クランウェルツノガエルは「丈夫で飼いやすい」と言われる一方、床材や温度管理を間違えて体調を崩してしまうケースも少なくありません。
特に、
・ツルツルした床材
・餌の与えすぎ
・中途半端な温度管理
これらは、初心者がつまずきやすいポイントです。
この記事では、クランウェルツノガエルを長く安定して飼育するための基本として、ケージ環境・床材・餌・温度管理を中心に、実践しやすい形でまとめています。
平均寿命や長生きの考え方については別記事で解説していますので、まずは「正しい飼育環境づくり」から確認していきましょう。
なお、クランウェルツノガエルの寿命については別記事で詳しく解説していますのであわせて参考にしてください。

クランウェルツノガエルの寿命が延びる飼育環境とは?
ここではクランウェルツノガエルの基本的な飼育環境について解説いたします。
クランウェルツノガエルの寿命をできるだけ伸ばしたいのなら基本的な飼育環境の条件を知り、整えてあげることが大事です。
ケージ

前述のようにクランウェルツノガエルは、基本的に動くことが少ないため、広いスペースは必要ありませんし、アマガエルのように立体的に動くタイプのカエルでもないので縦長のケージは必要ありません。
ただし逃げ出さないように蓋がしっかりしまるケージが良いです。
ベビーサイズのクランウェルツノガエルであれば、小さなケージやプラスチック製の容器でも十分です。
成体のケージサイズとしては、1匹なら30cm × 30cm程度で足りると思いますがより広いスペースを提供することで、カエルが自由に動き回り、ストレスを少なくすることができます。
・あまり動かないタイプのカエルなので、特別に広いケージは必要がない。
・アマガエルのように立体的に動くタイプでもないのでケージには高さも不要
・逃げ出さないように蓋が必須
陸生の特性に合わせたレイアウト
クランウェルツノガエルは主に陸生のカエルです。
野生では主に地上で生活しており、湿度の高い草地や森林地帯で見られますが、水辺に近い場所を好むことが多いです。
また、落ち葉や土の中に体を埋めて隠れることがあります。
クランウェルツノガエルは、長時間水中で生活するような適応はしていません。
そのため、水生のカエルとは異なり泳ぐための水場を作る必要はありません。
飼育下では、水分を保持しやすいサブストレートと、適度な隠れ家を提供することが推奨されます。
床材
クランウェルツノガエル飼育環境には、床材としてフロッグソイルやヤシガラマットやミズゴケを使用し、湿度を保つことが大切です。
温度と湿度

クランウェルツノガエルは、25℃~30℃程度の温度が最も快適に過ごせる温度です。
温度が低すぎると、消化不良や食欲不振を引き起こす可能性があります。
逆に、温度が高すぎると、脱水症状や熱中症になる危険性があります。
クランウェルツノガエル飼育環境の温度管理には、パネルヒーターや保温球を使用し、温度計で常に温度をチェックするようにしましょう。
特に、冬場は温度が下がりやすいため、注意が必要です。
クランウェルツノガエルは、温度変化に敏感なため、急激な温度変化は避けるようにしましょう。
クランウェルツノガエルの温度管理を適切に行うことで、彼らの健康を維持し、快適な生活を送らせることができます。
クランウェルツノガエルは、乾燥に弱いため、湿度を50%~70%程度に保つように心がけましょう。
シェルター
また、クランウェルツノガエル飼育環境には、隠れ家となるシェルターを設置することで、彼らが安心して過ごせるように配慮することが大切です。
クランウェルツノガエルの飼育環境は、彼らの健康状態に大きく影響するため、常に清潔に保つようにしましょう。
クランウェルツノガエルにとって、快適な環境は、健康な成長と長生きのために欠かせない要素です。
クランウェルツノガエルの餌の種類
クランウェルツノガエルは食欲旺盛で、様々な種類の餌を食べます。
飼育下では以下のような餌を与えることが一般的です。
人工飼料
クランツノガエルに人工飼料を与える際は、カエルの口の大きさに合わせて飼料のサイズを選ぶことが重要です。
人工飼料は食いつきが悪いこともあり、ピンセットでつかんで目の前で動かしても反応しないことがあります。
人工飼料に慣れさせるためには、生餌と人工飼料を同時に提供し、徐々に人工飼料の割合を増やす方法が効果的です。
また、飼料に少量の水を加えて柔らかくし、より食べやすくすることも有効です。
コオロギ

