クロコオロギの繁殖方法を完全解説|産卵床・孵化・育て方まで

スポンサードリンク

クロコオロギは、繁殖力が高く、コツさえ押さえれば家庭でも比較的安定して増やせる餌用コオロギです。

「数がすぐ減ってしまう」「卵を産んでいる気配がない」「ベビーが育たない」など、繁殖につまずくポイントはほぼ決まっています。

この記事では、クロコオロギの繁殖を成功させるために必要な環境作りから、産卵・孵化・ベビー管理までを、失敗例を交えながら順番に解説します。

初めて自家繁殖に挑戦する方でも再現しやすい内容にまとめています。

スポンサードリンク
目次

クロコオロギは繁殖しやすい?特徴と基本知識

クロコオロギは、餌用コオロギの中でも自家繁殖に向いている種類として知られています。

理由はシンプルで、「環境への適応力が高く、多少管理がラフでも繁殖が回りやすい」からです。

フタホシコオロギと比べると、クロコオロギはやや小型で、動きもそこまで激しくありません。

そのためケース内でのストレスが溜まりにくく、産卵行動も安定しやすい傾向があります。

また、鳴き声が比較的控えめなので、屋内飼育でもトラブルになりにくい点も繁殖向きと言えます。

繁殖の流れ自体は非常に単純で、

・成虫を一定数まとめて飼う
・温度を高めに保つ
・湿った産卵床を用意する

この3点が揃えば、特別な技術がなくても産卵→孵化まで進みます。

一方で、「何も考えずにケースに入れておくだけ」で無限に増えるわけではありません。

温度不足や乾燥、親個体の栄養不足があると、まったく卵を産まないこともあります。

つまりクロコオロギは、

・正しい環境を作ればかなり繁殖しやすい
・条件が外れると一気に止まる

この性質を理解しておくことが、安定繁殖の第一歩になります。


クロコオロギの繁殖方法

飼育環境の作り方

クロコオロギの繁殖で最も重要なのは、「ケースの豪華さ」ではなく環境条件の安定です。

特に意識したいのは、ケースサイズ・温度・通気の3点です。


ケース

まず飼育ケースですが、衣装ケースや昆虫用ケースで十分です。

目安としては、成虫30〜50匹程度なら中型〜大型ケース1つが扱いやすく、過密になりにくいです。

ケースが小さすぎると、ストレスや共食いが増え、産卵数も落ちやすくなります。

通気性は非常に重要です。

フタに大きめの通気穴を開け、金網や不織布を貼って空気がしっかり入れ替わるようにします。

通気が悪いと、湿度がこもってカビが発生しやすくなり、卵や成虫に悪影響が出ます。


温度

温度は25〜30℃前後が繁殖に適した範囲です。

25℃を下回ると活動量が落ち、交尾や産卵が鈍くなります。

そのため、パネルヒーターや爬虫類用ヒーターをケースの外側に設置し、常に温かい場所を確保します。


床材

床材については、ケース全体に厚く敷く必要はありません。

クロコオロギの繁殖では、床材はあくまで「足場」と「隠れ場所の役割が中心です。

卵は床材に直接産むのではなく、後述する産卵床に産み付けます。

そのため、底面はキッチンペーパーや薄く敷いた赤玉土・ヤシガラ土程度で問題ありません。

ケース内には、卵パックや段ボール片を立てて入れ、上下方向に隠れられるスペースを作ると落ち着きやすくなります。

このように、

・適度な広さ
・しっかりした通気
・25〜30℃の温度帯

この3点が揃うことで、クロコオロギは自然と繁殖モードに入りやすくなります。


オスとメスの見分け方と繁殖に適した比率

左がオスで右側(産卵管が伸びている)がメス

クロコオロギの繁殖を安定させるには、オスとメスを正しく見分け、偏りすぎない比率で飼うことが重要です。

ここが崩れると、環境が整っていても産卵数が伸びません。

見分け方は意外とシンプルです。

成虫サイズまで育った個体を観察すると、メスのお腹の先端にはまっすぐ長い産卵管があります。

一方、オスにはこの産卵管がなく、お腹の先は短く丸みがあります。

また、オスは羽をこすり合わせて鳴くため、鳴き声が聞こえる場合はオスがいる証拠になります。

ただし、鳴き声だけで数を把握するのは難しいため、最終的には見た目で確認するのが確実です。

