爬虫類や両生類のエサとして定番の「コオロギ」ですが、ショップや通販でよく見かけるのがクロコオロギとフタホシコオロギです。
名前は似ていますが、実は大きさ・性質・繁殖のしやすさ・向いている飼育スタイルに明確な違いがあります。
この記事では「クロコオロギ フタホシコオロギ 違い」という検索意図に沿って、初心者でも迷わないように両者の違いを分かりやすく整理します。
クロコオロギとフタホシコオロギの違い
フタホシコオロギとは?

フタホシコオロギは、東南アジア原産の外来種で、エサ用として改良・流通が進んできたコオロギです。
現在では爬虫類や両生類のエサとして広く使われており、ペットショップや通販でも安定して入手できます。
最大の特徴は、高温環境下での成長スピードの速さです。
25〜30℃前後の環境では短期間で一気にサイズアップし、成虫になると体に厚みのある、がっしりとした体つきになります。
背中の羽の付け根部分には名前の由来でもある二つの斑点があり、見た目でも判別しやすい種類です。
動きが活発で捕食反応を引き出しやすいため、食いつきを重視したい場面ではメリットがあります。
ただし、成長の早さや活発さゆえに、管理面ではやや扱いづらさを感じることもあります。

クロコオロギとは?

クロコオロギは、爬虫類や両生類のエサ用として流通しているコオロギの一種で、黒っぽい体色と比較的おとなしい性質が特徴です。
ペットショップや通販では、フタホシコオロギとは別に扱われることが多く、管理のしやすさから選ばれるケースも少なくありません。
クロコオロギは「フタホシコオロギの品種改良」と言われています。
エサ用として流通している個体の多くは養殖由来と考えられており、外見や性質の違いによって実用的に区別されているのが実情です。
野外で見かけることがあるのも事実ですが、それが元々の在来個体なのか、養殖個体が逸出・定着したものなのかを外見だけで判別することは難しいとされています。
飼育面では、成長が比較的緩やかで、フタホシコオロギほど活発に跳ね回らない傾向があります。
サイズ変化も急激ではないため、エサの大きさを管理しやすく、ストック用のエサとして安定して使いやすい点が評価されています。
このように、クロコオロギは分類上の位置づけよりも、扱いやすさや性質の違いによってエサ用として選ばれているコオロギだと言えるでしょう。
大きさ・成長スピードの違い

クロコオロギとフタホシコオロギの違いが最も分かりやすく表れるのが、成虫になったときの大きさと、そこに至るまでの成長スピードです。
エサとして使う場合、この差は見た目以上に影響します。
クロコオロギは比較的コンパクト
クロコオロギは成虫になると体は比較的、大柄の印象があります。
ただし幼体から成虫までの成長もゆっくりで、サイズが急激に変わることはあまりありません。
そのため、飼育している爬虫類や両生類の口の大きさに合わせて、エサのサイズを調整しやすいという特徴があります。
フタホシコオロギは成長が速い
一方のフタホシコオロギは、成長スピードが非常に速いコオロギです。
特に25〜30℃程度の高温環境では、一気にサイズアップし、短期間で大型の成虫になります。
体高があり厚みも出るため、同じ「成虫」でもクロコオロギとは別物のように感じることも少なくありません。
大きくなりすぎるリスクも
この成長の速さはメリットにもデメリットにもなります。
フタホシコオロギは、短期間で大きなエサを確保できるため、中型〜大型の爬虫類や両生類には非常に使い勝手が良い存在です。
ただし、ストックしている間に想定以上に大きくなってしまい、「気づいたら与えにくいサイズになっていた」ということも起こりやすくなります。
クロコオロギは成長スピードが緩やか
クロコオロギの場合は、サイズ変化が穏やかな分、給餌計画を立てやすく、エサのローテーション管理もしやすい傾向があります。
成長が遅いからこそ、無駄が出にくいと感じる飼育者も多いです。
エサとしての扱いやすさを重視するならクロコオロギ、成長の速さと食べ応えを重視するならフタホシコオロギ、と考えると分かりやすいでしょう。
性格・行動の違い(噛む・跳ねる・脱走)

クロコオロギとフタホシコオロギは、見た目やサイズだけでなく、動き方や気性にもはっきりした違いがあります。
この差は、実際に飼育・管理してみるとかなり体感しやすいポイントです。
フタホシは反応が鋭い
フタホシコオロギは非常に活発で、刺激に対する反応が鋭いコオロギです。
ケースのフタを開けた瞬間に跳ねたり、物陰から一斉に動き出したりすることも珍しくありません。
その分、脱走しやすく、給餌や掃除のたびに気を使う場面が増えがちです。
また、個体数が多くなったり、隠れ家やエサが不足したりすると、共食いや噛みつきが起こりやすい傾向もあります。
クロコオロギはやや落ち着いている
クロコオロギは、それと比べると動きがやや落ち着いています。
もちろん跳ねないわけではありませんが、フタホシほど瞬発的ではなく、扱っていて「暴れる感じ」は少なめです。
そのため、ケースを開けた際の飛び出しや、管理中のストレスは比較的軽く済みます。
噛みつきや共食いについても、クロコオロギの方が穏やかな印象です。
環境が悪ければどちらも共食いは起こりますが、フタホシほど一気に数が減るケースは少なく、安定して維持しやすいと感じる人が多いでしょう。
こうした性格や行動の違いから、管理のしやすさという点ではクロコオロギの方が初心者向きと言われることが多くなります。一方で、フタホシコオロギの活発な動きは捕食反応を引き出しやすく、食いつきを重視する場合には大きなメリットにもなります。
飼育・管理のしやすさの違い

