ウーパールーパーの外鰓(がいさい)は、健康状態を見極める大切なサインです。
首元にあるフサフサとした外鰓は、主に水中で酸素を取り込む役割を果たしています。
しかし、外鰓の色や形が変化した場合、ストレスや水質の悪化、酸素不足などのトラブルが潜んでいる可能性があります。
また、稀にですがウーパールーパーは外鰓が完全に「なくなる」現象が起きることもあります。
本記事では、ウーパールーパーの外鰓の役割や、色の変化、ふさふさ感の違い、トラブル時の対処法について詳しく解説します。
外鰓の状態をチェックして、ウーパールーパーの健康を守りましょう。
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ウーパールーパーの飼育まとめ
ウーパールーパーの外鰓の役割
酸素を取り込む

ウーパールーパー(アホロートル)の外鰓(がいさい)は、水中での呼吸において非常に重要な役割を果たしています。
外鰓は首の両側に生えているフサフサとした羽毛のような器官で、見た目も特徴的です。
この部分には細かな毛細血管が網の目のように張り巡らされており、外鰓が水に触れることで酸素が血液中に取り込まれ、二酸化炭素が排出されます。
人間の肺と同じく、ガス交換の役割を担っているのです。
ウーパールーパーは外鰓以外に補助的な呼吸手段を持つ
ウーパールーパーは基本的に外鰓を使って呼吸しますが、状況に応じて他の呼吸方法も併用します。
皮膚呼吸では、皮膚を通して水中の酸素を少量取り込むことができます。
また、酸素不足など外鰓だけでは十分な酸素が得られない場合は、水面に浮上して空気を吸い込み、肺呼吸を行うこともあります。
しかし、肺呼吸だけでは生命維持には不十分であり、外鰓の働きが生命線となります。
ウーパールーパーの外鰓の状態が水質悪化の警告サインにもなる

外鰓は水質の変化にも敏感です。
水質が悪化すると外鰓が縮んだり、フサフサした繊毛が減少してしまいます。
これは水中の酸素濃度の低下やアンモニアの増加などが原因となり、結果として呼吸効率が低下してしまうのです。
そのため、外鰓の状態はウーパールーパーの健康を判断する上での重要な指標となります。
外鰓が萎縮したり、フサフサ感が失われてきた場合は、早急に水質や水温を見直す必要があります。
外鰓は血流の調整も行う

外鰓には豊富な毛細血管が通っており、血液を通して酸素と二酸化炭素の交換をしています。
ウーパールーパーは必要に応じて血流を増減させて、酸素供給量を調整します。
外鰓が変化する主な原因と環境要因
外鰓は見た目の変化が分かりやすい反面、「なぜそうなったのか」が分からず不安になる飼育者も多い部分です。
ここでは、外鰓の色・大きさ・ふさふさ感が変化する代表的な原因を、環境面から整理して解説します。
水温の影響による外鰓の変化

ウーパールーパーは低水温を好む生き物で、水温が上がるほど外鰓への負担が大きくなります。
特に25℃を超える状態が続くと、代謝が過剰に上がり、外鰓の血流調整がうまくいかなくなります。
その結果、
・外鰓が縮む
・ふさふさ感が減る
・色がくすんで見える
といった変化が起こりやすくなります。
一時的な水温上昇なら回復することもありますが、高水温が慢性化すると外鰓の再生力も落ちてしまいます。
水質(アンモニア・亜硝酸)の蓄積

外鰓は水質悪化の影響を最も受けやすい器官です。
特にアンモニアや亜硝酸塩が蓄積すると、外鰓の表面組織がダメージを受け、萎縮や変色が起こります。
この状態では、
「外鰓が小さくなる」
「色が黒ずむ・白っぽくなる」
といった変化が同時に見られることも珍しくありません。
見た目に異常が出た時点で、すでに水質は限界に近いことが多いため、部分換水ではなく管理方法そのものの見直しが必要になります。
酸素量と水流のバランス

外鰓は水中の酸素を効率よく取り込むための器官ですが、酸素量が十分でも「水がほとんど動かない環境」ではうまく機能しません。
水流が極端に少ない場合、
・外鰓をパタパタ動かす
・水面での肺呼吸が増える
といった行動が目立つようになります。
一方で、水流が強すぎると常に外鰓が刺激を受け、逆に萎縮の原因になります。
エアレーションやフィルターは「弱めで水がゆるく循環する」状態が、外鰓にとって最も負担が少ない環境です。
ストレス(混泳・振動・光)

外鰓の変化は、水質や水温だけでなく、慢性的なストレスでも起こります。
例えば、
・ウーパールーパー同士や他の生体との混泳
・水槽を頻繁に叩く、近くで大きな振動がある
・強い照明を長時間当てている
といった環境では、目立った病気がなくても外鰓が徐々に縮んでいくことがあります。
外鰓の状態が悪いのに数値上は問題が見つからない場合、こうした「環境ストレス」を疑う視点も重要です。
成長段階や個体差による違い

外鰓の大きさやふさふさ感には、個体差や成長段階による違いもあります。
幼体では外鰓が大きく目立ちやすく、成体になるにつれてやや控えめになるケースもあります。
また、
・体色が濃い個体
・もともと外鰓が短めの系統
では、見た目だけで不調と判断しにくいこともあります。
そのため「以前と比べてどう変化したか」を基準に観察することが大切です。
さらに、ウーパールーパーには驚異的な再生能力が備わっています。
外鰓が傷ついた場合でも、2週間から1か月ほどで元の状態に再生することが多いです。
ただし、外鰓が頻繁に損傷する場合は、環境の見直しが必要となります。
ウーパールーパーの外鰓がなくなる原因とは?陸化との深い関係
稀にですがウーパールーパーの外鰓がなくなるという状態が起きることがあります。
外鰓が小さくなったとか元気がなくなったではなく、文字通り外鰓がなくなる時、考えられるのは「陸化」現象です。
陸化すると外鰓は役目を終えて消失する

