小さな手足に大福のような、ぽっちゃりまん丸ボディのアメフクラガエルは、最近、人気急上昇の品種です。
その丸くぽってりとしたフォルムと、よちよち歩く姿が「可愛い」と評判です。
しかし、流通が不安定なため、なかなか手に入りにくいのが悩みの種。
皆さんのなかでも、飼ってみたいけれど、価格や飼育の難しさに二の足を踏んでいる方もたくさんいらっしゃるのではないでしょうか。
またそんなアメフクラガエルが、懐いて甘えてきてくれたなら、とっても嬉しいですよね。
一般的に「カエルはなつかないもの」と思われているようですが、実際に飼ってみるとすり寄って甘えてきたり、非常に可愛らしく、愛着がわくものです。
カエルの品種によっては、おおらかなものもいれば、気難しく神経質なものもいます。
アメフクラガエルは、果たして、人間に慣れやすい品種なのでしょうか?
今回はアメフクラガエルに関する、そんな皆さんの不安と疑問を一挙に取り除きます。
アメフクラガエルの購入場所から値段、飼育の仕方まですべてわかりやすくまとめました。
また記事の後半ではアメフクラガエルが実際、どのぐらいなつくか、わかりやすく解説したので、どうぞ、最後までお付き合いください。
アメフクラガエルの生息地!飼育は難しい?

アメフクラガエルは、アフリカ大陸が原産のカエルです。
主に南アフリカ、ナミビア、ボツワナ、ジンバブエ、モザンビークなどの乾燥地帯やサバンナに生息しています。
日本には野生のアメフクラガエルはおらず、日本にいる個体は基本的に輸入や繁殖によってペットショップで販売されているものです。
こういった事情からもアメフクラガエルは、飼育するには、初心者にはやや難易度が高い品種です。
日本ではまだ、飼育数が少なく、アメフクラガエルの生態に沿った飼い方が確立されていないこともあります。
飼うときには必ず飼育のコツを踏まえてから、購入しましょう。
室内飼育を推奨
ベランダやガレージで飼育する方もいるようですが、室内飼育の方が圧倒的に安全性が高いです。
その理由の第1は温度管理です。
屋外であれば暑さも寒さももろに影響を受けることになるので、アメフクラガエルの体に悪影響を与えます。
「野生下では条件が同じじゃないか」と思われる方もいるかも知れませんが野生下であれば、寒い場合は寒いなりに暖かい環境へ移動しますし、その逆もしかり。
飼育下であればケージ内と言う限られたスペース内での移動しかできないので、カエルが自らとれる暑さや寒さ対策には限りがあるのです。
そもそもアメフクラガエルはアフリカ大陸原産のカエルですので、日本の自然環境には適していません。
カラスなどの野鳥や野良猫などの外敵に襲われるリスクもあります。
こういった理由から室内飼育を強くおすすめします。
飼育容器
アメフクラガエルの飼育に適したケージを選ぶ際に重要なのは、湿度をしっかり保てることと、通気性のバランスが取れていることです。
アメフクラガエルは地上生
また、アメフクラガエルは活発に動き回るタイプのカエルではなく、地中に潜ることが多いため、高さよりも底面積が広いケージが向いています。
カエルにはウシガエルのような水生のカエルや、アマガエルのような樹上性のカエルがいますが、アメフクラガエルは地上生(半地中性)です。
ケージの素材
おすすめなのは、ガラス製またはプラスチック製のケージです。
ガラスケージは保湿性が高く、温度や湿度のコントロールがしやすい点がメリットになります。
例えば、爬虫類用のガラスケージは、湿度が逃げにくい構造になっているものが多く、アメフクラガエルの飼育には適しています。