カエルの餌と言えばコオロギが最も一般的です。
コオロギは栄養価が高く、クランツノガエルの食いつきも良いですが、入手方法には注意が必要です。
野生のものは安定供給が難しいのと農薬や病原菌のリスクがある
野生のコオロギは農薬や病原菌のリスクがあります。
野生のコオロギを捕まえて与えることは、農薬や病原菌を持っている可能性があり、安定して供給することが困難なため、おすすめしません。
また、コオロギのサイズが問題となり、特に幼体のクランツノガエルには与えにくいです。
乾燥コオロギは生餌と比べると栄養価が低い
乾燥コオロギは長期保存が可能ですが、生餌と比べ栄養価が低くなります。
特に水分やビタミンが失われやすいため、注意が必要です。
費用が高いのと保存が難しいが、ベストは生餌のコオロギ
ペットショップや通販で購入できる生餌のコオロギは栄養価が高く、クランツノガエルの自然な食行動を促します。
カエルが狩猟本能を発揮して捕食できるため、精神的にも良い影響がありますが、価格が高く保存が困難なため、短期間で使い切る必要があります。
ミルワームの与え方

ミルワームは日本国内では入手困難なため、野生のものは選択肢になりません。
ミルワームは生餌と乾燥の2タイプがあり、どちらも比較的手に入りやすいですが、生餌の方が栄養価が高く食いつきも良いです。
ただし、長期保存は不可能です。
乾燥タイプは保存が可能ですが、栄養価が生餌に比べ劣ります。
上級者はミルワームの生餌を自家繁殖させている場合もありますので、検討してみると良いでしょう。
ピンクマウス

