皆さんもご存じ、カエルのお殿様、トノサマガエル。
大きく腹を膨らませ、敵に威嚇をするときの威風堂々とした姿は、小ぶりなサイズではあっても、まさに殿様の名に相応しいですよね。
オタマジャクシも他のものにくらべるとずいぶんと肥えていて、子供のころに捕まえた時には大変驚いた記憶があります。
そんなトノサマガエルですが、飼育するときはどのような点に気を付けたらいいのか?
トノサマガエルの飼育には、実は意外な盲点も隠れています。
わかりやすく解説したので、どうぞ、最後までお付き合いください。
トノサマガエルはどんなカエル?
特徴
トノサマガエルは、オスが体長5cmから8cm、メスが6cmから9cmの大きさになります。
トノサマガエルの寿命はおおよそ3年から5年程度です。
気温が10度を下回ると、土の下で冬眠し、3月下旬まで活動を休止します。
肉食性であり、主にコオロギやバッタを食べることを好みます。繁殖期は4月下旬から6月にかけてで、この期間中には繁殖活動が盛んに行われます。
- 主に本州に生息している
- オスは体長5cmから8cm、メスは6cm~9cm。
- 寿命は3~5年程度
- 気温が10度を下回ると3月下旬まで、土の下で冬眠する
- 肉食性であり、コオロギやバッタを好んで食べる
- 繁殖期は4月下旬から6月
ジャンプ力とスピード
トノサマガエルは比較的小型のカエルですが、その分、ジャンプ力に優れ、泳ぎの速さもかなりのもの。
天敵から逃げるスピードも、第一級です。
鳴き声
さて、トノサマガエルは、繁殖期に主にオスが鳴くことで、メスを呼びよせますが、彼らは、喉や頬にある袋をふくらませることで音を出しています。
この袋を「鳴のう(めいのう)」と呼びます。
トノサマガエルの鳴のうは、一体どんな音がするのでしょうか?
実際に聞いてみると、「ググググル、グルルルル」とせわしない声で鳴いていて、猫が喉を鳴らす音にも少し似ています。
また、トノサマガエルは、縄張り意識が強く、別のオスが侵入してきたときも、鳴いて威嚇することがあります。
トノサマガエルの飼育の仕方
飼育ケージ
まず、トノサマガエルは活動的な大型のカエルであるため、広い空間が必要です。
一匹につき、最低でも縦と横がそれぞれ60cmと45cmの水槽またはテラリウムが適しています。
この環境では、水と陸の両方を用意し、カエルが自由に移動できるように半分は水面、半分は陸地という形で区切るのが理想的です。
逃げ出さないように蓋のあるタイプのケージが良いですが、蓋は通期できるメッシュタイプの物が良いです。
陸地の作り方
トノサマガエルの飼育で陸の部分を作る際に石や岩を利用するのが一般的です。
これらの素材は、カエルが日光浴や休息のために使用する安定した面を提供し、水槽内の自然な景観を演出する効果もあります。
特に大きな平らな石や岩は、照明の下で熱を蓄える性質を持ち、カエルが体温を調節するのに利用することができます。
また、カエルは登る行動も好むため、流木や枝を配置することで、自然な登る場所を提供し、カエルの活動範囲を広げることができます。
人工の岩やレジン製の装飾品を使用する選択肢もあり、これらは取り扱いが容易で、カエルが怪我をするリスクを減らすことが可能です。
石や岩を選ぶ際には、鋭利な部分がないかを確認し、カエルが怪我をしないよう滑らかな表面のものを選びます。これらの素材は定期的に清掃することが重要で、水槽内の衛生状態を保つためにも役立ちます。
このようにして自然の環境を模倣することで、カエルが健康に快適に過ごすための環境を整えることができます。
飼育環境
トノサマガエルを飼育する場合は、どのようなことに気を付けるべきでしょうか?
トノサマガエルを飼育する際には、床材を1週間に1度取り替える必要があり、水は2日に1回新しいものに交換することが推奨されます。
また、排泄物は毎日掃除することで清潔な環境を維持します。
餌
餌に関しては、オタマジャクシを飼っている場合、小型のショウジョウバエを与えることが適しています。
これらの飼育方法を遵守することで、トノサマガエルの健康を守りながら楽しく飼育することができます。
成体の場合は、コオロギやバッタなどを体長の1~2倍程度を目安に与えること。
ここでさらに注意しなければいけないことですが、現在、トノサマガエルは、環境省のレッドリストに登録されています。
準絶滅危惧種
「準絶滅危惧種」に指定されていますし今後「絶滅危惧種」に格上げされる可能性もあります。
現時点での飼育が可能かどうかはお住いの地域やそのタイミングによって異なりますので関係各所で確認してからにしてください。
偶然、見つけても、むやみに「珍しいから」と捕獲するようなことは絶対にやめましょう。
トノサマガエルの飼育が可能かどうかを確認してから飼育するように!
