春から初夏にかけて、水辺や田んぼの近くで「ゲッ、ゲッ、ゲッ」という声を聞いたことはありませんか。
その正体が、トノサマガエルの鳴き声です。
トノサマガエルの鳴き声は、季節や時間帯によって聞こえ方が大きく変わります。
「夜になるとうるさく感じる」「雨の日によく鳴く気がする」「オスだけが鳴くの?」といった疑問を持つ人も多いでしょう。
この記事では、
トノサマガエルが鳴く理由
いつ・どんな条件で鳴くのか
鳴き声はうるさいのか、迷惑になるのか
オスとメスの違い
といった点を中心に、鳴き声の正体をわかりやすく解説します。
トノサマガエルの飼育方法については以下の記事を参考にしてください。

トノサマガエルはいつ鳴く?鳴く時期と季節

トノサマガエルが鳴くのは、主に繁殖期にあたる春から初夏です。
地域差はありますが、目安としては4月下旬から6月頃にかけて鳴き声が目立つようになります。
この時期は、田んぼに水が張られ、ため池や水路の水量も安定し、トノサマガエルにとって繁殖に適した環境が整います。
鳴き声は、そうした環境条件がそろったことを示すサインとも言えるでしょう。
逆に、冬眠明け直後や繁殖期が終わった夏以降には、同じ場所にトノサマガエルがいても鳴き声がほとんど聞こえなくなります。
トノサマガエルが鳴く理由とは?

トノサマガエルが鳴く最大の理由は、繁殖のためです。
鳴き声は、オスがメスを呼び寄せるための重要なコミュニケーション手段になります。
単に「ここにいるよ」と知らせるだけでなく、「自分は元気で、繁殖に適した状態である」というアピールの意味も含まれています。
そのため、鳴き声の強さや安定感は、メスがパートナーを選ぶ際の判断材料のひとつになると考えられています。
力強く、一定のリズムで鳴けるオスほど、選ばれやすい傾向があるとされています。
鳴いているのはオスだけ?オスとメスの違い

トノサマガエルで鳴くのはオスのみです。
メスが鳴くことは、基本的にありません。
オスが鳴ける理由は、喉に鳴嚢(めいのう)と呼ばれる器官を持っているためです。
鳴くときにはこの鳴嚢が風船のように大きく膨らみ、声を増幅させて遠くまで届けます。
一方、メスには鳴嚢がなく、体格はオスよりもやや大きめで、全体的にどっしりとした印象を受けることが多いです。
繁殖期には、鳴いているオスのもとへメスが近づき、繁殖行動へと進んでいきます。
トノサマガエルの鳴き声はどんな音?
トノサマガエルの鳴き声は、一般的に「ゲッ、ゲッ、ゲッ」あるいは「グェッ、グェッ」と表現されることが多いです。
アマガエルの「ケロケロ」とした高い声に比べると、トノサマガエルの声は低く、やや濁った太い音が特徴です。
そのため、人によっては「野太い」「力強い」と感じることもあります。
また、単独で鳴いている場合よりも、複数のオスが集まって鳴き交わすと、独特の重なり合った音になり、周囲に響きやすくなります。
参考動画を見ると、文字だけでは伝わりにくい音の質感が分かりやすいでしょう。
よく鳴く時間帯や天候の条件

トノサマガエルは、夕方から夜にかけて鳴くことが多いカエルです。
日中は物陰でじっとしていることが多く、暗くなってから活動が活発になります。
また、雨が降った後や湿度が高い日には、特に鳴き声が増える傾向があります。
雨によって水辺の環境が整い、繁殖に適した条件がそろうため、オスたちが一斉に鳴き始めるのです。
夜間は周囲の生活音が少ないため、鳴き声が遠くまで響きやすく、実際の音量以上に「うるさく感じる」こともあります。
鳴き声はうるさい?迷惑に感じることはある?

トノサマガエルの鳴き声は、自然の中ではそれほど問題になることはありません。
しかし、人の生活環境によっては「うるさい」と感じられる場合もあります。
特に、
・複数のオスが集まって鳴く
・夜間の静かな時間帯
・住宅地に近い田んぼや水路
といった条件が重なると、鳴き声が連続して響き、気になる人もいるでしょう。
一方で、同じ鳴き声でも
「季節を感じる音」
「自然の一部として心地よい」
と感じる人も少なくありません。
鳴き声の感じ方には個人差があり、環境によって印象が大きく変わる音と言えます。
繁殖期以外は鳴かない?

繁殖期が終わると、トノサマガエルはほとんど鳴かなくなります。
夏以降は鳴き声を聞く機会が急激に減り、秋には静かに過ごす個体がほとんどです。
そのため、「春にはうるさく感じたのに、夏になると急にいなくなったように感じる」ということも珍しくありません。
実際には姿を見せず、鳴かないだけで、同じ場所に生息していることも多いのです。
トノサマガエルの鳴き声について【まとめ】
トノサマガエルの鳴き声は、繁殖期に限定された行動です。
鳴くのはオスだけで、メスを呼び、縄張りを主張するために鳴いています。
鳴き声は、季節・時間帯・天候によって大きく変わり、特に雨の後や夜間に目立ちやすくなります。
うるさく感じることがある一方で、自然のリズムを伝える音でもあります。
鳴き声の正体を知ることで、トノサマガエルという身近なカエルの行動が、より理解しやすくなるでしょう。
