イエアメガエルは別名ホワイトアマガエルとも言われ、体色は白っぽい緑色の個体が多いですがその色は周囲の環境によって少し変化することがあります。
成体になってからも主に水辺で暮らす水生のカエルとは異なり、主に地上の木の葉の上や低木で暮らし湿度の高い環境を好みます。
日本国内では野生個体がいるわけではないため、緑色のニホンアマガエルを見慣れている我々日本人にとっては奇妙な存在に見えるかも知れません。
今回は、イエアメガエルの飼育方法について徹底解説します。
イエアメガエルの飼育は難しい?
イエアメガエルは樹上性のカエルとしては非常に飼いやすく、マニアの間では「イエアメガエルでは樹上性カエル飼育の練習にならない」といわれるほどです。
明るいグリーンが美しいカエルで、ほかのカエルを練習台になどしなくても初心者でも十分に飼える、魅力的なカエルといえるでしょう。
カエルなので完全な肉食性で、特にベビーは生きた昆虫にしか興味を示しませんが、大きくなるにつれて人工フードにも反応するようになります。
体の弱いベビーの時期を早く脱するためにも、小さなうちは生きたコオロギなどを好きなだけ食べさせ、5センチほどになったら人工フードへの餌付けに挑戦するといいでしょう。
イエアメガエルの飼育レイアウト
イエアメガエルは樹上性のカエルです。
そのためイエアメガエルの飼育レイアウトには泳ぐための水エリアは不要です。
一方立体的に移動するため、縦長のケージを使用し逃げ出し防止のためにロック付きの蓋を選ぶことが重要です。
床材には湿度を保つためヤシガラマットや腐葉土を推奨しており、夜間は霧吹きで湿度を保ちます。
また、観葉植物を鉢ごと入れ、照明を設置して自然な環境を再現します。
前述のように深い水エリアは不要ですが、一方で水飲み・水浴び用の容器も必要です。
全体のレイアウトはイエアメガエルの立体的な移動をサポートするよう設計することが望ましいです。
以下の記事ではイエアメガエルの飼育レイアウトについてより詳しく徹底解説していますので、是非ご覧ください。
温度と湿度の管理
また、イエアメガエルを飼育する上で、温度管理と湿度管理はもっとも重要です。
春から秋の昼間はパネルヒーターを使って24℃~30℃、冬は20℃~24℃に保ちましょう。
夜間はもう少し低温を維持します。
そして常に飼育容器内が、湿度70%を維持できるようにしましょう。
イエアメガエルのエサ
幼体への餌やり
イエアメガエルの幼体はベビーサイズで飼い始めることが多く、このサイズの個体は成熟した大人ほど丈夫ではありません。
幼体は特に水切れと餌切れに弱いため、常に清潔な水を供給し、毎日餌を与えることが重要です。
推奨される餌は市販の生きたコオロギで、野生のコオロギは寄生虫や病気のリスクがあるため避けるべきです。
野生のコオロギを毎日捕まえに行くのは現実的に難しい。
また病原菌や農薬の影響を受けている可能性があるため、野生のコオロギを餌にするのは、おすすめできないのじゃ。
コオロギを与える際は、カエルが丸呑みにできる大きさであることが重要です。
大きすぎる餌は消化不良や内臓の傷害を引き起こす可能性があります。
餌の管理方法として、タッパーウェアを使用することや、コオロギの後ろ足を折って脱走を防ぐ方法もあります。
餌の量はカエルの食欲に応じて調整し、成長に合わせてコオロギのサイズも適宜変更することが望ましいです。
成体への餌やり
イエアメガエルの成体は全長5センチを超えたら人工フードへの切り替えが可能です。
最初は生きたコオロギをピンセットで与え、その反応を見て人工フードへの適応を試みます。
食べない場合でも根気強く続けることで慣れさせることができますが、吐き出す個体もいるため、その場合はしばらく生のコオロギを続けた後、冷凍コオロギ、そして人工フードへと段階を踏んで切り替えます。
生餌から人工フードまで切り替えの流れ
- 生餌のコオロギ
- 生餌のコオロギをピンセットで捕まえて与える
- 冷凍コオロギ
- 人工フード
人工フードは扱いやすくコスト面でも優れているため、多くの飼育者が最終的に選択しますが、生きたコオロギで問題がなければ切り替える必要はありません。
7センチを超える個体では、餌は2~3日おきに与えるのが適切です。
成体のイエアメガエルに毎日餌を与えるのは、与え過ぎになるのじゃ。