トノサマガエルのオタマジャクシの飼育方法
トノサマガエルのメスは、春~初夏にかけて500~2000個もの卵を生みます。
1か月ほどでオタマジャクシとしてふ化します。
オタマジャクシとなってから、約1か月ほどで成体になります。
トノサマガエルは、日本の自然の中でよく見られるカエルの一種です。
そのオタマジャクシを自宅で育てることは、成長過程を間近で観察できる貴重な経験になります。
飼育に必要な環境やもの
オタマジャクシを育てるためには、適切な環境を用意することが大切です。
自然界と同じような環境を再現することで、元気に成長させることができます。
まず必要になるのは、水槽や大きめの容器です。
広めのスペースを確保できるものが理想で、水深は10~20cm程度が適しています。
あまり深すぎるとオタマジャクシが泳ぎにくくなり、逆に浅すぎると水質が悪化しやすくなります。
また、水質を安定させるためにカルキ抜きをした水を使うのが重要です。水道水には消毒用の塩素が含まれており、そのまま使うとオタマジャクシにとって有害になることがあります。
市販のカルキ抜きを使うか、汲み置きした水を使用しましょう。
加えて、隠れ家になる水草や石も用意すると良いでしょう。
オタマジャクシは環境の変化に敏感なので、自然に近い環境を再現することでストレスを減らせます。
飼育環境の整え方
水槽を準備したら、次は適切な環境を作ることが大切です。
水槽の底には砂利や小石を敷き、水草を入れることで、オタマジャクシが落ち着いて過ごせるようになります。また、石や流木を配置すると、休憩できる場所ができて成長しやすい環境になります。
水を入れる際には、前述の通りカルキ抜きをした水を使いましょう。また、水温は20~25℃程度が理想です。特に夏場は水温が上がりすぎないよう注意が必要です。
また、直射日光を避けつつ、明るい場所に置くのが望ましいです。日光が当たりすぎると水温が急激に上昇してしまうことがあるため、日陰やカーテン越しの光が当たる場所が適しています。
飼育の期間とその管理
オタマジャクシは、孵化してから成体になるまで約1~3ヶ月ほどかかります。
その間、定期的に水換えを行い、適切な環境を維持することが重要です。
特に気をつけたいのは、水の汚れです。オタマジャクシは成長するにつれて排泄物が増えるため、週に1~2回は水の半分を交換するようにしましょう。水を全て入れ替えてしまうと、環境が急変してしまうため、半分ずつの交換が安全です。
また、オタマジャクシの大きさに合わせて、適宜広い容器へ移し替えることも必要になります。小さな水槽では酸素不足になったり、成長が遅れることがあるため、適切なサイズの環境を用意することが大切です。
水質管理の重要性
オタマジャクシの健康を維持するためには、水質を安定させることが不可欠です。
水が汚れると酸素不足になり、病気になりやすくなります。そのため、水槽内の水は透明でにごりのない状態を保ちましょう。特に、餌の食べ残しは水質悪化の原因になるため、こまめに取り除くことが重要です。
また、エアレーション(空気を送る装置)を使用すると、酸素を十分に供給できるため、オタマジャクシが元気に成長しやすくなります。
温度管理と光
オタマジャクシの成長には、適切な温度管理が必要です。
水温が低すぎると成長が遅れ、高すぎると病気になりやすくなります。目安として20~25℃を維持するようにしましょう。寒い時期にはヒーターを使い、暑い時期には水槽を日陰に移動することで温度を調整できます。
また、日光を適度に当てることも大切です。日光にはビタミンDの生成を促し、骨の成長を助ける働きがあります。しかし、直射日光が長時間当たると水温が急激に上昇してしまうため、カーテン越しの光を利用するか、照明を使って調整しましょう。
オタマジャクシの健康管理
オタマジャクシを健康に育てるためには、日々の観察が欠かせません。
元気に泳いでいるか、体の色に異常がないか、食欲はあるかなどを確認しましょう。もし動きが鈍くなったり、体の一部が変色している場合は、水質が悪化している可能性があります。早めに水換えをすることで、状態を改善できることが多いです。
また、共食いを防ぐために、オタマジャクシの成長度合いに応じて別の容器に分けることも検討しましょう。大きさに差があると、大きな個体が小さな個体を食べてしまうことがあります。
