ウーパールーパーは、その愛らしい見た目からペットとして人気があります。
しかし、一部の人々は「大人になると気持ち悪い」と感じることがあるようです。
その理由には、外見の変化や、生態に関する誤解が影響しています。
本記事では、ウーパールーパーが大人になるとどのように変わるのか、またその変化がなぜ不気味だと感じられるのかを詳しく解説します。
ウーパールーパーが大人になると気持ち悪い理由
ほとんどのウーパールーパーは大人にならないという事実
ウーパールーパーは、一般的な生物と異なり、幼体の姿のままで成長する「幼形成熟（ネオテニー）」という特徴を持っています。
多くのウーパールーパーはこの状態で一生を終えるため、大人になる個体を見る機会はほとんどありません。
そのため、ウーパールーパーが成体に変態する姿を見たことがない人が多く、大人の姿が「普通ではない」「違和感がある」と感じる要因になっています。
幼形成熟（ネオテニー）とは？
幼形成熟（ネオテニー）とは、生物が成長しても幼体の特徴を保持したまま成熟する現象です。
同じく両生類の仲間であるカエルを例にすると、おたまじゃくしの状態では水中で生活し、エラ呼吸をしていますが、成長とともに肺呼吸へ移行し、陸上で生きるようになります。
一方、ウーパールーパーは通常、幼体のままで繁殖可能な状態になり、カエルのように変態せずに一生を終えます。
しかしこれはウーパールーパーに成体(大人)になる機能が備わっていないという事ではなく、成体になる機能はあるけれど大抵の場合は使われず大人にならないという事なのです。
しかし、特定の環境条件下では成体へと変態し、その姿が一般的なウーパールーパーとは大きく異なるものになります。
大人のウーパールーパーの特徴
成体のウーパールーパーは、見た目が大きく変わります。
幼体の頃には頭部に外鰓（がいさい）があり、フサフサとしたヒレのような見た目をしていますが、変態すると外鰓が縮み、皮膚が乾燥しやすくなります。
また、足がより発達し、顔つきもシャープになり、イモリやサンショウウオに近い姿に変わります。
この変化によって、かわいらしいイメージが崩れ、「気持ち悪い」と感じる人が増えるのです。
両生類展で展示中のこちらの生き物は陸生化したメキシコサンショウウオ（ウーパールーパーとして有名です）
— もぐらんぴあ水族館（久慈地下水族科学館） (@moguranpiaqua) August 23, 2024
展示協力くださった方によると御年１３歳！小学生の子が７歳も年上だと驚いておりました😊#メキシコサンショウウオ pic.twitter.com/VjcEm3d960
一般的に知られるウーパールーパーの外見は幼体
ウーパールーパーといえば、丸い顔にフサフサとしたエラを持ち、愛らしい目をした姿を想像する人がほとんどでしょう。
しかし、この姿は本来「幼体」のものであり、稀ではありますが成体へと変態する可能性を持っています。
ただし、ペットとして飼育されるウーパールーパーのほとんどは成体にならないため、多くの人がこの事実を知らず、成体の姿に違和感を覚えるのです。
大人の外見は一般に知られていないため受け入れられない
ウーパールーパーの成体の姿が一般に知られていないことも、「気持ち悪い」と感じる要因のひとつです。
幼体のままの姿が広く認識されているため、大人になった姿を初めて見ると、そのギャップに驚き、受け入れられない人が多いのです。
これは、幼形成熟を前提にウーパールーパーを可愛らしい生き物として認識していることが影響しています。
ウーパールーパーの幼体と大人(成体)の違い
外見と大きさ
幼体のウーパールーパーは、フサフサした外鰓と丸みのある体が特徴ですが、成体になるとそれらが失われ、より細長く、サンショウウオやヤモリに近い姿へと変わります。
ヤモリに近い＝イモリにも近いので、専門家や詳しい人でなければそれぞれの見分けは困難です。
さらに、皮膚の質感も変化し、幼体のときよりも乾燥しやすくなるため、より陸上生活に適した体つきになります。色合いも変わることがあり、淡いピンク色だった個体が灰色や黒っぽくなります。
これは、変態に伴うメラニン色素の変化によるもので、環境に適応するための生理的な変化でもあります。
水生と陸生
幼体のウーパールーパーは水中で生活し、基本的に泳ぐことで移動しますが、成体になると陸上でも活動できるようになります。
これは、肺呼吸が発達するためで、変態後のウーパールーパーは水と陸の両方で生活できるようになるのです。
ただし、成体になったからといって完全に陸生になるわけではなく、適度な湿度が必要なため、水場と陸地の両方を確保することが重要です。
食べもの
幼体のウーパールーパーは主に水中の小動物や人工飼料を食べます。
