イエアメガエルを飼っていると、
「カルシウムって与える必要があるの?」
「そもそも不足することってあるの?」
「どんなエサを与えているとカルシウムは不足するの?」
「どんなエサを与えているとカルシウムが不足しない?」
など様々な疑問を感じるかもしれません。
見た目は元気そうに見えても、実は体の中でカルシウムが足りなくなっていることも。
特に、普段どんな餌を与えているかによって、知らず知らずのうちに偏りが生じている可能性があります。
この記事では、イエアメガエルにカルシウムがなぜ必要なのか、カルシウム不足になるとどうなるのか、そして「どんな餌を与えていると不足しやすいのか」「逆に安心な餌は?」といった疑問にも丁寧にお答えします。
気になる方は、ぜひ最後まで読んでみてくださいね。
イエアメガエルにカルシウムは必要なの?

イエアメガエルのような両生類も、私たち人間と同じく骨や筋肉を作るためにカルシウムが欠かせません。
特に成長期の若い個体や、繁殖に向けて体力をつけたい時期などは、カルシウムの需要が高まります。
カルシウムが不足すると、骨がもろくなる「クル病」と呼ばれる状態になりやすくなります。
手足が変形したり、うまくジャンプできなくなったり、ひどい場合には骨折してしまうこともあります。
また、食欲の低下や元気がなくなるなど、日常の様子にも変化が見られるようになります。
一見すると元気そうに見えても、体の中でじわじわとカルシウム不足が進行しているケースも少なくありません。
だからこそ、見た目の様子だけでなく、食事内容や飼育環境を通じて、きちんとカルシウムを摂取できているかを意識することが大切です。
イエアメガエルにとってカルシウムが不足しやすい餌とは?

イエアメガエルの餌としてよく使われるのが、コオロギやデュビア(アルゼンチンフォレストローチ)などの活き餌です。
これらは動きがあるため食いつきも良く、タンパク質も豊富で理想的な餌のように思えますが、実はカルシウムとのバランスが悪いという弱点があります。
特に問題になるのが「リン」が多く含まれている点です。
リンはカルシウムの吸収を妨げる働きがあり、リンの割合が高い餌ばかりを与えていると、体内でカルシウム不足が進行しやすくなります。
理想的なバランスは「カルシウム2:リン1」程度ですが、コオロギやデュビア単体ではこの比率が逆転してしまうことも珍しくありません。
また、餌の種類が少ない(いつも同じものばかり)と、栄養が偏りがちになるため注意が必要です。
たとえば「コオロギだけ」「デュビアだけ」のような飼育を続けていると、どうしてもカルシウムが足りなくなる傾向があります。
一方で、カルシウムを強化した人工飼料や、餌にカルシウムパウダーをまぶす(後述)などの工夫をすれば、こうした偏りを防ぐことができます。
つまり、どんな餌を選ぶかによって、カルシウムの摂取量は大きく変わってくるのです。
カルシウム不足を防ぐための対策とは?

イエアメガエルのカルシウム不足を防ぐためには、餌の与え方をひと工夫することが大切です。
活き餌をそのまま与えるだけでは栄養が偏りやすいため、以下のような方法でカルシウムを補うことが推奨されています。
ダスティング

まず基本となる最も多くの方が採用している方法が「ダスティング」です。
これはコオロギやデュビアなどの餌に、カルシウムパウダーをまぶして与える方法です。
市販の爬虫類・両生類用カルシウムパウダーを使い、餌を軽くビニール袋に入れて振るなどすれば、簡単に全体に粉をまぶすことができます。
これにより、餌を通じて効率よくカルシウムを摂取できます。
ガットローディング

もうひとつは「ガットローディング」と呼ばれる方法です。
これは、餌となる昆虫に事前に栄養価の高いフード(カルシウムを含む餌など)を食べさせておくことで、イエアメガエルに間接的に栄養を届けるテクニックです。
コオロギ用の栄養強化フードなどが市販されており、それを餌虫に与えることで、より栄養バランスの良い状態で捕食させることができます。
ただしこの方法が取れるのは、飼育者が自分で生餌を繁殖させている場合のみに限りますのでハードルが高いです。
人工飼料の併用

さらに、人工飼料を併用するのも有効です。
最近では、イエアメガエルが食べやすい柔らかさの人工フードも増えており、カルシウムが強化されている製品もあります。人工フードに慣れれば、栄養管理が格段に楽になります。
なお、カルシウムの吸収には「ビタミンD3」が必要です。
これは自然界では日光(紫外線)を浴びることで体内生成されますが、室内飼育では紫外線ライトを使わないと不足することがあります。
したがって、ライトを設置するか、ビタミンD3入りのカルシウムパウダーを使うことで補うのが一般的です。
カルシウムを与える頻度と注意点

カルシウムは大切な栄養素ですが、与え方や頻度にも注意が必要です。
成長段階によるカルシウムを与える頻度の違い
特に、年齢や成長段階によって必要な量は異なります。
成長期
成長期の若いイエアメガエルは、骨や体の発達が活発なため、カルシウムの需要が高くなります。
この時期はほぼ毎回の給餌でカルシウムを補うのが理想です。
ダスティングであれば毎回軽くまぶして与えるくらいで問題ありません。
成体期
一方で、成体(大人のカエル)になると成長が落ち着くため、カルシウムの量も控えめでよくなります。
週に2〜3回程度のダスティングで十分な場合が多いです。
ただし、食事の量や活動量に応じて調整が必要です。
D3入りとD3なしの違い
また、カルシウムパウダーには「ビタミンD3入り」と「D3なし」の2種類があり、使い分けが大切です。
紫外線ライトを使用していない場合はD3入りを使うのが一般的ですが、ビタミンD3は体内に蓄積されやすく、与えすぎると中毒を起こすリスクがあります。
普段はD3なしのパウダーを使い、週1〜2回だけD3入りを使うという方法がよく採用されています。
与え過ぎに注意
さらに、いくら栄養が大事とはいえ「与えすぎ」には注意が必要です。
カルシウムを過剰に摂取すると、体内で結石(カルシウムのかたまり)ができてしまうこともあります。
適量を守ることが、健康を維持するうえで非常に重要です。
まとめ|健康に育てるためにカルシウム管理は必須
イエアメガエルを元気に育てるためには、ただ餌を与えるだけでなく、栄養バランスにも気を配ることが大切です。
特にカルシウムは、骨の健康や体の成長に欠かせない栄養素であり、不足すると深刻な健康トラブルにつながることがあります。
活き餌ばかり与えていると、カルシウムが足りなくなってしまうことがあるため、ダスティングやガットローディングなどの工夫を取り入れることが重要です。
また、人工フードや紫外線ライトの活用も、カルシウム管理において大きな助けとなります。
成長段階や飼育環境に合わせて、適切な頻度と方法でカルシウムを補うことが、長く健康に飼育するためのポイントです。
大切なイエアメガエルが元気に過ごせるよう、日々の餌選びや管理にもぜひ気を配ってあげてくださいね。