ウーパールーパーの泳ぎ方を見て、「なんだかぎこちないな」「これって普通なの?」と感じたことはありませんか?
愛らしい見た目とは裏腹に、意外と独特な泳ぎを見せるウーパールーパー。その動きにはちゃんとした理由があり、健康状態を見分けるヒントにもなるんです。
この記事では、ウーパールーパーの基本的な泳ぎ方から、注意すべき異常な泳ぎ方まで、わかりやすく解説していきます。
ウーパールーパーの泳ぎ方ってどんな感じ?
ウーパールーパーは泳ぎが下手?
ウーパールーパーの泳ぎを初めて見た人の多くが、「え、こんなに泳ぐの下手で大丈夫?」と感じるかもしれません。
ぎこちなくふわふわと漂うように泳ぐ
実際、魚のようにスイスイと泳ぐわけではなく、ぎこちなくふわふわと漂うような動きが多く見られます。
ときには、思いがけない方向に体を傾けたり、水中でじっとしていたりすることも。
でも、安心してください。
それがウパの自然な泳ぎ
これは異常ではなく、ウーパールーパーの泳ぎ方としてはごく自然なものです。
もともとウーパールーパーは、水中であまり活発に動き回らず、必要なときにだけゆっくりと移動する生き物です。
泳ぎが苦手というより、「無駄に泳がない省エネタイプ」と言ったほうが正確かもしれません。
動きがゆっくりでも、浮力のバランスが取れていて、自分の意志で上や下に移動できていれば、基本的には問題ありません。
急な動きを見せたら要注意
逆に、急に暴れるような泳ぎ方をしたり、ひっくり返ってしまったりするようであれば、体調不良や水質の問題が関係しているかもしれません。
その見極めについては、後半でくわしく解説します。
基本はのんびりとした動きが特徴
ウーパールーパーは、もともと活発に泳ぎ回るタイプの生き物ではありません。
普段の行動を見ていると、水槽の底や岩の陰にじっとしていることが多く、泳ぎ出すのは何か目的があるとき――たとえば、エサを見つけたときや水槽の環境に変化があったときなどです。
泳ぐときも、まるで水の中を漂っているような、ゆっくりとした動きが特徴的です。
決して勢いよくバタバタと泳ぐのではなく、ふわふわと水中を浮かびながら移動する様子は、どこか優雅ささえ感じさせるほどです。
こののんびりとした泳ぎ方は、ウーパールーパーの生態に合った自然な行動です。
活発すぎる動きや、常に泳ぎ続けているような状態は、逆にストレスや体調不良のサインであることもあります。
つまり、「あまり泳がない=元気がない」とは限らず、ウーパールーパーにとっては普通で健康な状態と言えるのです。
手足よりも尾ひれを使って移動する
ウーパールーパーの泳ぎ方をよく観察してみると、実は手足はあまり使っていないことに気づくかもしれません。
彼らが水中を移動する際にメインで使っているのは、大きくて平たい尾ひれです。
この尾ひれを左右にゆっくり動かすことで、水の中を進んでいきます。
前足や後ろ足もありますが、これはどちらかというと地面に着地したときのバランスをとるための役割が大きく、泳ぎの推進力としてはあまり活躍していません。
特に水中では、ほぼ尾ひれだけで移動する省エネなスタイルが基本です。
このような体の使い方は、ウーパールーパーが水中で静かに生活するために最適化されたものです。
逆に言えば、手足をバタつかせながら泳いでいるような様子が見られた場合は、何かに驚いたり、水温や水質がストレスになっていたりする可能性もあるので、注意深く様子を見守ってあげましょう。
たまにクルクル回るのはなぜ?
