アカメアマガエルというカエルをご存じですか?
エメラルドグリーンの美しい体の色と相まって、一度見たら忘れられないインパクトを見る側に残します。
自分の手で育ててみたいと思われる方も多いのではないでしょうか。
ただ、まだまだ日本ではポピュラーとは言い難いアカメアマガエル。
名前にはあまりなじみがないかもしれませんが、赤い目に縦長の黒目、脇腹に入る水色の縞模様と、非常にフォトジェニックな姿で有名です。
実は、爬虫類専門店で購入し、飼育することができます。
飼育は簡単とはいえませんが、一昔前に比べればかなり容易になりました。
私の家にも、飼い始めて2年のアカメアマガエルがいます。
「値段はどのくらい?」
「飼育は難しいの?」
さまざまな疑問があるかと思います。
今回は、そんなアカメアマガエルの飼育について解説します。
アカメアマガエルはどんなカエル?
アカメアマガエルは中南米に分布するアマガエルの仲間で、樹木や低木の上で暮らす樹上性のカエルです。
カエルはオタマジャクシの間は水中生活ということは皆さんもご存じの通り。
成体になってからも主に水中生活するウシガエルのようなタイプもいますが、アカメアマガエルは主に陸上で暮らします。
大きさはオスとメスで違い、オスは3~4センチほどですが、メスは7センチにもなります。
夜行性で、昼間は目を閉じて手足を体に密着させ、葉の上などで休んでいます。
夜、暗くなるとゆっくりと歩くように活動します。
完全な昆虫食で、口に入る大きさの虫を食べて暮らします。
最近ではブリーディングが安定していて、ごくわずかですがカラーバリエーションもみられるようになりました。
・樹木や葉の上で暮らす
・オスは3~4センチでメスは7センチ程でメスの方が大きい
・完全昆虫食
アカメアマガエルの飼育は難しい?
アカメアマガエルに限らず、基本的に樹上性のカエルには飼育が難しい種が多くいます。
飼育が難しい理由のひとつは、ショップでの状態の悪さです。
樹上性のカエルは蒸れに弱く、輸送中に状態が悪くなる個体が多いのです。
ただし、アカメアマガエルについては最近かなり状態がよくなりました。
二つ目の理由は、飼育する際の環境作りです。
蒸れに弱いカエルなので、通気性のいいケージが求められます。
一方、あまりに乾燥させると弱ってしまいますので全身が浸かる程度の水を入れられる容器も用意しましょう。
この湿度の加減が、慣れるまでは難しく感じるかもしれません。
また、立体的に移動する習性があるため飼育容器には高さが必要です。
平面だけでなく上下にも立体的に動く習性があるため、水槽などの飼育容器には高さが必要じゃ。
貴重な品種で値段が高いこともありますが、ある程度、カエルの飼育に慣れている人以外は、やめておいたほうがいいでしょう。
少なくとも初心者向きではありません。
アマガエル等の身近なカエルの飼育で経験を積んでから挑戦されることをおススメします。
アカメアマガエルの飼育方法とは?
今回は、私が実際にやっている飼育方法をご紹介します。
ケージについて
まずは、ケージは大きめのものを使いましょう。
ショップで売られている個体は若いものが多く、サイズも小ぶりですが、はじめから最低でも30センチ四方程度のケージが必要です。
私は幅30センチ、高さ45センチの爬虫類用ガラスケージを使っています。
アカメアマガエルは立体的に移動する習性があるため高さのあるケージが必要!
脱走を予防するためにケージにはしっかり固定できる蓋が必要です。
しかし完全に締め切ってしまうと通気できなくなるため、メッシュタイプの通気ができる蓋を利用しましょう。
観葉植物
そしてここからがポイントですが、この中にキッチンペーパーを敷き、鉢植えのポトスを丸ごと入れます。
このポトスが順調に育つような湿度なら、カエルにとっても問題ありません。
カエルの状態は見た目ではわかりにくいので、ポトスの育ち具合を参考にするといいでしょう。
床材について
前述のようにキッチンペーパーが簡易的で掃除も簡単ですが、ヤシガラ土や腐葉土、水苔などを利用して野生環境に近づければカエルも喜びます。
水やりについて
また、カエルの給水のために水入れが必要ですが、ポトスの鉢受皿がちょうどいい水入れになります。
ポトスの植わっている鉢以外は特に湿らせていません。
餌について
野生のアカメアマガエルは肉食で、節足動物や昆虫類を食べています。
飼育下の場合は小型のコオロギなどをあたえると良いでしょう。
口に入る大きさのコオロギで、目と目の間の幅くらいのサイズを基準に、やや小さめのものを与えるようにします。
また、小さめのタッパーウェアをエサ入れに使っています。
ケージ内に放してしまうと、カエルが寝ているときにコオロギがカエルをかじってしまうことがあるためです。
餌の頻度は、急速に成長している間は毎日、ある程度大きくなったら2日、もしくは3日に一度与えるようにします。
筆者は一晩で食べきれる量のコオロギを3日に1回のペースで与えています。