繁殖に適したオスメス比は、オス1に対してメス2〜3が目安です。

オスが多すぎると、

・メスをしつこく追い回す
・交尾ストレスが増える
・消耗が激しくなり寿命が縮む

といった問題が起こりやすくなります。

逆に、メスが多すぎる場合でも大きな問題はありませんが、オスが極端に少ないと交尾の機会が減り、産卵数が伸びにくくなります。

自家繁殖では、最初から完璧な比率にこだわる必要はありません。

大まかに「メス多め」を意識しつつ、鳴き声がうるさすぎると感じたらオスを減らす、くらいの感覚で十分です。

また、成虫になってから日が浅い個体だけを集めるのもポイントです。

寿命が近い個体ばかりだと、産卵期間が短くなり、思ったほど増えない原因になります。


産卵床の作り方と設置のコツ

クロコオロギの繁殖成否を大きく左右するのが、産卵床の出来です。

環境が整っていても、産卵床が不適切だとほとんど卵を産みません。

産床材

産卵床としてよく使われるのは、浅めのプラスチック容器やタッパーに、湿らせた赤玉土・バーミキュライト・ヤシガラ土などを入れたものです。

深さは3〜5cm程度あれば十分で、ケース全体に敷く必要はありません。


湿度

重要なのは「湿り気」です。

指で軽く握ると形が残る程度で、水が滴るほど濡らしてはいけません。

過湿になると卵が窒息したり、カビが発生しやすくなります。


設置場所

設置場所は、ケース内の温度が高く、比較的落ち着ける場所が理想です。

ヒーターを設置している側の近くに置くと、産卵が始まりやすくなります。


チェックと交換

また、産卵床は入れっぱなしにせず、数日に一度チェックすることが大切です。

表面が乾いてきたら霧吹きで軽く湿らせ、カビが出てきた場合はすぐ交換します。


産卵は見た目での判別は困難

繁殖が軌道に乗ると、産卵床の中には目に見えない卵が大量に入っていきます。

見た目では分かりにくいため、「産んでいない」と判断して捨ててしまうのはよくある失敗です。

目安として、

・成虫を入れて3〜5日経過
・温度が25℃以上

この条件を満たしていれば、産卵している可能性は十分あります。

産卵から孵化までの流れと管理方法

産卵床が設置され、条件が整うと、クロコオロギは気づかないうちに次々と卵を産み始めます。


卵の目視確認はほぼ不可

ただし、卵は非常に小さく土の中に埋められるため、目視で確認できることはほとんどありません。

そのため、管理の基本は「産卵している前提で扱う」ことになります。


3-5日で回収

産卵床は、成虫ケースに入れて3〜5日ほど経過したら回収するのが目安です。

長く入れっぱなしにすると、成虫に掘り返されたり、乾燥や過湿の影響を受けやすくなります。

温度と湿度管理

回収した産卵床は、別の小型ケースに移し、25〜30℃前後を維持します。

この時、フタは完全密閉せず、軽く通気を確保してください。通気がないとカビが発生しやすくなります。

湿度管理も重要です。

乾燥すると卵が死んでしまい、逆に濡れすぎると腐敗の原因になります。

表面が乾いてきたら、霧吹きで軽く湿らせる程度で十分です。


孵化までの日数

孵化までの日数は、温度にもよりますが、7〜14日前後がひとつの目安です。

温度が高めに安定しているほど、孵化は早く進みます。

ある日突然、土の表面やケースの壁に米粒より小さい黒っぽい個体が動き始めたら孵化成功です。


最初は数匹に見えても、時間が経つと一気に増えてきます。なお、孵化直後は非常にデリケートな時期です。この段階では、土をかき混ぜたり、頻繁に触ったりせず、静かに管理することが重要です。


孵化後のベビー(Sサイズ)の育て方

孵化したばかりのクロコオロギは、体長数ミリほどの非常に小さなサイズです。

この時期の管理が、その後の生存率を大きく左右します。

まず重要なのは餌切れを起こさないことです。

孵化直後からすでに自力で餌を食べ始めるため、ケース内には常に食べられる餌を用意しておく必要があります。

餌として使いやすいのは、

・細かく砕いたコオロギフード
・粉末状の昆虫ゼリー
・すり潰した野菜(少量)

