一歩間違えれば危険な存在、しかし知れば知るほど魅力的。
ヒキガエルという名前を聞くと、多くの人はその見た目やぬめり感を思い浮かべるかもしれませんが、この生き物が持つ本当の「武器」はその外見ではなく、その体内に秘められた強力な毒です。
なぜヒキガエルは毒を持つのか、そしてそれが私たち人間にとってどのような意味を持つのか。
この記事では、ヒキガエルの持つ驚くべき防御機構の秘密に迫ります。
ヒキガエルが持つ2つの毒について
ヒキガエルは実は2種類の毒をもっています。
そのうち1つは比較的、毒性の弱いもので人間にとってあまりリスクがないモノです。
そしてもう1つの毒は、比較的毒性の強いもので飼育者は注意が必要です。
ヒキガエルは2種類の毒をもつ
皮ふ毒
ヒキガエルがもつ2種類の毒のうち1つは皮ふ毒です。
両生類、特にカエルやイモリなどは、その柔らかい皮膚から様々な毒を分泌することがあります。
驚くことに、見た目が可愛らしいアマガエルでさえも毒を持っています。
これらの生物はウロコを持たず、肌が露出しており、湿度が高く細菌が繁殖しやすい環境に生息しているため、皮膚を微生物から守るために毒が必要なのです。
しかし、ヒキガエルの毒の抗菌作用が主であり、人間にとってはそれほど危険ではありません。
非常に皮膚が敏感であるか、傷口に直接触れない限り、健康に害を及ぼすことはほとんどないでしょう。
前述したようにヒキガエルの皮ふの毒はあまり心配はいりません。
多くの人にとっては殆ど何も影響はないでしょうが、あえて言えば飼育者はヒキガエルを触ったら必ず手をよく洗うようにしましょう。
ブフォトキシン
もう1つのヒキガエルの毒性とは、「ブフォトキシン」と呼ばれるものです。
ヒキガエルの鼓膜の後ろに位置する「耳腺」(上の図の赤丸の箇所)という器官から分泌されるこの毒は、乳白色の強烈な毒性を持っています。
この毒は、神経系やステロイド系に影響を及ぼす成分を含んでおり、皮膚に触れた場合には炎症を引き起こすことがあります。
ヒキガエルの毒に刺されて臨時に包帯を作った~ pic.twitter.com/S83y7tIFqI
— 💜メリット💜 (@x09_Merrit_90x) July 12, 2024
さらに、この毒が口に入ると、神経系や循環器系に重大な障害を引き起こし、幻覚、嘔吐、下痢、心臓発作などの症状を引き起こすことがあり、最悪の場合には命に関わる事態に至る可能性があります。
ヒキガエルの中には耳腺から1メートル以上先の天敵に向けて毒液を飛ばす種もいるようです。
ヒキガエルはブフォトキシンをいつ出す?
ヒキガエルの毒性(ブフォトキシン)は主に捕食者を中毒死させるために発達したものです。
ヒキガエルは、脅威や危険を感じたときにブフォトキシンを分泌します。
これは自己防衛の一環として、捕食者や他の敵から身を守るための手段です。
ブフォトキシンは非常に強力な毒素であり、ヒキガエルの皮膚腺から分泌されるため、敵がヒキガエルに触れた際に効果を発揮します。
この毒によって、ヒキガエルは自身を守ることができるのです。
逆を言えば、ヒキガエルは脅威を感じなければブフォトキシンを出すことはまずありません。
推奨するわけではありませんが、飼育者の多くは素手でヒキガエルを触っている方も多数います。
ココアさん(♀)
— 椿@両爬垢(ほぼ虫圭) (@Hn62836) January 7, 2025
頑張ってバランスとってジャンプ
からのひっくり返され大人しくボディチェック
(地味に重い)#カエルの呼吸を見守る会#ヒキガエル #ナガレヒキガエル pic.twitter.com/W5HGVtZQjr
そして、ヒキガエルを食べることだけは危険なので絶対にやめてください。
毒をもつヒキガエルを食べる行為はとっても危険!