なお、コオロギと一言に行っても様々な形態のものがあります。
大きく分けて、
- 野生のコオロギを捕まえる
- ペットショップや通販などで生餌のコオロギを購入する
- 冷凍コオロギ
- 乾燥コオロギ
と4つの選択肢があります。
コスト削減のために「近くの公園に毎日コオロギ捕まえに行くぜ」と意気込む方もいますが野生のものはおすすめできません。
野生のものは、どのような病原菌を持っているか分からないですし、日本国内であれば少なからず農薬の影響を受けているリスクも高いです。
そもそも、必要な時に必要なサイズの必要な量のコオロギを捕獲できるかと言われると厳しいので現実的ではありません。
冷凍や乾燥コオロギは保存が効くので便利ですが、カエルの食いつきが悪いこともあるのと、栄養価が生餌に比べると不足していることもあります。
よって最も優れた選択肢は、ペットショップや通販で生餌のコオロギを購入することです。
ペットショップや通販で購入できる生餌のコオロギがベストの選択じゃ
ただしこちらは長期保存が難しいのと、比較的費用が高額なのが問題です。
どれか1つの選択肢だけに決めてしまわず、いろいろなものを試してみると良いと思います。
また、慣れてくればアカメアマガエルは、人工餌も食べられるので、生き餌とバランスよく与えましょう。
温度と湿度について
昼間の飼育容器内の温度は、24℃〜29℃に設定し夜間は18℃~21℃を保ちましょう。
冬場は20℃~24℃を維持します。
高温が苦手なので、特に夏場はクーラーを常につけておくなど、厳重な温度管理が必要です。
床材にはヤシがらや腐葉土、水苔などを組み合わせたものを敷き、夜間には霧吹きをします。
アカメアマガエルは、樹上で生活する種類のカエルなので、飼育容器内に鉢植えの観葉植物、小枝などで、登って休める場所を作っておきます。
昼間の温度は24℃〜29℃
夜間の温度は18℃~21℃
照明について
ポトスが育ってくれないといけないので、ケージには照明を設置しています。
私の家ではエアコンで温度管理しているので特にヒーターは使っていませんが、そうでない場合、真冬にはケージ側面にパネルヒーターを設置し、25度くらいを保つといいでしょう。
毒はあるの?
アカメアマガエルは人間の健康を脅かすような毒は持っていません。
目が赤いのは、毒がない分、敵を威嚇し、食べることをためらわせるため、という説があります。
ただし、触った後は、必ず手をよく洗いましょう。
また、毒が無いからといって、触りすぎはアカメアマガエルの心身に強いストレスを与えるため、避けましょう。
アカメアマガエルの触り方
毒をもたないのでアカメアマガエルを触りたいという飼育者もいるでしょう。
触っても問題ないのですが1点注意点があります。
人間の体温は36度から37度程度ですが、カエルの体温は20度から27度しかありません。
そのため、人間がカエルを触っているとカエルは低温火傷を起こす可能性があるのです。
アカメアマガエルに限ったことではありませんが、カエルを触る場合は必ず水などで手を冷やしてから触るようにしましょう。
また、長時間触っていると、人の体温が戻るので短時間にしておきましょう!
アカメアマガエルの「瞬幕」って何?
アカメアマガエルの目には「瞬幕」と呼ばれる器官があります。
まぶたの一種とも言えますが、アカメアマガエルの瞬幕は黄色い虎模様であり、捕食者には格好の目印となる真っ赤な目を隠す役割があるのです。
瞬幕は普段は閉じていますが、瞬きするときに、乾燥から目を保護するために覆います。
瞬幕が開くのは、ほんの一瞬なので、通常の観察で、肉眼で確認することは難しいです。
アカメアマガエルの寿命の長さはどのくらい?
アカメアマガエルの寿命は、平均5年と言われています。
ただ、環境の変化に弱く、ストレスで寿命を縮めてしまう危険性も高い品種です。
アカメアマガエルが、少しでも負担無く生活できるように、温度と湿度の管理はきっちりとしておきましょう。
アカメアマガエルの値段相場は?
アカメアマガエルは、比較的高価な品種で、値段の相場は8000円から15000円ほどになります。
しかし、以前はもっと高価な生き物でした。
最近は、繁殖の成功で値段が下がってきたのです。
ただし、まだ、ホームセンターなどで気軽に買うことはできないため、両生類専門店やネット通販で購入するのが一般的です。
アカメアマガエルの飼育方法のコツを紹介!【まとめ】
アカメアマガエルの飼育にはクセがあり、あまり初心者向けとはいえませんが、挑戦して飼えない種ではありません。
ポトスを使ったシンプルな飼育なら、わりと簡単に飼えると思います。
興味があれば、チャレンジしてみるといいでしょう。
ただし、最後にひとつ。
私もこのカエルを飼って2年になりますが、本当に明るいと動きません。
せっかく派手な体色を楽しみたいのに、暗くならないと動かないのです。
そのため、活発さを期待して飼育するとがっかりしてしまうかもしれません。