健康管理をしっかり行いながら、オタマジャクシが元気に成長できる環境を整えていきましょう。
オタマジャクシのサイズと成長
オタマジャクシは成長するにつれて体の大きさが大きく変わります。
孵化したばかりの頃は3~5mm程度ですが、成長が進むと1ヶ月ほどで2~3cmに達します。
特に、後ろ足が生え始めると体のバランスが変わり、活発に動くようになります。
成長の段階に応じた飼育方法が必要になります。
- 小さいオタマジャクシ(孵化直後)はデリケートなため、静かな環境で飼育しましょう。
- 後ろ足が生えてきたら、陸地を作り始めるとよいでしょう。
- 前足が出てきたら、酸素の供給が重要になるため、水位を少し下げるのがポイントです。
オタマジャクシがカエルへと成長する過程は興味深いものです。
- 体が大きくなり、後ろ足が生える
- 前足が出てきて、動きがより活発になる
- 尾が短くなり、口の形が変化する
- 陸に上がり、カエルとしての生活が始まる
この段階では、徐々に陸地を増やし、カエルとして適応できる環境を作ることが重要です。
オタマジャクシの食べ物
オタマジャクシの成長には、適切な栄養が必要です。
特に、タンパク質やカルシウムが重要で、骨の形成や健康的な発育を促します。
さらに、成長を支えるためにはビタミンやミネラルも欠かせません。特にビタミンAは視覚や免疫機能を強化し、ビタミンDはカルシウムの吸収を助けます。
与えるべき餌の種類
オタマジャクシは雑食性ですが、自然界では主に藻類や微生物を食べています。家庭で飼育する場合は、次のようなものを与えるとバランスの取れた栄養補給ができます。
- 茹でた野菜(ほうれん草やレタス、にんじんのすりおろし)
- 水草や藻類(アナカリスなど)
- 市販のオタマジャクシ用の餌(昆虫由来のプロテイン入りが理想)
- ゆで卵の黄身(少量)
- 乾燥赤虫やミジンコ(タンパク質強化に適している)
また、成長段階によって餌の種類を変えることも重要です。
幼いオタマジャクシには植物性の餌を中心に与え、後ろ足が生え始めた頃から動物性の餌を増やすと良いでしょう。
餌の与え方と量
餌は1日1~2回、食べ残しが出ない程度に与えます。食べ過ぎると消化不良を起こしたり、水が汚れやすくなるため、適量を守ることが大切です。特に水草を入れている場合、オタマジャクシが自然に食べるため、餌の量を調整しましょう。
成長が進むにつれ、餌の種類や量を変えていくことも大切です。たとえば、成長の早い個体には赤虫やミジンコを増やすことで体格の違いを調整できます。また、オタマジャクシが大きくなると共食いをする可能性があるため、適切なタイミングで個体ごとに分けることも検討しましょう。
さらに、水質を清潔に保つため、食べ残した餌はすぐに取り除き、水の透明度を保つことが重要です。適切な食事管理を行うことで、オタマジャクシが健康的に成長できる環境を整えましょう。
トノサマガエルの毒性に注意!
皆さんは「カエルには毒がある」というお話を聞いたことはありませんか?
毒で有名なのは、ヤドクガエルなど、南の島のジャングルに住むカエルたちなので、「自分達には関係ない」と思っている人も多いかもしれません。
ヤドクガエル
しかし、カエルは皆、その皮膚に毒を持っているので、取り扱いには十分、気をつけないといけないのです。
もちろん、トノサマガエルも皮膚にわずかですが、毒を持っています。
トノサマガエルの皮膚に触れた手で、目などの粘膜にふれると炎症を引き起こす危険があります。
また、触った部位が赤くただれるなど、皮膚の炎症を引き起こすこともあります。
もっと怖いことは体質やカエルの毒の成分などによっては、幻覚症状を引き起こしたり、失明してしまう危険性をはらんでいることです。
なので、決して、たかがカエルと侮ってはいけません。
まずは、むやみに触らないこと。
そして、必ず触った後は、すぐに石鹸でしっかり毒を洗い流してください。
トノサマガエルの飼育について【まとめ】
いかがでしたか?
かつてはアマガエルについで、ポピュラーな存在だったトノサマガエルですが、生息地の減少や乱獲で、絶滅の危機に瀕しているのは、なんともやりきれないですね。
飼育するときは、そのことを忘れずに責任をもって最後まで愛情をかけて飼育しましょう。