ヒキガエルを食べるなんて、ほとんどの方は考えないと思いますが中には、ぶっ飛んだ方もいるようです。
そういう場合は毒性について正しい知識を持って、毒を排除して食す必要があります。
決しておすすめするわけではありませんがエンタメとして参考動画貼り付けておきます。
ヒキガエルの毒性への対処法
ヒキガエルの毒性への対処法としては基本的に食べたり、ヒキガエルに脅威を感じさせなければあまり心配はいりません。
しかし大人は問題なくても小さな子どもだと何でも口に入れてしまうかもしれません。
特に、小さな子供やペットが誤ってヒキガエルの毒液を口にした場合、重篤な症状を引き起こす可能性があります。
ヒキガエルの毒性による症状の強さは、接触した毒液の量や、個人の感受性によって大きく左右されます。
一部のヒキガエルの毒には、幻覚作用を引き起こす成分が含まれていることも報告されていますが、これは非常にまれなケースです。
ヒキガエルの毒性による死亡例は、適切に処置が行われなかった場合や、大量の毒液を摂取した場合に報告されています。
ヒキガエルとの接触は十分に注意し、万が一毒液に触れてしまった場合は、速やかに洗い流し、必要に応じて医療機関を受診することが重要です。
ペットの犬や猫がヒキガエルを舐めてしまった場合も同様の処置が必要です。
ヒキガエルの卵やおたまじゃくしも毒性をもつ?
ヒキガエルの卵やオタマジャクシにも毒性があります。
これは親ヒキガエルが持つ毒性と同じく、捕食者からの防御機構の一環として存在します。
ヒキガエルの卵に含まれる毒は、特にその粘液やゼラチン質の卵の被膜に多く含まれており、これにより卵が水生の捕食者から守られます。
オタマジャクシも成長過程で皮膚から毒を分泌することがありますが、成体に比べると毒性は弱い場合が多いです。
ただし、ヒキガエルの卵やオタマジャクシに直接触れることは避け、もし触れてしまった場合には、すぐに手を洗うなどして皮膚に毒が残らないよう注意が必要です。
毒の強さや影響はヒキガエルの種類によって異なるため、特定の種に関する情報も参考にすると良いでしょう。
ヤマカガシがヒキガエルを食べる理由とは?
ヤマカガシがヒキガエルを食べる理由は、その特異な毒性への耐性にあります。
一般的に多くの捕食者は、ヒキガエルが持つ強力な毒によって避ける行動をとりますが、ヤマカガシはこの毒に対して自然に耐性を持っているため、毒の影響を受けることなくヒキガエルを食べることができます。
この耐性は、ヤマカガシがヒキガエルの毒素であるブフォトキシンを無効化する特殊な酵素や生体機構を進化させた結果です。
このような進化的適応により、ヤマカガシは他の捕食者が手を出しにくい食源を利用することができ、食物競争を有利に進めることが可能です。
さらに、ヤマカガシはこの毒を自身の体内に蓄積し、自己の防御機構としても活用するという報告もあります。
このように、ヤマカガシはヒキガエルを捕食することで自身を捕食する天敵から身を守っているのです。
※🐍と🐸が苦手な人は閲覧注意(カエル好きな人も辛いかも)
— レオ (@turtleskomadori) May 25, 2024
山で目撃。
ヤマカガシって本当にヒキガエル食べて毒を蓄えるのね。マムシみたいなフォルムで太かった。
最後…いよいよ連れて行かれる時のカエルが切ない表情を浮かべるが、助けても手遅れだろうし、何か違うと思い、そっと去りました。 pic.twitter.com/hpQOPYrN2f
ヒキガエルの毒性について【まとめ】
いかがでしたか。「ヒキガエルの持つ毒性は、その生態系における生存戦略の一環として発展してきましたが、その驚異的な効力は人間にとっても無視できないものがあります。
この記事では、その強烈な毒の成分と、それが人間や他の動物に与える影響について詳しく解説しました。
しかし、ヒキガエルの毒にはまだ未知の側面が多く、これからの研究が期待される領域でもあります。