ピンクマウスは栄養価が高く、成体のクランツノガエルにとってはおすすめの餌です。
ただし、非常に高カロリーで栄養価が高いため、月に1〜2回の提供にとどめることが一般的です。
これは、頻繁に与えると肥満を引き起こす可能性があるためです。
また、生のピンクマウスを与える場合は、新鮮で信頼できる供給源から購入し、病原体のリスクに注意してください。
クランウェルツノガエルの餌の頻度と量【年齢別】
幼体の餌の頻度と量
幼体には小さな虫類、特にピンヘッドコオロギを与えます。
ピンヘッドコオロギは非常に小さいコオロギで、幼体のカエルの口にも適しています。
ピンヘッドコオロギは、非常に小さいサイズのコオロギで、その名前は文字通り「ピンの頭ほどの大きさ」のコオロギを指します。
具体的には、新生児のコオロギで、孵化して間もない状態のものを言います。
体長が数ミリメートル程度しかなく、非常に小さいため、幼体の爬虫類や両生類に適した餌とされています。
ピンヘッドコオロギは、特に小さなカエルやトカゲ、クモなどの小動物に栄養を提供する目的で利用されます。
成長期の幼体には、毎日または隔日で少量の餌を与えるのが一般的です。
このように定期的に餌を与えることで、健康的な成長を促します。
成体の餌の頻度と量
成体には大きな昆虫、たとえばコオロギやミールワームを与えることができます。
カエルが幼体から成体に成長するにつれて、与える昆虫の大きさや種類を徐々に増やすことが重要です。
通常、週に2~3回、一度に複数の昆虫を与えると良いでしょう。
カエルの活動レベルや体重に応じて、食べ過ぎにならないよう餌の量を調整してください。
シニア期
クランウェルツノガエルがシニア期(おおよそ5~7歳以上)に入ると、代謝が落ちて活動量も減るため、餌の頻度や量を調整する必要があります。
若い頃のように頻繁に餌を与えると、肥満や消化不良を引き起こす可能性があるため注意が必要です。
個体差はありますが、シニア期のクランウェルツノガエルには7~14日に1回程度を参考に給餌が適切です。
餌の量も若い頃より控えめにし、体の幅の3分の1程度の大きさに抑えましょう。
具体的には、小さめのマウス(ピンクマウスMサイズ以下)、ミミズ、コオロギ、デュビアなどを1匹程度、または人工飼料をスプーン1杯分ほど与えるのが理想です。
また、シニア期は消化機能が衰えるため、餌の消化が悪いと感じたらさらに間隔を空けることも検討が必要です。
カルシウムやビタミン剤の補助も継続しつつ、食欲や排泄の状態を観察しながら調整してあげると良いでしょう。
要注意
このように成体と幼体とでは与えるの餌の種類や与え方も異なるので注意が必要です。
クランウェルツノガエルのカラーバリエーション
クランウェルツノガエルは飼育下でさまざまなカラーバリエーションが見られます。
自然界で見られる基本的な色は緑、茶色、または黄色で、これに暗い斑点が散らばっていますが、飼育下では遺伝子の選択や繁殖によって多種多様な色が生み出されています。
以下はその中のいくつかの一般的なバリエーションです。
【グリーン】
明るい緑色が基調で、自然環境における標準的な色です。
クランウェルツノガエル
— アクアノート タチバナ (@aquanaut1964) August 20, 2023
(グリーン)
入荷しました!
シュッとしたイケメンさん!美人さん?! pic.twitter.com/vF8y7NXLGx
【アルビノ】
体色が白またはピンクで、目が赤い。
色素が欠如しているため、このような色になります。
クランウェルツノガエル(アルビノ)#羊毛フェルト#カエル pic.twitter.com/DGn6tYijxO
— かわもと こう (@kawamotokou) June 29, 2024
【ストロベリー】
赤やピンクの色素が強い個体。
⚠️カエル🐸注意⚠️
— あずたま🧛🪭👑 (@azuki_Tammas) October 21, 2023
今日のガチャ
バンナムいきもの大図鑑レプティ
クランウェルツノガエル(ストロベリー)
肉々しくかわいい💞 pic.twitter.com/5s9KgBBxS7
【アプリコット】
オレンジがかった肌色の個体。
クランウェルツノガエル
— アクアノート タチバナ (@aquanaut1964) August 20, 2023
(アプリコット)
入荷しました!
美しすぎる…! pic.twitter.com/HkHItUO5EJ
これらのカラーバリエーションは、飼育者間での人気や稀少性によって、特定のカエルが選ばれ繁殖されることで広がっています。
カエルの色彩は、遺伝的な変異だけでなく、環境要因や健康状態によっても影響を受けることがあるため、飼育環境もそれぞれの色彩を維持する上で重要な役割を果たします。
クラウンウェルツノガエルは噛むの?噛まれた際の対処法!
カエルの特性として、動くものは何でも餌とみなして噛みつく傾向にあります。
そのため飼育者が噛まれてしまう事も少なくありません。
噛まれても死に至るようなことは普通はありませんが、普通に痛いのでできるだけ避けたいですよね^^;
また、噛まれた際になかなか離してくれない場合に、自分の手も痛いけどカエルを傷つけずに解放してもらいたいですよね。
対処法としては、ピンセットを使用して口を開かせる方法です。
これは、クランウェルツノガエルの歯を傷つけないように慎重に行う必要がありますが、この方法で高い確率で口を離してくれます。
はかせカエルを傷つけないようにやさしく慎重に口を開かせるのじゃ。
コクーンとは?
冬眠はなんとなくでも多くの方がご存じでしょうが、コクーンについてはご存じでない方も多いのではないでしょうか。
カエルの「コクーン」とは、一部のカエルが乾燥や寒冷などの厳しい環境条件下で自らを保護するために作る皮膜のことです。
このコクーンは、カエルが自身の皮膚分泌物を利用して作り上げるもので、体を包むことにより水分の蒸発を防ぎ、生存確率を向上させます。
例えば、アフリカの一部地域に生息するカエルは、乾季が来ると地中に潜り、このようなコクーンを形成して数ヶ月間休眠します。
カエルが再び活動を開始するためには、十分な雨が降り、周囲の環境が湿潤になる必要があります。
この時、コクーンは割れたり溶けたりして、カエルが外に出てくることができるようになります。
飼い主さんがコクーン(被膜)を剥がすシーンが特に見どころです!
まとめ
クランウェルツノガエルの飼育で大切なのは、「特別なことをする」よりも基本を崩さないことです。
床材は足腰に負担の少ないものを選び、餌は与えすぎず、温度は一年を通して安定させる。
この積み重ねが、トラブルの少ない飼育につながります。
見た目が大きく変化しにくいカエルだからこそ、日々の環境管理がそのまま健康状態に直結します。
なお、飼育環境と寿命の関係や、短命になりやすい原因については、別記事「クランウェルツノガエルの寿命」で詳しく解説していますので、あわせて参考にしてみてください。