ウーパールーパーを見ていると、急にその場でクルクルと回転することがあります。
これを初めて目にした飼い主さんの中には、「病気かも?」「何かに苦しんでるのでは…」と心配になる方も多いのではないでしょうか。
実はこの行動、必ずしも異常とは限りません。
単なる好奇心や遊び、環境に反応した一時的な動きであることもよくあります。
水中で何か気になるものがあったときや、フィルターの流れに反応してくるっと回転してみたりするのは、ウーパールーパーにとって自然な行動の一つとも言えます。
ただし、頻繁に回り続けたり、体のバランスが崩れてひっくり返るような様子が見られる場合は注意が必要です。
浮き袋の異常やお腹にガスが溜まっている可能性もあるので、その場合は水温や水質をチェックし、場合によっては一時的な絶食などで様子を見るとよいでしょう。
クルクル回る=即病気、ではありませんが、「たまに」「軽く」「すぐに戻る」といった様子であれば基本的には心配いらないと覚えておくと安心です。
元気なウーパールーパーの泳ぎ方の見分け方
自然な動きと落ち着いた浮き沈み
健康なウーパールーパーは、決して常に動き回っているわけではありません。
むしろ多くの時間をじっとして過ごしています。
しかし、「動かないから元気がない」とは限らず、必要なときにだけゆったりと動く姿勢こそが、健康のサインとも言えます。
自然な泳ぎ方とは、無理のない浮き沈みと、水槽内をスムーズに移動できること。
水面にゆっくりと近づいたり、底までスッと潜ったりする動作が見られれば、浮力バランスが保たれている証拠です。
息継ぎのために水面に近づいて軽く顔を出す行動も、ごく普通のものなので安心してください。
反対に、泳ぎが急にぎこちなくなったり、上下の移動が極端に難しそうだったりする場合は、何らかの不調のサインかもしれません。
ふだんの落ち着いた動きを知っておくことで、少しの異変にも気づきやすくなります。
水面や底にスムーズに移動できているか
ウーパールーパーの健康状態を見極めるうえで、水面と水底の移動がスムーズかどうかはとても大切なポイントです。
元気な個体であれば、水槽内を上下に移動するときも、ふわっと浮かんだり、スッと沈んだりと、無理のない動きを見せます。
水面に近づくのは、主に呼吸をするためです。
ウーパールーパーはエラだけでなく、肺も持っているので、ときどき水面に顔を出して空気を吸います。
健康な子なら、この動作がとても自然で、すぐに元の位置へ戻っていきます。
一方で、うまく沈めずに常に水面に浮いていたり、逆に沈んだまま浮かび上がれないような様子が見られる場合は、浮き袋のトラブルや体内にガスが溜まっている可能性があります。
また、水質の変化やストレス、食べ過ぎなども原因になることがあります。
普段から、どのくらいの頻度で水面に行くのか、どれくらいの時間じっとしているのかを観察しておくと、ちょっとした変化にも早く気づくことができるでしょう。
エラの動きもチェックポイント
泳ぎ方のチェックとあわせて見ておきたいのが、エラの動きです。
ウーパールーパーのエラは頭の横にフサフサと広がっていて、とても特徴的な見た目をしています。
このエラが、軽くふわふわと動いている様子が見られれば、呼吸が順調に行われている証拠です。
元気なウーパールーパーは、特に意識していないように見えても、エラが自然に揺れていたり、小さくピクピクと動いていることが多いです。
これは水中の酸素を取り入れている証拠で、正常な生理反応と言えます。
逆に、まったくエラが動いていなかったり、呼吸が荒くてエラが大きくバタついているような様子が見られるときは注意が必要です。
水中の酸素不足や、水質の悪化、あるいは体調不良によって呼吸に異常が出ている可能性があります。
泳ぎ方とあわせてエラの様子をチェックすることで、より正確にウーパールーパーの健康状態を判断することができます。
「いつもと同じようにエラがふわふわ動いているか?」を、日々の観察ポイントに加えてみてください。
ちょっと心配?異常な泳ぎ方のサイン

急に暴れたように泳ぐ
ふだんはのんびりと動いているウーパールーパーが、突然バタバタと暴れるように泳ぎ回ったり、水槽内を激しく動き回ったりすることがあります。
このような動きが一度きりであれば、何かに驚いたり、体の位置を変えたかっただけという可能性もあります。
しかし、何度も繰り返したり、明らかに落ち着きがない様子が続く場合は注意が必要です。
水質の変化や、水温の急激な上昇、体のどこかに違和感を感じているなど、何らかのストレスを受けているサインかもしれません。
特に、急な暴れ方のあとに底でじっと動かなくなったり、呼吸が荒くなっているように見える場合は、早めの対処が求められます。