柔らかい餌を吸い込むようにして食べるのが特徴ですが、成体になると昆虫や小さな爬虫類など、より多様な餌を食べるようになります。
歯も発達し、獲物を噛み砕くことが可能になります。特に陸上での活動が増えると、動き回る昆虫や小さな生き物を捕食することが増えるため、食性が大きく変わります。
呼吸方法
幼体のウーパールーパーは外鰓で酸素を取り込みますが、成体になると肺が発達し、陸上での呼吸が可能になります。
これにより、水中に長時間留まることが難しくなり、頻繁に水面に浮上して呼吸をする必要が出てきます。
また、湿った環境を保つことで皮膚呼吸を助けることも可能ですが、乾燥しすぎると呼吸に支障をきたすため、適切な環境管理が求められます。
健康面や寿命
成体に変態したウーパールーパーは、健康面でのリスクが増えることが知られています。
特に変態後は環境の変化に適応しにくく、寿命が短くなることもあるため、成体へと変態させない方が飼育しやすいとされています。
また、変態によって体質が変わることで、これまで問題のなかった飼育環境が適さなくなるケースもあります。たとえば、湿度管理が適切でないと皮膚が乾燥しやすくなり、感染症のリスクが高まることがあります。
成体のウーパールーパーを健康に保つためには、水場と陸地のバランスを考えた環境作りが重要になります。
| 目 | 幼体（ネオテニー状態） | 成体（変態後） |
| 外見と大きさ | 丸みを帯びた体型で、フサフサとした外鰓がある | 外鰓が縮小し、体が細長くなる。サンショウウオに近い姿になる |
| 生活環境 | 完全に水生で水中で生活 | 陸生傾向が強まり、水と陸の両方で活動可能 |
| 食べもの | 水生生物や人工飼料を食べる | 昆虫や小型爬虫類などを食べる |
| 呼吸方法 | 外鰓を使って水中で酸素を取り込む | 肺呼吸が発達し、陸上でも呼吸可能 |
| 健康面や寿命 | 成体に比べて寿命が長く、安定した健康状態を維持しやすい | 変態後は環境変化に適応しにくく、寿命が短くなる可能性がある |
ウーパールーパーが大人になるのを防ぐ方法
大人になる条件
ウーパールーパーが成体へと変態するには、環境の変化が大きく関係しています。
特に、水温の低下や水位の低下が影響し、特定の条件下では変態が促されます。
水温が低くなると、甲状腺ホルモンの分泌が増加し、変態が進む可能性があります。
また、水質の変化や栄養状態、ストレスの影響も大きく、適切な環境を維持しないと、意図せず成体へと変化することがあります。
詳しくは以下の記事を参考にしてください。
予防方法
ウーパールーパーを成体にさせたくない場合は、水温を一定に保ち、ストレスを与えないようにすることが重要です。
何より水位を下げないようにすることが重要です。
水質も清潔に保ち、適度なフィルター管理を行うことが必要です。また、適切な餌と飼育環境を維持することで、変態を抑制することができます。
人工飼料を主に与え、特定の成長促進ホルモンを含む食品を避けることも効果的です。
さらに、ストレスを軽減するためには、飼育環境を落ち着いたものにすることが大切です。頻繁な水換えや過密飼育を避け、静かな場所に水槽を設置することで、ウーパールーパーが安心して過ごせる環境を作ることができます。
あえて大人にさせる方法
逆に、ウーパールーパーを成体へと変態させたい場合は、水位を段階的に下げる方法や、水温を下げるなどの環境調整を行うことで変態を促すことができます。
水温を18℃以下に維持し、甲状腺ホルモンを分泌させる食品やサプリメントを与えることで、変態の可能性を高めることができます。
自然界では、餌の変化や環境ストレスによって変態が促進されることがあるため、意図的に水質をわずかに変化させることも一つの方法です。
ただし、変態後の寿命が短くなる可能性があるため、慎重に検討する必要があります。
成体になったウーパールーパーは飼育方法が異なり、陸地が必要になるため、適切な環境を整える準備が求められます。また、変態が必ず成功するとは限らず、途中で体調を崩してしまうこともあるため、専門的な知識が必要になります。
ただしここで解説した方法はあくまでもその傾向がある程度の話です。
確実に「大人になるのを防ぐ方法」も、また逆に、確実に「大人になる方法」もなく、手探りで方法を模索しているという状態です。
まとめ文
ウーパールーパーは、その幼体の姿が広く知られていますが、特定の条件下では成体へと変態することがあります。
その姿の変化があまり知られていないため、「気持ち悪い」と感じる人も多いのが実情です。
しかし、ウーパールーパーの生態を理解すれば、その変化もまた興味深いものとして受け入れられるでしょう。
