田んぼ付近や建物の壁面など、いたるところに生息し、誰もが見たことがあるであろうニホンアマガエル。
「カエル」と言われてニホンアマガエルを思い浮かべる方も多いのではないでしょうか。
嫌われがちな両生類ですが、その中でもとてもかわいらしいニホンアマガエル。
近所でつかまえてきて飼育したことのある方、あるいはこれから飼育してみようと考えている方もいるでしょう。
となると…
・どんな環境で飼育したらいいの?
・餌はどうしたらいい?
・毒ってあるの?
こんな疑問や不安が生まれてきますよね。
当記事では、そんな疑問を解決する「ニホンアマガエルの飼育方法」について飼育経験者が詳しく解説いたします!
ニホンアマガエルとは?

「アマガエル」は知っているけど「ニホンアマガエル」は知らなかったという方もいるかも知れません。
ニホンアマガエルとは北海道から九州に生息している小さなカエルで日本でアマガエルと言えば基本的にはニホンアマガエルを指します。
他にニホンアマガエルと間違えやすいカエルとして「シュレーゲルアオガエル」や「モリアオガエル」の2種のカエルがいます。

シュレーゲルアオガエル

モリアオガエル
ニホンアマガエルは2種に比べて鼻先に丸みがあり、鼻腔から目を通り鼓膜にかけて褐色の模様があるのが特徴です。

生息環境

田んぼや畑など、水と植物の多い場所を好み、すべての指に吸盤があるため、樹木やガラス面を登ることができます。
夜になると餌を探して活動を開始します。
体の特徴
二ホンアマガエルの大きさは、20mm~45mm程で、メスはオスよりも大きいです。
二ホンアマガエルは温度や湿度、明るさなどの周りの環境変化に対応して体色を変化させます。

いわゆる「保護色」です。
稀に見る黄色や水色の個体は色素細胞が突然変異したもので、基本は緑色や褐色です。

ニホンアマガエルの寿命は5~10年と言われています。
活動時期は3~11月で気温が10℃を以下になると冬眠します。

繁殖期は4~8月です。
鳴き声
ニホンアマガエルは「グェッグェッ」と鳴きます。
家で飼育するにはうるさいのではと心配になる方もいるかもしれませんが大丈夫です。
カエルは繁殖期のオスがメスを見つけてアピールするとき、他のオスの鳴き声に対抗するときのみ鳴きます。
私の飼っているニホンアマガエルは生卵を混ぜる音や玄関の鍵を開ける音をライバルの鳴き声と勘違いしているようです。
毒性
ニホンアマガエルの皮膚は弱い毒を含む粘膜で覆われています。
カエルを触った手で眼や傷口を触ってしまうと炎症を起こす場合があります。
命のかかわるほどの毒ではありませんが、触った後はしっかり手を洗うようにしましょう。