一方で、プラスチック製のケース(例えば小動物用の飼育ケースやクリアケース)も軽くて扱いやすく、通気孔がしっかり確保されていれば問題なく使用できます。
ケージのサイズ
サイズについては、単独飼育であれば横幅30cm程度のケージでも十分ですが、より広々とした環境を作る場合は45cmほどのケージを選ぶのもよいでしょう。
ただし、アメフクラガエルはジャンプ力が低く、あまり活発に動き回るタイプではないため、そこまで大きなケージは必要ありません。
むしろ、湿度管理のしやすさを優先したほうが飼育しやすくなります。
蓋は必須
また、ケージの蓋には注意が必要で、通気性を確保しながらも湿度を逃がしすぎないようにするため、金網タイプよりはアクリル板やプラスチック製の蓋に通気孔があるものが適しています。
完全に密閉するとカビの発生リスクが高くなるため、メッシュタイプのもので通気ができる適度な換気を意識することが大切です。
総合的に考えると、ガラス製の爬虫類用ケージか、プラスチック製のクリアケースを選び、適度な通気性と高い保湿性を確保できるものを使用するのがベストです。
また、設置場所は直射日光が当たらない、温度変化の少ない場所が適しています。
床材
アメフクラガエルの飼育に適した床材は、保湿力があり、潜りやすく、清潔を保ちやすいものが理想的です。
ココピート
そのため、おすすめなのは「ヤシガラ土(ココピート)」で、適度な水分保持能力がありながら通気性も確保できるのが特徴です。

ふかふかした質感なので、アメフクラガエルがしっかり潜ることができ、快適に過ごせます。
腐葉土
また、無農薬・無添加の腐葉土も自然な環境に近く、適度な水分を保持しながら通気性を確保できるため、選択肢として悪くありません。
ただし、腐葉土は時間が経つと分解が進み、臭いが出ることがあるため、定期的な交換が必要になります。
ミズゴケ
さらに、水苔(ミズゴケ)を加えることで、湿度をより長く保つことができます。
特に乾燥しやすい環境では、ヤシガラ土や腐葉土と組み合わせると効果的です。
赤玉土
赤玉土を混ぜることで、さらに通気性が向上し、カビの発生を防ぐこともできますが、完全に潜れる柔らかさを確保するために、他の床材と併用するのがよいでしょう。
NG床材
逆に避けたほうがいいのは、砂や大きな石を含む床材で、誤飲すると消化不良を引き起こす可能性があります。また、ウッドチップは固すぎて潜るのが難しく、乾燥しやすいためおすすめできません。
飼育する側としては手軽なのですが新聞紙やペットシーツも、潜る習性のあるアメフクラガエルには向いておらず、ストレスの原因になりやすいです。
床材の深さ
アメフクラガエルは、地中に潜って生活する品種なので、床材は厚さ15cm程度を目安にします。
土は、こまめに表面部分が乾き、中が湿っているか確認します。
水入れ
アメフクラガエルの飼育において、水入れの設置は非常に重要です。
このアメフクラガエルは水生ではないものの、適度な湿度を必要とし、皮膚から水分を吸収するため、水入れを用意することで水分補給がしやすくなります。
ただし、泳ぐことが得意な種類ではなく、水に浸かる習性もあまりないため、水深が深すぎると溺れる危険があります。
最適な水入れは、浅くて広めの容器です。
イメージとしては下の画像のような小皿です。

カエルが誤って落ちてもすぐに這い上がれるように、縁が低めで滑りにくい素材のものを選ぶと安全です。
深さは5ミリから1センチ程度が理想的で、カエルが溺れないように体が完全に沈まない程度が望ましいでしょう。
水の交換は毎日行い、常に清潔な状態を保つことが大切です。水道水を使用する場合は、カルキを抜いておくとより安心です。