ウーパールーパーは本来、水中生活を続ける「幼形成熟」の生き物ですが、条件がそろうとサンショウウオとして陸化することがあります。
陸化が始まると、
・外鰓は徐々に縮小
・血流が減り、色が薄くなる
・最終的に完全に消失
という段階をたどります。
これは異常ではなく、水中呼吸用の器官が不要になるために起こる、自然な変化です。
陸化後は呼吸方法が完全に変わる

陸化したウーパールーパーは、
・外鰓呼吸 → 使わない
・皮膚呼吸 → 補助的
・肺呼吸 → メイン
という形に切り替わります。
この段階では、水中での生活はできなくなり、陸地で空気中の酸素を取り込む生き方へ完全に移行します。
つまり、陸化後に外鰓がないのは「正常」であり、問題視する必要はありません。
陸化していないのに外鰓がなくなるのは危険信号

一方で注意が必要なのは、水中生活を続けているにもかかわらず外鰓がなくなるケースです。
この場合、以下のような深刻な環境トラブルが疑われます。
・慢性的な水質悪化(アンモニア・亜硝酸)
・高水温が長期間続いている
・極端な酸素不足
・強いストレス状態が継続している
このような環境では、外鰓が「再生する前にダメージを受け続け」、結果として消失してしまうことがあります。
この状態は陸化ではなく衰弱であり、放置すると命に関わります。
ウーパールーパーの外鰓の状態別健康チェック

ウーパールーパーの外鰓の状態は、ウパの健康状態を表す指針にもなります。
それぞれの状態でどのような健康状態かを見極めるために参考にしてください。
外鰓が赤い
外鰓が鮮やかな赤色をしている場合は、基本的に 健康な状態 です。
外鰓には毛細血管が多く通っており、酸素を取り込む際に血流が良くなります。
特に運動後やエサを食べた後は血流が活発になるため、外鰓が赤みを帯びることがよくあります。
酸素が十分に供給されている状態であり、心配する必要はありません。
外鰓が黒い
ウーパールーパーの外鰓が黒っぽくなっている場合は ストレスや水質の悪化 が考えられます。
水槽内のアンモニア濃度や亜硝酸塩が高いと、血流が悪化し、外鰓の色が黒ずむことがあります。ストレスが原因の場合は、水槽環境の見直しや、水温の調整が必要です。
ただし、黒色の外鰓は 黒系の体色を持つ個体 では正常な場合もあります。
外鰓が白い
外鰓が白っぽく見える場合は 酸素不足や体調不良 のサインです。
水中の酸素濃度が低下すると、外鰓の血流が悪くなり、白っぽくなることがあります。
また、外鰓の繊毛が萎縮したり、栄養不足が原因の場合もあります。
さらに、外鰓の一部分だけが白い場合は 水カビ病 に感染している可能性もあります。
外鰓がふさふさしている
外鰓がふさふさしている状態は 健康で活発な証拠 です。
外鰓の繊毛が十分に広がっていると、水中の酸素を効率よく取り込むことができています。
ふさふさした外鰓は、飼育環境が適切であり、水質や水温が理想的な範囲内であることを示しています。
外鰓が小さい
外鰓が 小さくなる という現象は、以下の原因が考えられます。
水質の悪化: アンモニアや亜硝酸塩が増えると、外鰓がダメージを受けて縮むことがあります。
酸素不足: 酸素量が少ない環境では外鰓の機能が低下して小さくなることがあります。
成長や環境適応: 成体になった個体や、酸素が豊富な環境では外鰓が小さくなる場合もあります。
外鰓が無くなる
外鰓が 完全に無くなる のは 陸化 した時の自然な変化です。
ウーパールーパーが陸化すると、外鰓の役割が終わり、徐々に縮小して消失します。

ただし、水中生活を続けているにもかかわらず外鰓が無くなった場合は、 重度の水質悪化 や 酸素不足 が原因の可能性が高いです。
場合によっては外鰓が再生しますが、環境の改善が急務です。
外鰓に水カビがある
外鰓に白いフワフワしたものが付着している場合は 水カビ病(サプロレグニア症) に感染しています。
水カビは免疫力が低下した個体に発症しやすく、外鰓だけでなく、体表にも広がることがあります。
水カビ病は放置すると命に関わるため、塩浴(0.5%の塩水に1週間程度浸ける)やメチレンブルーでの治療が必要です。
また、発症の原因となる水質悪化の改善も重要です。

外鰓をぱたぱたさせる
ウーパールーパーが外鰓を パタパタと動かしている のは、酸素不足を補おうとしているサインです。
外鰓を小刻みに動かすことで、水の流れを作り、より多くの酸素を取り込もうとしています。
頻繁にパタパタさせている場合は、水槽内の酸素濃度が低下している可能性があるので、エアレーションの強化や水換えを検討する必要があります。
まとめ
ウーパールーパーの外鰓は、水中での呼吸に欠かせない重要な器官であり、健康状態を判断するバロメーターでもあります。
赤くふさふさしている状態は理想的ですが、外鰓が黒ずんだり白っぽくなったり、小さくなったりする場合は、水質の悪化や酸素不足、ストレスが原因であることが多いです。
また、水カビの付着や外鰓の消失といった異常が見られた場合には、早急な対処が必要です。
日頃から外鰓の状態を観察し、適切な環境を維持することで、ウーパールーパーの健康と長寿をサポートできます。
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いや、読んでくださいお願いします(土下座)