ニホンアマガエルの飼育方法
ニホンアマガエルの特徴についてお話してきましたが、それを踏まえた上で、いよいよ飼育方法についてです。

- ニホンアマガエル
- 飼育ケージ
- 水入れ
- 植物
- 床材
- 霧吹き
- 餌
ニホンアマガエルの入手方法
野生個体を採集する
野生の個体を探して採取するというのが最も一般的な入手方法です。
アマガエルは日本全国に広く分布していますが、特に水辺の近くや草むらの多い場所で見つけやすくなります。
アマガエルを探すなら、春から秋にかけての暖かい季節が適しています。
特に梅雨や雨上がりは活発に動くため見つけやすい。
日中よりも夕方から夜にかけての時間帯が狙い目だが、湿度が高ければ昼間でも姿を現すことがあります。
田んぼや湿地、池の周辺などの水辺が生息地として最適で、公園や庭の植え込みにも潜んでいることがあります。
探す際は、葉の上や草むらをよく観察し、オスの鳴き声を頼りにするのも有効です。
夜に懐中電灯を使うと目が光に反射し、見つけやすくなります。
見つけたら無理に捕まえず、手を濡らして触ることで皮膚を傷めないように配慮することが大切です。
環境を守りながら観察すれば、身近な場所でもアマガエルに出会える可能性は十分にあります。
ペットショップやイベントで購入
ペットショップやイベントでアマガエルを購入する場合、まず信頼できる販売元を選ぶことが大切です。
ただしアマガエルは野生個体の採取が容易であるため、そもそも取り扱いがないという事がほとんどです。
爬虫類・両生類を扱う専門店では、健康な個体がそろっていることが多く、飼育方法についても詳しく教えてもらえるため安心できます。
購入前には、カエルの体に異常がないかを確認し、特に皮膚が乾燥しすぎていたり、動きが鈍かったりする個体は避けたほうがよいでしょう。
また、販売されているアマガエルが野生採取のものか、繁殖個体かを確認することも大切です。
繁殖個体は比較的病気のリスクが低く、飼育環境に適応しやすい傾向があります。
購入後はできるだけ早く適切な飼育環境を整え、新しい環境に慣れるまで静かに見守ることが大切です。
飼育ケージ
カエルは種類によって、水棲・地上棲・樹上棲の3種類に別れますがアマガエルは樹上棲に分類されます。
- 水棲:ウシガエル等
- 地上棲:ツノガエルやヒキガエル等
- 樹上棲:アマガエル等
ニホンアマガエルは樹上性で、言葉の通り葉っぱの上等で暮らす事が多いタイプのカエルです。
そのためニホンアマガエルの飼育ケージには観葉植物を配置することを想定して縦に背の高いものを使用しましょう。
体が小さいため、30cm四方のケージで十分です。
虫かごなどで飼育することもできますが、脱走防止のために蓋がしっかり締まるタイプの物である必要があります。
また、蓋は通気を行うためにメッシュタイプの物が理想です。
私は虫かごで2年ほど飼育しています。
水入れ
カエルは皮膚呼吸を行うため乾燥には注意が必要です。
全身がつかる程度の大きさの容器にきれいな水を入れてあげましょう。

私はシャーレに満杯まで水を入れています。
植物
アマガエルの飼育環境に植物を取り入れることで、見た目が自然に近づくだけでなく、湿度の維持や隠れ場所の提供にも役立ちます。
特にアマガエルは葉の上に乗ったり、葉陰に身を潜めたりする習性があるため、適した植物を選ぶことで快適な空間を作ることができます。
おすすめの植物としては、ポトスが挙げられます。

丈夫で育てやすく、葉が広いためアマガエルが休むのに適しています。
また、湿度を維持しやすく、比較的低光量でも育つため、室内飼育に向いている点も魅力です。
ほかにも、シダ類は湿度を好むアマガエルにぴったりで、自然な雰囲気を演出しながら蒸れにくい環境を作ることができます。
観葉植物の中では、サトイモ科のアグラオネマやフィロデンドロンもおすすめです。
葉が厚くしっかりしており、アマガエルが乗っても折れにくいのが特徴です。
また、ツル性のアイビーは、ケース内で這わせることで立体的な環境を作ることができ、アマガエルの行動範囲を広げることができます。
植物を選ぶ際には、農薬が使われていないものを選び、導入前に水洗いや土の入れ替えを行うことで、カエルに有害な成分を除去することが大切です。
また、成長が早すぎるものや、鋭い葉を持つ植物は避けるべきです。
適切な植物を選び、アマガエルにとって快適な環境を整えることで、より自然に近い飼育を楽しむことができます。
床材
ペットシーツは、吸水性が高く清潔を保ちやすいため、アマガエルの飼育に使用することがあります。
特に清掃が頻繁に必要な飼育環境で便利であり、使用済みのシーツは簡単に取り替えることができます。
ただし、湿度の管理が少し難しい場合があるため注意が必要です。
次に、ペット用ソイルは、特に爬虫類や両生類の飼育に適しており、自然な環境を模倣するために作られています。
このソイルは通常、湿度を保持する能力が高く、アマガエルにとって快適な住環境を提供するのに役立ちます。
また、有害な化学物質が含まれていないため、安全に使用することができます。
園芸用土も床材として使用可能ですが、そのまま使用するとカビの発生や害虫の混入のリスクがあるため、選ぶ際には無農薬で無肥料のものを選び、使用前に十分に加熱して消毒することが推奨されます。
園芸用土は自然な見た目を提供し、アマガエルが掘りやすい環境を作り出します。
最後に、キッチンペーパーは、非常に低コストで衛生的な選択肢です。
湿度の管理がしやすく、掃除も簡単に行えるため、特に幼体のアマガエルや隔離が必要な個体の一時的な床材として適しています。
また、病気の治療中にもよく使われます。
これらの床材は、それぞれに特有の利点と注意点があり、ニホンアマガエルの健康と飼育環境に適したものを選ぶことが重要です。
- ペットシーツ
- ペット用ソイル
- 園芸用土
- キッチンペーパー
床材には生育環境を清潔に保ったり、温度や湿度を維持したりといった働きがあります。
私は床材を使わずに飼育していますが、簡単にケージを丸洗いすることができるため、床材を使わないという方法もおすすめです。
霧吹き