また、大きなイエアメガエルは小さな魚や小型の爬虫類、哺乳類も食べることがあり、小さなピンクマウスを与えることも可能ですが、消化困難を引き起こす可能性があるため注意が必要です。
ピンクマウスは通常、肉食性の爬虫類や大型両生類向けの餌であり、イエアメガエルに与える場合はサイズや栄養バランスを慎重に考慮する必要があります。
イエアメガエルの寿命
イエアメガエルの平均寿命
イエアメガエルは比較的長寿で、最大20年近く生きることがありますが、一般的には10年から14年の寿命です。
私たち日本人になじみ深いニホンアマガエルは、平均約5年、長くて10年と言われていますのでイエアメガエルは比較的長寿であると言えます。
ただ、カエルは皆、音や光といったストレスに非常に敏感で、ストレスが溜まると免疫力が落ち、すぐに命を落としてしまうことがあります。
そういったことを踏まえて、ゆとりのある飼育容器を用意したり、振動を与えない、過剰な接触はやめる、といった適切な環境を整える配慮が必要です。
飼育下と野生の寿命の違い
イエアメガエルは、飼育下では20年以上生きることも珍しくありません。
もともと数あるカエルの種類の中では、病気に強く、人間に慣れやすい性質なのでそういった特性が、長寿の源になっているとも言えます。
ただし、同じ飼育容器で複数飼いすると、ストレスを感じやすく、また病原菌が感染する原因にもなります。
飼育容器の掃除や水容器の交換を怠った場合も同様です。
元気に長生きしてもらうためにも必ず、個別の飼育容器を用意して、清潔を保つようにしましょう。
また、ストレスを軽減するために、飼育容器の中に観葉植物を置いて、立体的な移動を可能にするなど、野生の生態に極力近づけることが必要です。
一方、野生の場合でも10年以上生きると言われています。
しかし、野生の場合は、天敵であるサギやタカといった水鳥や猛禽類の餌になることが多く、フナや鯉といった淡水魚にも食べられることがあります。
また、原産地のオーストラリアでは、草地や森林のほか、家のトイレや風呂場にも水分を求めて出没しますが、その時に犬や猫に襲われてしまったというケースがあとを絶ちません。
こういった点から、寿命をまっとうできるイエアメガエルは、ごく少数です。
イエアメガエルの寿命を伸ばすには?
比較的、病気に強いイエアメガエルですが、悲しいことに、突然死してしまうことがあります。
イエアメガエルの突然死の原因は、ほとんどが餌の与えすぎによる消化不良です。
餌の項目でもお伝えしましたが、餌は毎日与える必要はありません。
むしろ、前に食べた餌を消化しきってない状態で、新しい餌を与えるほうが、ガスが溜まりやすいといった、命の危険があります。
また、骨や関節の炎症を防ぐために、ビタミンDやカルシウムといったサプリメントを適度に与えましょう。
運動不足も深刻な問題です。
飼育容器には、イエアメガエルが上り下りしやすい足場になるものを入れてあげて、積極的に体を動かせる環境を整えてあげましょう。
イエアメガエルが鳴く理由とは?
イエアメガエルは特に繁殖期に鳴くことが多いです。
イエアメガエルは春から初夏にかけて、特に夜間にオスが鳴き声をあげることで雌を引き寄せます。
つまりイエアメガエルが鳴く主な理由はオスからメスへの求愛行動です。
また、この鳴き声は縄張りを主張する手段としても使われ、他のオスとの競争においても重要な役割を果たします。
メスが鳴くこともありますがオスに比較すると頻度も少なく鳴き声も小さいため、騒音が気になる方はメスを飼った方が無難です。
イエアメガエルは臭い?
カエルを飼育すると「臭いが気になる」という意見がたびたび見られますが、臭いの原因として考えられる主な理由は2点。
皮膚から分泌される粘液と、糞尿の臭いです。
粘液と糞尿にはアンモニアが含まれていて、これが悪臭の主な原因となります。
臭い対策としては
- 糞尿を溜めないこと
- 消臭剤を使用すること
この2点が挙げられます。
まずケージの掃除の目安について。
ソイルは週1回~2回のペースで洗い流します。
2,3カ月を目安にソイルを交換しましょう。
水容器にも糞尿をするため、こちらも毎日、取り替えるようにします。
カエルは匂いに敏感であり、ストレスの原因にもなるため
別の香りで臭いをごまかす芳香剤ではなく、必ず無臭の消臭剤を使いましょう。
たくさん仲間をふやしたい!複数飼育はできる?