水換えをしたばかり、エサを変えた、何かレイアウトをいじったなど、環境に変化があったときは、まずその影響を疑ってみましょう。
ぐるぐる回転する、ひっくり返る
ウーパールーパーが水中でぐるぐると回転したり、体が横向きや仰向けになってひっくり返ってしまう場合、体のバランスが崩れているサインかもしれません。
このような動きは、一時的なものならさほど心配はいりませんが、何度も繰り返したり、姿勢を戻せずに苦しそうにしている様子が見られた場合は要注意です。
特に、ひっくり返ったまま元に戻れない状態が続くと、浮き袋のトラブルや内臓の異常、体内にガスが溜まっている可能性が考えられます。
また、腸の調子が悪くガスが発生していると、体が浮きすぎてひっくり返ってしまうこともあります。
水温が高すぎたり、水質が悪化していたりすると、こうした症状が出やすくなる傾向があります。
原因が思い当たらない場合でも、まずは水質と水温のチェックを行いましょう。できれば一時的に絶食させて、体内のガスや負担を減らすことも検討してみてください。
全く泳がず浮いている・沈んだまま動かない
ウーパールーパーがずっと水面に浮いたまま動かない、あるいは水底でじっとしていてまったく動かないという状態が続くと、「大丈夫かな?」と不安になりますよね。
ただし、動かないからといってすぐに異常とは限りません。
本来ウーパールーパーはあまり泳ぎ回らない生き物なので、長時間じっとしているのはよくあることです。
しかし、以下のような状態が見られる場合は注意が必要です。
- 水面で浮き続けているのに、潜れない
- 沈んだまま、エラの動きも弱く、呼吸が浅そう
- 呼びかけても反応が鈍い、体が硬直している感じがある
こうした状態は、浮き袋の異常、体内のガス、内臓の不調、水温のストレスなどが影響している可能性があります。
とくに水面に浮きっぱなしでエサを食べられないような状態が続くと、命に関わることもあるため注意が必要です。
まずは水温・水質の確認と、絶食による様子見が基本です。
急激な対応は避け、落ち着いて対処してあげましょう。場合によっては、水位を少し下げて移動しやすくしてあげるのも効果的です。
泳ぎ方に異常があるときの原因と対策
水質の悪化が原因になることも
ウーパールーパーの異常な泳ぎ方の原因としてまず疑うべきなのが、水質の悪化です。
水の中に含まれるアンモニアや亜硝酸といった有害物質が増えると、ウーパールーパーはストレスを感じたり、呼吸がうまくできなくなったりして、パニックのような動きを見せることがあります。
見た目の透明度がきれいでも、目に見えない汚れが溜まっていることはよくあります。
フンや食べ残しが水中で分解されることで水質は急激に悪化するため、ろ過フィルターだけに頼らず、定期的な水換えがとても重要です。
対策
異常な泳ぎが見られたときは、まず試験紙や水質チェッカーでアンモニア・亜硝酸・硝酸塩の数値を確認しましょう。
数値が基準値を超えていれば、すぐに部分的な水換えを行い、水をきれいに保つようにしてください。
また、掃除のしすぎや急激な水換えによって、水中のバクテリアバランスが崩れることもあるため、あくまで落ち着いた水質管理を継続的に行うことが大切です。
水温が合っていない可能性
ウーパールーパーは水温にとても敏感な生き物です。適温はだいたい18〜22℃前後とされており、それよりも高すぎたり低すぎたりすると、泳ぎ方にも異変が出やすくなります。
特に注意が必要なのは夏場。水温が25℃を超えると、ウーパールーパーにとってはかなりのストレスになります。
酸素が溶けにくくなり、呼吸が苦しくなったり、体がだるくなったりして、急に暴れたり、水面に浮かび続けたりといった異常な動きが見られることがあります。
逆に冬場で15℃を下回るような水温になると、今度は動きが鈍くなりすぎて沈んだままじっとしている状態が増えてきます。
これは代謝が落ちている状態で、ある意味では自然な反応ですが、あまりにも反応が鈍く、食欲もない状態が続くようであれば、ヒーターでの温度管理が必要です。
対策
水温は、見た目では分からないため、必ず水温計を設置し、朝と夜の変化にも注意して観察しましょう。
急激な温度変化も体調に影響を与えるため、ゆるやかな調整を心がけることがポイントです。
お腹のガスや病気の影響
ウーパールーパーの泳ぎ方に異変があるとき、体内にガスが溜まっていることが原因になる場合もあります。
特に、水面に浮かんだまま潜れない、体がひっくり返ってしまうといった症状は、消化不良や腸内ガスが関係しているケースが多いです。
原因としては、エサの与えすぎや、消化しにくいものを食べた場合が考えられます。
また、水温が高くなると消化が早まりすぎて腸内でガスが発生しやすくなるため、季節やエサの量・質によっても影響を受けます。