乾燥が大敵となるため、1日2回程度、霧吹きでケージを湿らせましょう。
温度

ニホンアマガエルは在来生物なので、日本で飼う場合、あまり神経質になる必要はありません。
ただし、夏の直射日光と冬の過度な寒さには注意が必要です。
室温を20~25℃に保つと良いでしょう。
餌
ニホンアマガエルの餌は、主に生きた虫か人工餌の2つがあげられます。
動く生き物を餌として認識するため、虫を与える際は、コオロギ、レッドローチ、ミルワームなど生きたものを与える必要があります。
ペットショップなどで1匹10~15円で買うことができます。
人工餌は動かないためピンセット等で少し動かして与えましょう。
生きた虫などから始めて、慣れてきたらピンセット等を使って与えるようにしていくと、人慣れしたカエルになりやすいです。


ニホンアマガエルの飼育の注意点
室内飼育か屋外飼育
室内か屋外のどちらでも飼育は可能ですが、一般的には室内飼育の方が安全性が高いです。
アマガエルを室内で飼育するか屋外で飼育するかは、それぞれの環境の特性を理解し、飼育の目的や手間を考慮したうえで決めることが重要です。
室内飼育
室内飼育の最大のメリットは、温度や湿度の管理がしやすいことです。
エアコンや加湿器を使えば、年間を通して安定した環境を維持できるため、気候の影響を受けにくく、アマガエルの健康管理がしやすくなります。
また、紫外線ライトを利用することで、自然光の不足を補うことも可能です。
さらに、室内であれば天敵の心配がなく、食事の管理もしやすいため、安心して観察を楽しむことができます。
ただし、湿度が低くなりがちなため、こまめな霧吹きが必要になり、適切な照明や通気性を確保する工夫が求められます。
屋外飼育
一方、屋外での飼育は、より自然に近い環境を再現できるという点が大きな利点です。
日光を直接浴びることができるため、紫外線によるビタミンD3の生成が促され、健康的な発育が期待できます。また、外気の変化に適応しやすくなることで、自然なリズムで活動するようになります。
しかし、屋外飼育では気温の変動が激しく、夏の高温や冬の寒さに対応する工夫が必要になります。
直射日光が当たりすぎると熱中症のリスクがあり、寒さが厳しくなれば冬眠を考慮しなければなりません。
また、天敵である鳥や猫などに狙われる危険性もあるため、ケースやネットでしっかりと保護することが求められます。
どちらの環境を選ぶかは、飼育のしやすさとアマガエルの健康を考慮することが重要です。
管理のしやすさを重視するなら室内飼育が向いており、自然に近い環境でのびのびと育てたい場合は屋外飼育が適しています。
それぞれの特徴を理解し、適切な環境を整えることで、アマガエルが快適に過ごせるようにすることが大切です。
冬眠させるか否か
ニホンアマガエルを冬眠させるかどうかは、飼育者の意思決定によって概ねコントロールすることができますが飼育環境や個体の状態を考慮して判断することが重要です。
それぞれにメリットとデメリットがあり、適切な選択をすることで健康を維持できます。
冬眠させるメリット
冬眠させるメリットとしては、自然のリズムに合わせた飼育ができることが挙げられます。
本来の生態に沿った生活を送ることでストレスが少なくなり、健康的な成長が期待できます。
また、冬眠中はエネルギー消費がほとんどなくなるため、餌を与える必要がなく、管理の手間が減る点も利点です。さらに、冬眠を経験することで繁殖のスイッチが入り、繁殖行動を促す効果も期待できます。
