそもならないように水替えをさぼらない等の注意が必要です。
とは言っても、助かる場合もあるのでウーパールーパーが助かるよう最大限の努力を心掛けましょう。



レッドレッグ症になったウーパールーパーは致死率は高いが、助かることもあります。
隔離
多頭飼いや他の生物と混泳している場合は、健康な個体への感染を防ぐため、別の容器に移動させます。
水替えの徹底、水替えの頻度を上げる
水替えの頻度が足りず水質悪化が原因となっている場合は、水替えを徹底することや水替え頻度を上げる事で改善することもあります。
ウーパールーパーの水替えについては以下の記事を参考にしてください。


塩浴を実施
発症したウーパールーパーはやや高めの水温で飼育し、別記事でご紹介した塩浴を実施します。
ウーパールーパーの塩浴治療は塩分濃度さえ間違えなければ比較的安全性の高い治療法です。


これは、エロモナス菌を殺菌するための処置ではなく、ウーパールーパーの免疫を少しでも高めて自分でエロモナス菌を退治してもらうための処置です。
個体の隔離と器具類はすべて捨てるか熱湯消毒
器具類はすべて熱湯消毒または廃棄してください。
水槽・フィルター・ホース・エアチューブなど、そのまま再使用は厳禁です。
魚用の薬品を使用
これで数日経過しても効果がない場合、エルバージュエースなどエロモナス菌に効果がある魚用の薬品を使用します。
ただし、エルバージュエースは効能の強い薬なので、ウーパールーパーに与えるダメージも覚悟しなければいけません。
また、ここまでやっても、レッドレッグ症が完治するとは限りません。
それほど、エロモナス菌は強い病原菌なのです。


なお、レッドレッグ症が疑われる場合は、できるだけ早くエキゾチックアニマルを診察できる動物病院を受診することをおすすめします。
塩浴や市販薬の使用はあくまで応急措置であり、重症化を防ぐには専門的な診断と適切な治療が必要になる場合があります。
特に進行が早いレッドレッグ症では、早期対応がウーパールーパーの命を救うカギとなります。
ウーパールーパーのレッドレッグ症を防ぐために【予防方法と注意すべき環境まとめ】
レッドレッグ症は、いったん発症すると治療が難しいため、日頃から予防に努めることが最も重要です。
予防と合わせて、発症リスクが高まる環境にも注意しましょう。
レッドレッグ症の予防ポイント
- 定期的な水換え(最低でも週1回)
水質の悪化を防ぎ、エロモナス菌の増殖を抑制します。 - 給餌後は食べ残しを必ず回収する
残った餌が腐敗すると、水質悪化と雑菌繁殖の原因になります。 - 水温・水質管理を徹底する
18〜22℃をキープ。夏場は水温の上昇に注意し、酸素不足も防ぎましょう。 - 過密飼育を避ける
1匹あたり30〜45cm水槽が目安。多頭飼育は感染リスクを高めます。 - フィルター・ろ材は定期的に掃除する
詰まったフィルターは水質悪化を招きやすいので、月1回はメンテナンスしましょう。 - フンや汚れは早めに除去する
汚れた底砂や放置されたフンは、細菌の温床になります。
特に注意したいリスク要因
- 夏場の高水温(25℃以上)
- 飼育水の汚れ・アンモニア濃度の上昇
- 給餌後の残り餌やフンの放置
- 水流不足や酸欠
- 過密飼育によるストレス
これらの管理を怠ると、ウーパールーパーの体力・免疫力が低下し、エロモナス菌に負けてしまうリスクが一気に高まります。
エロモナス菌とは?ウーパールーパーに悪さをする細菌の正体
レッドレッグ症の原因となるエロモナス菌(Aeromonas spp.)は、淡水に広く分布するグラム陰性桿菌(細長い細菌)です。
特にウーパールーパーに影響する主な種は、
- Aeromonas hydrophila(エロモナス・ヒドロフィラ)
と呼ばれる種類です。
この菌は、魚類では「松かさ病」、カエルでは「レッドレッグ症」を引き起こします。
なお、魚に感染するエロモナス菌と両生類に感染するものは厳密には異なる株であり、「ウーパールーパーは魚用の松かさ病とはちょっと違う感染ルートをたどる」と考えられています。
また、エロモナス菌は自然界ではありふれた存在なので、「菌を完全に排除する」ことはできず、「ウーパールーパーの免疫力を維持する」ことが最も効果的な防御策となります。
ウーパールーパーのレッドレッグ症以外の病気
ウーパールーパーにはレッドレッグ症以外にも様々な病気があるので、併せてご確認ください
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ウーパールーパーのレッドレッグ症とは?【まとめ】
レッドレッグ症の原因菌であるエロモナス菌は感染力が強く恐ろしい病気ですが、水中に普通にいる細菌です。
言い換えれば、特別なことをしなくても、ウーパールーパーが過ごしやすい環境で健康に飼育さえしていれば防げる病気であるといえます。
レッドレッグ症は発症後の治療が難しいため、日頃の水換えや環境管理が何より重要です。
ウーパールーパーが健康に過ごせるよう、今日からできる予防策を実践しましょう。
\ ついでにこれも読んでいけ。 /
いや、読んでくださいお願いします(土下座)