水入れの設置場所は、ケージの中の湿度バランスを考慮し、床材があまり濡れすぎないような位置にするとよいでしょう。
湿度が過剰になるとカビや雑菌が繁殖しやすくなるため、適度な換気と調整が必要です。アメフクラガエルは水分を直接摂取することは少なく、床材の湿度や霧吹きで補うこともできますが、常に新鮮な水を用意しておくことで、健康的な環境を維持することができます。
隠れ家
アメフクラガエルの飼育では、隠れ家は必須ではありませんが、あるとより快適な環境を作れます。
このカエルは基本的に床材に潜ることで身を守る習性があるため、十分な深さの床材を用意していれば、必ずしも隠れ家を設置する必要はありません。
しかし、床材の湿度が適切に保てない場合や、カエルが潜らずに地表にいることが多い場合は、隠れ家を用意するとストレスを軽減できます。
隠れ家として使いやすいのは、半分に割った植木鉢、ココナッツシェルター、爬虫類用のシェルターなどです。
小型のプラスチックケースを逆さにして入り口を作る方法も簡単で便利です。隠れ家の内部はやや湿度を保ちやすいので、床材と組み合わせることでアメフクラガエルがより安心して過ごせる環境を作れます。
もし床材にしっかり潜る様子が見られ、地表で長時間過ごすことがなければ、無理に隠れ家を設置する必要はありません。ただ、カエルの行動を観察しながら、落ち着ける環境を整えることが大切です。
温度管理
飼育容器内は、常に25℃~28℃を維持できるようにします。
冬場は必ず側面に設置できるヒーターを使用しましょう。
アメフクラガエルは、土に潜ることで暑さから逃げることができるからです。
温度計も必ず設置します。
25-28度を維持。
衛生管理
糞は必ずすぐに取り除いて、衛生状態を良好に保ちます。
そして、アメフクラガエルを二週間に一度、肌の張りや目の状態を確認します。
体に腫れなどの異変があれば、床材をすぐに取り換え、湿度を確認しましょう。
また、アメフクラガエルが、体を膨らませているのは、ストレスを感じ威嚇している証拠です。
そういう時はむやみに構わず、落ち着くまで、そっとしておきましょう。
アメフクラガエルの餌

アメフクラガエルは、肉食であり、主に小さめのコオロギを食べます。
口が体の大きさの割に小さいため、必ず口の中に入るSSサイズを選びましょう。
餌をあげるときは、消灯前に軽く霧吹きをしてから、5~10匹程度のコオロギを撒きます。
カルシウム不足による「くる病」を防ぐため、コオロギにはカルシウムパウダーを振りかけておきます。
餌を食べなくなったり、歩けなくなったときは、くる病の可能性があるので、くれぐれも気をつけましょう。
餌は、基本的には3日に1回あげる程度で充分です。
餌のあげすぎは、肥満や、消化不良による病気を引き起こす原因になるのでくれぐれも気をつけましょう。
現在、動物病院では、カエルの治療にあたる医師はかなり少ないのが現状です。
そういったことを踏まえ、くれぐれも餌の量には気を付けるようにしましょう。
・他のカエル同様に肉食でコオロギをよく食べます
・3日に1回あげる程度で充分
アメフクラガエルの値段は?どこで購入できる?

どこで購入できるの?
アメフクラガエルは、主に爬虫類専門店やペットショップ、爬虫類関連のイベントなどで販売されています。
また、オンラインショップやオークションサイトでも取り扱われていることがあります。
例えば、「ピュアアニマル」や「まるころ商店」などの専門店で販売実績があります。

ペットショップや爬虫類専門店、爬虫類イベントで購入可能ですが、希少性が高いこともあり、非常に人気で、すぐ完売してしまうケースがあとを絶ちません。
販売価格の相場は?