いずれも粒が大きいと食べられないため、必ず粉状にします。

水分は、直接水皿を置くと溺死の原因になります。

そのため、水分は餌に含ませるか、湿らせたキッチンペーパーで補給します。

常に軽く湿った場所がある状態が理想です。

次に気をつけたいのが共食い対策です。

ベビー同士でも、餌が不足すると共食いが起こります。

特に密度が高い場合は発生しやすくなるため、

・餌を切らさない
・卵パックや段ボールで隠れ家を増やす

この2点を意識します。

温度管理は成虫と同様に、25〜30℃を維持します。

低温になると成長が極端に遅くなり、その間に数が減ってしまうことがあります。

成長スピードには個体差がありますが、条件が良ければ2〜3週間ほどでSサイズからMサイズ程度まで育ちます。

この頃になると、ある程度丈夫になり、管理もかなり楽になります。

繁殖がうまくいかない時によくある原因

クロコオロギは繁殖しやすい反面、条件が少し崩れるだけで一気に増えなくなることがあります。

うまくいかない場合、原因はほぼ次のどれかに集約されます。


温度不足

まず最も多いのが温度不足です。

25℃を下回る時間が長いと、成虫の活動量が落ち、交尾や産卵がほとんど行われなくなります。

特に冬場や夜間に温度が下がりやすい環境では、「昼は問題ないのに増えない」という状況が起こりがちです。


湿度管理不足

次に多いのが乾燥または過湿です。

産卵床が乾きすぎると卵が死んでしまい、逆に湿らせすぎるとカビが発生します。

ケース全体を加湿するのではなく、「産卵床だけを適度に湿らせる」という管理が重要です。


親個体の栄養不足

三つ目は親個体の栄養不足です。

餌が少なかったり、栄養が偏っていると、メスが卵を作れなくなります。

見た目は元気でも、産卵数が極端に減ることがあります。


過密飼育

また、過密飼育も見落とされがちな原因です。

数が増えすぎると、

・ストレス増加
・共食い
・産卵床を掘り返される

といった悪循環に陥ります。

「繁殖しない」と感じた時は、新しいことを足す前に、

  • 温度は足りているか
  • 産卵床は乾いていないか
  • 餌は十分か

この3点をまず見直すのが近道です。

クロコオロギを安定供給するための管理サイクル

クロコオロギを「一度増やして終わり」にしないためには、繁殖を回し続ける仕組みを作ることが重要です。

ポイントは、ケースを役割ごとに分け、流れを固定することです。

基本となるのは、

親用ケース → 産卵床 → 孵化・育成ケース → 餌用サイズ

という一方向のサイクルです。

親用ケースには、繁殖に使う成虫だけを入れます。

ここでは数を増やすことよりも、産卵に集中させる環境を維持します。

定期的に産卵床を入れ替え、古い床は孵化用として別管理に回します。

孵化・育成ケースでは、Sサイズ〜Mサイズまで育てます。

この段階で数が多くなりすぎた場合は、複数ケースに分けることで共食いを防げます。

Mサイズ以上になった個体は、

・一部を餌用として消費
・元気な個体を次世代の親候補として残す

この2つに振り分けます。

このローテーションを作っておくと、

「親が死んで一気に全滅した」
「使いたい時にサイズがいない」

といったトラブルを防ぎやすくなります。

重要なのは、完璧を目指さないことです。

多少ムラがあっても、産卵床を定期的に回し、温度と餌を切らさなければ、クロコオロギは自然と増え続けます。


まとめ

クロコオロギの繁殖は、特別な技術がなくても、環境さえ整えば十分に成立します。
重要なのは、温度・産卵床・餌という基本を崩さないことです。

・25〜30℃を維持する
・適度に湿った産卵床を用意する
・親個体にしっかり餌を与える

この3点を意識するだけで、繁殖の成功率は大きく上がります。
最初は試行錯誤しながらでも、管理サイクルが固まれば、安定した餌の自家供給が可能になります。

スポンサードリンク
スポンサードリンク
よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!
目次