対策
対策としては、まず1〜2日間の絶食がおすすめです。
ウーパールーパーは数日間何も食べなくても健康に影響はないため、消化器官を休ませてガスが抜けるのを待つことが有効です。さらに、水深を浅くして泳ぎやすくするのもサポートになります。
ウーパールーパーが快適に泳げる環境を作るには
水深やレイアウトの工夫
ウーパールーパーが安心して泳げる環境を作るには、水槽の水深とレイアウトの工夫がとても大切です。
彼らはあまり泳ぎが得意な生き物ではないため、水深が深すぎると泳ぐのがしんどくなったり、水面に出て呼吸をするのが難しくなることもあります。
水深は体長の2~3倍程度の水深
目安としては、体長の2〜3倍程度の水深があれば十分。
それ以上深くすると、浮き上がるのに力を使ってしまい、ストレスにつながることがあります。特にまだ小さな個体や、体調が不安定なときには、思い切って水深を浅くする方が安心です。
水槽内のレイアウト
また、水槽内のレイアウトも重要です。
あまりゴチャゴチャと飾りを置きすぎると、ウーパールーパーが泳ぎにくくなったり、どこかに引っかかってケガをするリスクがあります。
シンプルで、隠れ家になるシェルターや流木を1〜2個置く程度が理想的でベアタンクも選択肢に入ります。

底砂を入れる場合は、誤飲を防ぐためにも粒が大きめで飲み込めないサイズのものを選びましょう。
掃除のしやすさも考慮して、水槽全体を「安全かつ移動しやすい空間」に整えることが、ウーパールーパーの快適な泳ぎにつながります。
フィルターの流れを弱めにする
ウーパールーパーにとって、水流の強さはとても重要な環境要素です。
もともと静かな水域に生息する彼らは、強い水の流れがあるとそれだけでストレスを感じてしまい、落ち着かなくなったり、思うように泳げなくなってしまいます。
特に、市販の外掛けフィルターや上部フィルターは、構造によってはかなりの水流を発生させてしまうことがあります。
ウーパールーパーがいつも水流に逆らって泳いでいたり、体が押し流されるような様子が見られたら、それは水流が強すぎるサインです。
対策
対策としては、まず水流の出口にスポンジやウールマットをかぶせて、水の勢いを和らげることが有効です。
また、吐出口の角度を壁に向けるように調整することで、直接水流がウーパールーパーに当たらないようにするのも効果的です。
最近では「水流が弱いことを売りにしたフィルター」も販売されていますので、あまりDIYをしたくない方はそういった機種を選ぶのも手です。
重要なのは、ウーパールーパーが水槽のどこにいても安心して過ごせる水の流れを作ること。静かな環境づくりが、快適な泳ぎを支えてくれます。
定期的な水換えでストレス軽減
ウーパールーパーが快適に泳ぐためには、水を清潔に保つことが基本中の基本です。
見た目がきれいでも、時間が経つとフンや食べ残しなどから有害な物質が蓄積し、水質はどんどん悪化していきます。
この悪化が進むと、ウーパールーパーは泳ぎに異変を見せたり、じっと動かなくなったりといった不調を起こすことがあります。
特に初心者の方にありがちなのが、「ろ過フィルターがあるから水換えは不要」と思い込んでしまうこと。
しかし、フィルターだけでは分解しきれない汚れも多いため、定期的な水換えは不可欠です。
水換えの目安としては、週に1回、全体の1/4〜1/3ほどの水を交換するのが一般的です。
急激にすべての水を変えてしまうと、水質が大きく変わってかえってストレスを与えることになるので、あくまで“ゆるやかに、こまめに”がポイントです。
また、水換えの際には必ずカルキ抜きをした水を使用すること、温度差が出ないように事前に温度を合わせることも大切です。
定期的な水換えを習慣にすれば、泳ぎ方も安定し、ウーパールーパーにとって快適な環境が保てるようになります。
まとめ|泳ぎ方の観察は健康チェックの第一歩
ウーパールーパーの泳ぎ方は、一見すると「下手なのでは?」と思えるほど独特でゆっくりしています。
しかし、そののんびりとした動きこそが彼らにとって自然なスタイルであり、健康のサインでもあります。
普段の様子をしっかり観察しておけば、少しの異変にもすぐに気づけるようになります。
急に暴れる、ひっくり返る、ずっと浮いている・沈んでいるといった異常な泳ぎ方には、水質や水温の問題、体調不良、消化トラブルなどさまざまな原因が隠れていることがあります。
慌てず落ち着いて、環境やエサの見直し、水換えなど基本的なケアをしてあげることで、多くの場合は改善が見込めます。
ウーパールーパーにとって泳ぎは移動手段であり、体の調子を表す大切なサインでもあります。
日々の観察を通じて、ぜひ小さな変化に気づける“飼い主の目”を育てていってくださいね。