価格は時期や個体の状態によって変動しますが、一般的には17,000円から26,000円程度が相場とされていてカエルの中では高額な種類です。
ただし、希少性や需要の高まりにより、これより高額になる場合もあります。
また、アメフクラガエルは人気が高い一方で、流通量は安定していません。
そのため、入手が難しい時期や価格が高騰することがあります。購入を希望する場合は、定期的に販売情報をチェックすることが重要です。
個体の特性による価格の違い
一般的に、ベビー(幼体)よりも成体の方が高値で取引される傾向があります。
これは、成体の方が飼育の安定性が高く、繁殖の可能性があるためです。
オスとメスでの価格差は、繁殖を目的とする場合、メスの方が高値で取引されることがあります。
しかし、個体のサイズや健康状態など、他の要因も価格に影響を与えるため、一概には言えません。
またヘビなどの爬虫類ではモルフ(色彩変異)によって大きく販売価格が異なることは多いのですが、現在、アメフクラガエルには特定のモルフ(色彩変異)は確認されていません。
そのため、色や模様のバリエーションによる価格差は少ないとされています。
アメフクラガエルは人になつく?
アメフクラガエルはどんな性格?
カエルのなかでも、アメフクラガエルは非常に大人しく、フクラガエルの仲間としては、比較的飼いやすい品種です。
声を響かせる器官の鳴のうが無いため、あまり大声で鳴くこともなく、「キュッキュッ」と小さな声で鳴く程度です。
ただ、ストレスに弱く、身の危険を感じると、体を大きく膨らませ、巨大に見せることで敵を威嚇しようとしてきます。
こういった事態は最悪、寿命を縮めてしまう要因にもなりえます。
なので、あまり触りすぎたり、かまいすぎないようにしましょう。
また、アメフクラガエルは、あまり敏捷に動き回るタイプではなく、普段は土に潜って過ごすことが多いです。
歩くときもよちよちと移動します。
このように活発な性質ではないので、人によっては物足りなさを覚えるかもしれませんが、静かに見守ることのできる人には向いている品種といえます。
アメフクラガエルをなつかせるには、どうしたらいい?
まずはアメフクラガエルにとって、快適な環境を与え、場所に慣れさせることが必要です。
温度と湿度の管理には特に注意を払うことが大事です。
こうすることで、アメフクラガエルにとって、ここが「安全な場所で危害を与える敵がいない」ことを認識してくれます。
餌やりやお世話をしても、逃げることがなくなったら、手から餌を与えてみます。
しかし、嫌がる様子を見せたら、すぐにやめましょう。
嫌がるそぶりを見せなければ、そのうち、体に触れても嫌がらなくなります。
ただし、カエルは非常に繊細な生き物です。
学習能力もある分、「自分に嫌なことをする敵」だと認識されないようにすることが大前提です。
アメフクラガエルは飼い主の顔を覚えることができる?
結論からいえば、はっきりと人間の個別の顔を判断するのは難しいです。
ただ、ともに生活する人間が、毎日餌を与え、適切な世話を続けることで
「この生き物は、危害を与える存在では無い」ということは、きちんと学習します。
なので、犬や猫のようにべったりと懐くまではありませんが、よく人馴れすることはできます。
懐いたかどうか確認する方法としては、まず、餌をあげたり、お世話をするときに、逃げ回ることがなくなるということです。
また慣れてくると、自分から餌を待つ行動に出ることもあります。
ピンセットから、餌を直接もらうようになる個体もいます。
食事を拒否する意思表示をすることもあります。
さらに気を許すと、手に乗せても嫌がらなくなります。
ただし、無理やり地中から掘り出して、かまうようなことをするのは、絶対にやめましょう。
カエルにとって人間の皮膚は温度が高すぎ、低温火傷をする危険もあります。
可愛いからと言って触りすぎには注意です。
アメフクラガエルの飼育は難しい?【まとめ】
いかがでしたか?
なかなか飼育できる機会に恵まれないアメフクラガエルですが、タイミングによっては、たくさん輸入されるチャンスもあります。
諦めずに根気よく探してみましょう。
そして、おうちに迎えた際は、注意点を踏まえたうえで、末永く、大切にかわいがってあげてください。
以上、アメフクラガエルの飼育についてでした。