結論から言えば、不可能ではありませんが、複数飼育ならではの注意点があります。
オス同士は縄張り意識が強いため、同じ飼育容器に入れると、喧嘩で怪我を追ってしまったり、オスがメスを食べてしまうといったリスクもあります。
特に恐ろしいのは、病原菌を共有してしまうことです。
病気の感染を防ぐために、飼育容器は、必ず個体ごとに用意するようにしましょう。
定期的な消毒も必要です。
また、複数のイエアメガエルを飼うということは、それだけ餌代がかさみ、掃除の手間もかかるということです。
複数飼育する場合は、その手間と費用を惜しまないだけの覚悟も必要です。
イエアメガエルのモルフ
ノーマル
お待たせいたしました!!!
— ペポニ@インター店 (@peponi_inter) February 9, 2019
どノーマルなイエアメガエルが入荷!
最近は意外と入荷が少なかったですね…
ツリーフロッグの定番とも言われる種で、はじめてのカエルにもとてもオススメです(●´ー`●)
【いがらし】 pic.twitter.com/Sze6myDXzg
ブルー
イエアメガエルのブルーきれいだな pic.twitter.com/3Udb5YyYci
— ぽほ (@rururucvhafe) October 13, 2018
ブルーアイ
全力土下座ガエル🐸🙇♀️#イエアメガエル#ブルーアイ pic.twitter.com/IazQrrBj0L
— 🐉イグ兄さん🐉 (@aqarowana) October 26, 2023
スノーフレーク
イエアメガエル スノーフレーク pic.twitter.com/oGArzqBLf3
— BLACK PEAL (@blackpeal7328) January 16, 2023
イエアメガエルがかかりやすい病気
ガス溜まり
イエアメガエルのお腹がパンパンになる病気です。
ガス溜まりはイエアメガエル特有の病気ではなく、他のカエルも良く起きる症状です。
参考動画は別の種であるツノガエルですがイエアメガエルも同じようにガス溜まりが起きることはあります。
主に人工フードが発酵することによるものが原因とされています。
ガス溜まりになった際は、一旦餌を与えるのをストップしてしばらく絶食させて様子を見てください。
1週間程度なら絶食しても餓死することはないでしょうが、個体差はありますので心配ならカエルを診てくれる獣医に診てもらいましょう。
レッドレッグ
レッドレッグ症は、両生類、特にカエルに見られる感染症です。
この病気は主に細菌によって引き起こされ、イエアメガエルを含む多くのカエル種に影響を与えることがあります。
レッドレッグ症の主な症状は、腹部や足の下の皮膚が赤くなることです。
この病気は免疫力の低下や不適切な飼育環境が原因で発症することが多く、治療が遅れると致命的になることがあります。
適切な衛生管理と環境の改善が予防には重要です。
皮膚病
イエアメガエルの皮膚病は主に細菌や真菌の感染によって引き起こされることが多いです。
水質の悪化やストレスが原因で発生することがあります。
感染したカエルは皮膚に白い斑点や潰瘍が現れることがあります。
治療には抗真菌薬や抗生物質が使用されることがありますが、早期発見と適切な環境管理が重要です。
イエアメガエルの豆知識
イエアメガエルは脱皮するの?
イエアメガエルも他のカエルと同様に脱皮をします。
カエルは成長するにつれて、古い皮膚が新しい皮膚に取って代わられる過程を経ます。
脱皮はカエルが健康を保つための自然なプロセスであり、この時期には皮膚が古くなり、それを剥がして新しい皮膚に更新することが必要です。
脱皮の頻度はカエルの種類や年齢、健康状態によって異なりますが、一般的には数週間に一度から数ヶ月に一度の間隔で行われることが多いです。
しかしヘビの脱皮後の皮を目撃したことがある方は多いと思いますがカエルの脱皮後の皮は見たことがない方が多いのではないでしょうか。
実は、イエアメガエルは脱皮の際、自分の古い皮膚を食べることで栄養を回収します。
この行動は、失われた栄養素を取り戻すとともに、自然界では痕跡を残さないための一環ともされます。
イエアメガエルは多頭飼いできる?
イエアメガエルは多頭飼いができなくもないのですが、共食いのリスクはあります。
カエルは視力が弱く、具体的に何が動いているのかは識別できませんが、動きを感じ取ると反射的に食べる行動をとります。
そのため、複数のカエルを1つのケージで飼育する際には特に注意が必要です。
イエアメガエルが同種を食べるのは、「身近なものが動いたから」という状況判断からですので、それが同種であるかどうかは関係ないと言えます。
共食いのリスクをゼロにしたいのならケージごとに単独飼育しましょう。
イエアメガエルは脱走する?