冬眠させるデメリット
一方、冬眠させることにはリスクも伴います。
冬眠中は免疫力が低下し、カビや細菌による感染症のリスクが高まる可能性があります。
また、冬眠から目覚める際にエネルギーをしっかり蓄えていないと衰弱してしまい、最悪の場合は命を落とすこともあります。
特に、体力のない個体や高齢のアマガエル、幼体は冬眠に耐えられないことがあるため、無理に冬眠させるのは避けたほうがよいでしょう。
冬眠させないメリット
冬眠させない場合のメリットとしては、健康管理がしやすく、環境を一定に保つことで体調を安定させやすいことが挙げられます。
また、冬眠中のリスクを避けられるため、病気や体力低下の心配が減ります。
冬眠させないデメリット
ただし、冬眠しない場合は冬の間も餌を確保する必要があり、適切な温度や湿度を維持する手間が増えます。
さらに、自然なリズムから外れることでストレスを感じる個体もいるかもしれません。
どちらを選ぶにしても、それぞれのメリットとデメリットを理解し、アマガエルの状態や飼育環境に合わせた判断をすることが大切です。
ニホンアマガエルの毒性について
ニホンアマガエルは弱い毒性を持っており、皮膚から分泌される粘液に微量の有害成分が含まれています。
この粘液は外敵から身を守るためのもので、捕食者が口にすると苦みを感じたり、軽い刺激を受けたりすることがあります。
ただし、人間にとっては強い毒ではなく、触れた程度で健康に影響が出ることはほとんどありません。
しかし、皮膚の敏感な人やアレルギーを持つ人が直接触ると、かぶれやかゆみが生じる可能性があるため、扱う際は注意が必要です。
特に、目や口に粘液が入ると刺激を感じることがあるため、アマガエルに触れた後は必ず手を洗うことが推奨されます。

素手で触らない(冷やしてから触る)

カエルにとって人間の体温はかなり高温であり、火傷させてしまう恐れがあります。
爬虫類や両生類はあまり触らないのが基本です。
触るときは冷やしてから触るようにしましょう。
触った後は手を洗う

カエルに限らず、生き物を触った後は必ず手を洗いましょう。
前述のようにニホンアマガエルの体表には弱い毒があるので特に注意が必要です。
ヒホンアマガエルの体色の変化について
ニホンアマガエルは、環境に応じて体色を変えることができる特徴を持っています。
基本的には緑色ですが、周囲の状況や温度、湿度、気分などによって、茶色や灰色に変化することがあります。
例えば、乾燥した場所や暗い環境では茶色っぽくなり、湿度が高い場所では鮮やかな緑色を保つことが多いです。
また、ストレスを感じたときや冬眠前後には灰色や黒っぽい色になることもあります。
ただし、カメレオンのように瞬時に色が変わるわけではなく、変化には数時間から数日かかることが一般的です。
この体色変化は、周囲に溶け込むことで外敵から身を守る役割を果たしていると考えられています。

ニホンアマガエルの飼育方法【まとめ】
飼育に必要なものは上記した7つ。
日頃のお世話として
- 2~3日に1回ケージ内をきれいにする
- 水は常に清潔に保つ
- 3日に1回餌をあげる
- 1日2回霧吹きをする
このようにニホンアマガエルは初心者でも簡単に飼うことができます。
飼育することでニホンアマガエルの可愛らしさを存分に感じることができます。
適切なかんきょうとケアを提供することで、最高のパートナーとなるでしょう。
飼育を楽しんでください!