クロコオロギとフタホシコオロギの違いは、日々の世話を続けていく中でよりはっきりしてきます。
とくに差が出やすいのが、臭い・鳴き声・環境トラブルといった管理面です。
臭いはフタホシの方が強くなりがち
フタホシコオロギは高温多湿の環境を好み、数も増えやすいため、ケース内の環境が悪化しやすい傾向があります。
エサの食べ残しやフンが溜まると、比較的早い段階で独特の臭いが出てきます。
こまめな掃除や通気を意識しないと、「コオロギ臭さ」を強く感じやすい種類です。
クロコオロギは同じ条件で飼育した場合でも、臭いの出方は比較的穏やかです。
成長や活動が緩やかな分、環境の悪化スピードも遅く、多少管理がラフでも急激に状態が崩れることは少なめです。そのため、エサ用コオロギの管理に慣れていない人でも扱いやすいと感じやすいでしょう。
鳴き声はフタホシの方が目立つ
鳴き声については、どちらもオスが成虫になると鳴きますが、フタホシコオロギの方が音量・頻度ともに目立ちやすい印象があります。
夜間にケースを置いていると、思った以上に存在感を主張してくることもあります。クロコオロギも鳴きはしますが、全体的にはやや控えめです。
共食いリスクもフタホシの方が高い
また、フタホシコオロギは個体数が増えるほど、共食いや事故が起こりやすくなります。
隠れ家が足りない、エサが切れた、といった小さな管理ミスが一気に数の減少につながることもあります。
クロコオロギはその点で比較的安定しており、環境さえ整えておけば長期間維持しやすい傾向があります。
繁殖のしやすさの違い

クロコオロギとフタホシコオロギは、どちらも自家繁殖が可能ですが、その感覚はかなり異なります。
特に「増えるスピード」と「失敗したときの振れ幅」に差が出やすいポイントです。
フタホシの繁殖力
フタホシコオロギは、繁殖力が非常に高いコオロギです。
温度を25〜30℃前後に保ち、産卵床とエサを切らさなければ、次々と卵を産み、短期間で幼体が孵化します。
条件が整ったときの増え方は凄まじく、「気づいたらケースがいっぱいになっていた」ということも珍しくありません。
ただし、この爆発力は同時にリスクにもなります。
密度が一気に上がることで共食いや事故が増え、環境が少し崩れただけで大量死につながるケースもあります。
増えるのが早い分、管理が追いつかないと一気に全滅する、という極端な結果になりやすいのがフタホシコオロギの特徴です。
クロコオロギの繁殖は緩やか
クロコオロギの繁殖は、それに比べるとかなり穏やかです。
産卵自体はしますが、孵化数や成長スピードは控えめで、爆発的に増えることはあまりありません。
その分、環境変化に対しての影響も緩やかで、管理を続けやすいというメリットがあります。
どちらがエサとしておすすめ?目的別の選び方

クロコオロギとフタホシコオロギは、優劣というよりも「向いている使い方」が違うエサです。
そのため、どちらを選ぶべきかは、飼育している生き物や管理スタイルによって変わってきます。
クロコオロギがおすすめの方
エサ用コオロギの管理にあまり手間をかけたくない場合や、サイズ管理を重視したい場合は、クロコオロギの方が扱いやすいでしょう。
成長が緩やかで、急に大きくなりすぎることが少ないため、与える側のペースで使いやすいのが特徴です。
脱走や共食いといったトラブルも比較的起こりにくく、初心者でも安定して維持しやすい傾向があります。
フタホシコオロギをおすすめしたい方
一方で、フタホシコオロギは食べ応えと成長スピードを重視したい場合に向いています。
中型から大型の爬虫類や両生類では、フタホシのボリューム感がそのままメリットになります。
捕食反応も強く出やすく、「しっかり食べさせたい」という場面では心強い存在です。
ただし、その分管理には多少の慣れが必要になります。
自家繁殖を前提に考える場合も、考え方は同じです。
短期間で数を増やしたいならフタホシコオロギ、数はそこそこでいいから安定して回したいならクロコオロギ、という選び方が現実的です。
まとめ
クロコオロギとフタホシコオロギは、同じエサ用コオロギでも性質はかなり異なります。クロコオロギは成長が緩やかで管理しやすく、サイズ調整もしやすいため、安定運用を重視する飼育スタイルに向いています。一方、フタホシコオロギは成長が早く大型になりやすく、食べ応えや捕食反応を重視したい場合に力を発揮します。
どちらが優れているかではなく、「飼育している生き物」「エサの管理にかけられる手間」「繁殖させるかどうか」といった条件によって、最適な選択は変わります。それぞれの特徴を理解したうえで選べば、エサ管理のストレスは大きく減り、給餌もよりスムーズになります。
コオロギ選びで迷ったときは、まず自分の飼育環境を基準に考えることが、いちばん確実な判断材料になります。