イエアメガエルは脱走することがあります。
イエアメガエルは、かなり活発で跳躍力が高いため、ケージの蓋がしっかりと閉まっていない場合や隙間があると、そこから逃げ出すことが可能です。
なお、万一脱走してしまった場合、室内飼育だったのか屋外飼育だったのかによって生存率が大きく変わります。
室内飼育であれば探す範囲も主に家の中なので比較的発見できる可能性が高いですが、屋外飼育であれば遠くに逃げてしまっている可能性があります。
また屋外であれば野良猫やカラスなど天敵も多いので、生存や発見できる可能性は低いでしょう。
何よりも、脱走しないようにケージの蓋がしっかり閉めるよう注意してください。
イエアメガエルは人になつく?
ペットが人になつくためには、その動物が人間との関係を理解し、信頼と愛情を抱ける程度の知能が必要です。
これは動物の認知能力と感情を感じ取る能力に依存します。
例えば、知能が高いとされる犬や猫は、飼い主とのやり取りを通じて強い絆を形成します。
これは犬や猫が社会的な動物であり、人間の感情や意図をある程度理解し、それに反応する能力があるからです。
一方、魚や爬虫類のような他のペットは、犬や猫ほどの社会的知能を持ち合わせていません。
同様に、イエアメガエルもこれらの動物と同等程度の知能を持つと考えられます。
では、改めてイエアメガエルは人になつくのでしょうか?
ペットが特定の人に親しみや愛情を示し、信頼や慣れを表現することを「なつく」と言います。
しかし、イエアメガエルには特定の人に愛情を持つほどの知能はありません。
したがって、イエアメガエルが人になつくことは期待できないでしょう。
イエアメガエルの温浴の温度や入れ方は?
イエアメガエルは温浴をさせると様々なメリットがあります。
- カエルは皮膚呼吸を行うため、皮膚が乾燥すると健康に悪影響を与えます。
温浴は皮膚を潤し、適切な水分バランスを保つのに役立ちます。 - 温浴はカエルの体内の新陳代謝を活発にし、消化を助けることで排泄を促進します。
特に便秘がちなカエルには効果的です。 - 温浴はカエルのリラックスを助け、ストレスを軽減することができます。
イエアメガエルの温浴における水温は約25度から28度が理想的です。
この温度範囲はイエアメガエルがストレスを感じることなく快適に感じる水温であり、皮膚の健康を維持し、適切な水分バランスを保つのに助けとなります。
温浴の際は、水が清潔であることを確認し、水の深さはイエアメガエルが立てる程度の水位にしてください。
温浴の時間は10分程度が適切とされており、長時間の温浴は逆にストレスの原因となることがありますので注意が必要です。
温浴の頻度は週に1回から2回を推奨します。
ただ、便秘など体調に問題を抱えていないイエアメガエルには温浴は必ずしも必要ではありません。
イエアメガエルは冬眠させた方が良いの?
野生下のカエルの多くは冬になると冬眠して春を待ちます。
イエアメガエルももちろんカエルの仲間ですので冬眠しますが、10度以下の気温で冬眠を始めるとされています。
ただし、野生ではなくペットとして飼われている場合、冬眠させる必要は必ずしもありません。
というのは冬眠はリスクの高い行為ですので場合によっては、冬眠中に命を失ってしまうリスクがあるからです。
飼育下であれば冬でも10度以上の温度を保つことはできますし、冬眠をさせない方が無難であると言えます。
冬眠をさせる場合は、徐々に温度を下げて環境を整え、冬眠後は徐々に温度を上げて目覚めさせることが重要です。
イエアメガエルのフンの頻度や特徴は?
成体のイエアメガエルは餌を適切に与えていれば5日~10日に1度程度の頻度でフンをします。
成長期の場合、餌を食べる頻度が高いのでうんちの頻度はもう少し高く2~3日に1回程度です。
2週間以上フンをしない場合は便秘が疑われるので、温浴などで様子を見てみましょう。
健康なイエアメガエルの糞は一般的に固形で黒く、水分を含んでいますが、べたつかないのが特徴です。
糞の形や硬さは、食べている食事に大きく依存しています。
排泄後は速やかに糞を取り除くことが重要です。
糞を適切に処理することで、ケージ内を清潔に保ち、イエアメガエルの健康を守ることができます。
イエアメガエルの飼育は難しい?【まとめ】
イエアメガエルは樹上性のカエルとしてはとても丈夫で、物怖じしない飼いやすいカエルです。
一方、10センチ近くなることもある大きなカエルでもあります。
神経質で餌を食べなくて苦労する、ということはないので、ベビーサイズの個体にはどんどん食べさせ、大きく育てましょう。
ある程度の大きさになれば成長がゆっくりになるので、人工フードへの餌付けにチャレンジしつつ、じっくりと育てるようにするといいでしょう。
寿命もそれなりに長いので、いいペットフロッグになるはずです。