ヨーロッパイエコオロギを飼育・ストックしていると、「何を餌として与えればいいのか」「野菜だけで足りるのか」「爬虫類や両生類の餌として使うなら栄養は十分なのか」と悩む方は多いと思います。
実は、ヨーロッパイエコオロギは与える餌の内容によって、栄養価・寿命・繁殖効率まで大きく変わる昆虫です。
この記事では、ヨーロッパイエコオロギの基本的な餌の考え方から、日常管理に向いた餌、ペット用餌として価値を高める与え方(ガットローディング的視点)まで、実用面に絞って分かりやすく解説します。
ヨーロッパイエコオロギの餌は何を食べる?

ヨーロッパイエコオロギは雑食性の昆虫で、植物性・動物性のどちらも口にします。
そのため一見「何でも食べそう」に見えますが、飼育下では餌の選び方によって状態に大きな差が出ます。
まず理解しておきたいのが、目的によって餌の考え方が変わるという点です。
ヨーロッパイエコオロギを「繁殖・ストックするため」に飼うのか、それとも「爬虫類・両生類に与える餌用」として管理するのかで、適した餌は異なります。
生かしておくだけなら、最低限の栄養と水分があれば問題ありません。
しかし、餌用として使う場合は「コオロギ自体の栄養価」も重要になります。
何を食べさせて育ったコオロギかによって、ペットが摂取する栄養も変わってくるからです。
そのため、ヨーロッパイエコオロギの餌は
- 主食となる乾燥飼料
- 水分・ビタミン補給用の副食
を組み合わせて考えるのが基本になります。
主食として使いやすい餌の種類

ヨーロッパイエコオロギの主食として安定して使いやすいのは、乾燥タイプの餌です。
腐りにくく、管理が楽なため、長期飼育や大量ストックにも向いています。
もっとも無難なのは、市販のコオロギ・昆虫用フードです。
栄養バランスがある程度考えられており、偏りが出にくいのがメリットです。粉末タイプ・ペレットタイプのどちらでも問題ありません。
市販品が手に入りにくい場合は、ラビットフードや小動物用ペレットを代用することもあります。
穀類・植物性原料が主体なので、コオロギの主食としては十分機能します。
一方で、乾燥飼料だけに頼ると水分不足になりやすい点には注意が必要です。
乾燥餌はあくまで「エネルギー源」と割り切り、別途水分を補う工夫が欠かせません。
野菜・植物性の餌はどこまで使える?

野菜はヨーロッパイエコオロギにとって、水分補給とビタミン補給を兼ねた餌になります。
キャベツ、小松菜、にんじんなど、一般的な葉物・根菜は問題なく使えます。
ただし、野菜はあくまで「補助的な餌」です。
野菜だけを与えていると、栄養が偏り、成長が遅くなったり、弱りやすくなることがあります。
また、最大の注意点は腐敗の早さです。
湿度の高いケース内では、野菜はすぐに傷み、カビやダニの原因になります。特に夏場は、半日〜1日で交換する意識が必要です。
野菜を与える場合は
- 少量をこまめに
- 食べ残しは早めに撤去
この2点を守るだけで、トラブルは大きく減ります。
動物性タンパク質は必要?

ヨーロッパイエコオロギは動物性タンパク質も摂取しますが、必須というわけではありません。
基本的な維持飼育であれば、植物性中心の餌でも問題なく生存・繁殖します。
ただし、繁殖を重視したい場合や、餌用として栄養価を高めたい場合には、少量の動物性タンパク質を取り入れることがあります。
魚粉入りフードや、砕いたドッグフード・キャットフードなどが例として挙げられます。
注意したいのは「与えすぎ」です。
動物性タンパク質を多く与えると、臭いが強くなったり、ケース内が不衛生になりやすくなります。結果として、死亡率が上がることもあります。
使うとしても、常食ではなく補助的に少量。
この距離感が、ヨーロッパイエコオロギ飼育ではちょうど良いバランスです。
ペットの餌として使うなら重要な「栄養価」の考え方

ヨーロッパイエコオロギを爬虫類・両生類の餌として使う場合、「コオロギが何を食べていたか」は非常に重要です。
乾燥フードだけで育ったコオロギは、生きてはいますが、必ずしも栄養価が高いとは言えません。
特にビタミンやミネラルは不足しがちになります。
そのため、餌として使う前には
- 野菜
- 栄養価の高い人工飼料
を与えて、体内に栄養を蓄えさせてから使用する(ガットローディング)のが理想です。
なお、冷凍・乾燥する場合は、その直前の餌内容がほぼそのまま反映されます。
「どうせ冷凍するから」と餌管理を雑にすると、結果的にペット側の栄養不足につながります。

ヨーロッパイエコオロギの餌でよくある失敗例

ヨーロッパイエコオロギの餌管理で多い失敗は、内容そのものよりも「管理方法」にあります。
もっとも多いのが水分不足です。
水を直接置かない代わりに野菜で補っているつもりでも、量が足りていないケースは珍しくありません。
次に多いのが、餌の置きっぱなしです。
特に野菜や動物性フードは、ケース内の環境悪化を一気に進めます。
また、安価な餌を単一で与え続けることで、気づかないうちに栄養が偏っている場合もあります。
餌の与え方と管理のコツ

餌の内容以上に重要なのが、与え方と交換頻度です。
乾燥フードは常設でも問題ありませんが、野菜や補助餌はこまめに様子を見ることが前提になります。
床材の上に直接餌を置くと、汚れやすくなります。
小皿やペットボトルキャップなどを使うだけでも、ケース内はかなり清潔に保てます。
餌が原因で環境が悪化すると、繁殖効率や生存率が一気に落ちます。
「食べているか」だけでなく、「ケース内が汚れていないか」をセットで確認する意識が大切です。
まとめ
ヨーロッパイエコオロギは雑食性で幅広い餌を食べますが、飼育下では「何を、どう与えるか」で状態が大きく変わります。
主食には管理しやすい乾燥フードを使い、水分やビタミン補給として野菜を少量ずつ組み合わせるのが基本です。動物性タンパク質は必須ではなく、使う場合も補助的にとどめることでトラブルを防げます。
また、爬虫類や両生類の餌として使う場合は、コオロギ自身の栄養状態がそのままペットに影響します。与える直前の餌管理を意識することで、より質の高い餌になります。
餌の種類よりも重要なのは、腐敗させないこと、水分不足にさせないこと、そしてケース内を清潔に保つことです。
この3点を意識すれば、ヨーロッパイエコオロギは安定して飼育・管理しやすい昆虫になります。
