シリケンイモリを飼育していると、ふと目を離したすきに姿が見えなくなる……そんな“脱走事件”にヒヤッとした経験はありませんか?
水辺でのんびりしている姿とは裏腹に、意外と行動力があり、特に水槽のフチや隙間を見つけるとスルリと抜け出すことがあります。
放っておくと乾燥で命を落とすこともあるため、脱走リスクの把握と対策は非常に重要です。
この記事では、シリケンイモリが脱走する原因や見つけ方・探し方のポイント、そして脱走を未然に防ぐための対策を、わかりやすく解説していきます。
シリケンイモリが脱走する理由とは?

意外にすばしっこい!俊敏な動き
シリケンイモリは水中でのんびりと泳いでいる印象がありますが、いざというときの素早さは侮れません。
水槽内でのびのびと過ごしていても、ちょっとしたタイミングで一気にジャンプしたり、スルリと抜け出すような行動を見せることがあります。
特に夜行性であるため、人間が寝静まった深夜〜早朝に脱走することも多いです。
昼間は大人しくても、夜になると活発に動き回るため油断は禁物です。
水槽のフタが甘い・スキマがある
もっとも多い脱走原因は、フタの閉め忘れやスキマの存在です。
完全に閉まっていないフタや、わずかな通気孔などから、イモリは体をくねらせて出てきてしまいます。
特に注意が必要なのがガラス蓋を少しだけずらしている状態。
人間にとっては「ちょっと隙間が空いてるだけ」でも、シリケンイモリにとっては「自由への扉」になりかねません。
水位が高すぎてフチに届いてしまう
水槽の水位を高くしすぎると、イモリが水面から簡単にフチに届いてしまう状態になります。
そこに水草や流木など、登れるものがあれば脱走ルートが完成してしまいます。
特に「シェルターの上に乗る → 水面に顔が出せる → さらにジャンプ」というパターンで脱走することが多いため、水位とレイアウトのバランスには注意が必要です。
外に出たい本能?ストレスや環境不満も要因に
シリケンイモリは基本的に“そこそこ満足していれば”脱走を企てることは少ないです。
逆に、ストレスが溜まっていたり、環境が合っていないと感じると脱走行動に出やすくなる傾向があります。
たとえば、
- 温度が低すぎる/高すぎる
- 隠れ家がなく落ち着けない
- 光が強すぎてストレスを感じている
など、飼育環境が整っていないと「ここから出たい」という本能が働くのです。
脱走してしまったときの探し方と対処法

どこにいる?よく見つかる場所の傾向
シリケンイモリが脱走した場合、見つかる場所にはある程度の傾向があります。
一番多いのは、水槽の近くの家具のすき間や壁際です。
とくに暗くて狭く、湿度が高そうな場所を好むため、本棚の下や冷蔵庫の裏、観葉植物の鉢のそばなども要チェックです。
また、脱走から時間が経っていない場合は、水槽から落ちた場所のすぐ近くでじっとしているケースも多いです。
まずは半径1〜2メートルの範囲から重点的に探してみましょう。
探すときのコツ(音・光・湿気に注目)
脱走イモリを探すときは、懐中電灯やスマホのライトを使って低い位置を照らしながら探すのが基本です。
特に床との色の違いや、ツヤっとした体表が反射する光を手がかりにすると見つけやすくなります。
また、ビニール袋を踏むような“パリパリ音”が聞こえることもあるため、耳をすませて静かに探すのがコツ。
エアコンの下や加湿器の近くなど、少しでも湿気のある方向に移動している可能性があるため、乾燥していない場所を優先して確認しましょう。
見つかったらどうする?捕獲と安全確保の手順
発見できたら、焦らず静かに捕獲しましょう。
素手でもOKですが、できれば濡らした手や柔らかい布を使うと安全です。
乾いた手だと皮膚を傷つけてしまう恐れがあります。
捕まえた後は、まずは水槽に戻す前に身体の状態をチェック。
特に脱水状態になっていないか、皮膚がカサカサしていないか、怪我をしていないかを軽く確認しましょう。
乾燥や怪我のチェックも忘れずに
シリケンイモリは皮膚呼吸も行うため、脱走中に乾燥した空気にさらされると命の危険があります。
もし体表がカラカラになっている場合は、すぐに水に戻すのではなく、湿らせたガーゼやティッシュで少しずつ体を潤すようにしてください。
また、移動中に家具や物の隙間で擦り傷や打撲を負っている可能性もあるため、1~2日は普段よりも静かな環境で安静にさせると良いでしょう。
脱走を防ぐための予防対策

屋外飼育は非推奨!脱走後の発見は絶望的
シリケンイモリは基本的に屋内での飼育が前提です。
その理由の一つが、万一脱走した場合、屋外ではまず見つからないからです。
屋外の環境では、
- 草むらや地面の隙間など隠れる場所が無限にある
- 周囲の気温や乾燥の影響を受けやすい
- カラスや野良猫などの外敵に襲われる可能性がある
といった危険が多く、脱走後時間が経っていれば発見率は限りなくゼロに近づきます。
とくに、庭やベランダなどにケージを置いて飼うケースでは、フタが飛ばされたり、気づかないうちに隙間ができることも。
脱走=命の危険に直結するため、室内での飼育を徹底しましょう。
しっかり閉まるフタ・ケージの選び方
脱走防止で最も重要なのは、水槽のフタを“完全に閉じる”ことです。
といっても「なんとなく乗せておくだけ」では不十分。
少しの隙間やズレでも、シリケンイモリは意外とすり抜けてしまいます。
専用のフタがない場合は、水槽サイズに合ったメッシュ蓋やアクリル板を使い、クリップなどで固定しておくと安心です。
特に通気性を重視してスリットが大きいタイプを使う場合は、イモリの頭が通らない幅かどうかを要確認しましょう。
フタのすき間や通気口にも注意
フタだけでなく、チューブ用の穴やコードを通す隙間も脱走ルートになります。
「小さいから大丈夫だろう」と思っていたら、頭から無理やり押し出して出ていくことも普通にあります。
もしどうしても隙間ができてしまう場合は、スポンジやパテでしっかり埋める工夫が必要です。
“人間の目には小さい”が“イモリには十分”というケースが多いので、過信は禁物です。
水位を下げる/登れるものを入れない
水槽内の水位が高いと、イモリが水面からフチにジャンプできるようになります。
特に、流木や石、フィルターの吸盤部分などを足場にして登るパターンが多いです。
そのため、脱走を防ぐには、
- 水位を控えめにする
- 登れるような構造物を配置しない
という2つの対策が効果的です。
水位を下げるだけでも脱走のリスクはぐっと減ります。
環境ストレスを減らす工夫(温度・隠れ家・照明)
実は、脱走の裏には「ここにいたくない」というイモリのサインが隠れている場合があります。
過度なストレスを感じていると、「どこか別の場所に移動したい」という本能が働くこともあるのです。
- 温度が適切か(24℃前後が目安)
- 隠れ家が十分にあるか(落ち着ける空間があるか)
- 照明が強すぎないか(暗がりが確保されているか)
など、飼育環境の見直しも脱走予防には欠かせません。
まとめ|脱走は“いつか起こる”という前提で備えよう
シリケンイモリは見た目こそ穏やかですが、脱走の名人とも言える存在です。
フタのわずかなスキマ、水位の高さ、登れるレイアウト――
どれかひとつでも油断すると、想像以上のすばやさで水槽の外へ飛び出してしまうことがあります。
しかも、脱走後はわずか数時間で命に関わる危険も。
乾燥・怪我・外敵・行方不明といったリスクが一気に襲ってくるため、“脱走しない前提”ではなく、“脱走はいつか起こる”前提で備えることが大切です。
そのためには、
- フタやレイアウトの見直し
- 飼育環境のストレス軽減
- そもそも室内飼育を徹底する
といった基本を押さえて、イモリにとっても飼い主にとっても安心できる環境を整えていきましょう。