ヒメアマガエルを飼育してみたいけれど、情報が少なくて不安…そんな方のために、この記事ではヒメアマガエルの飼育方法や必要な設備、餌の種類などを初心者向けにわかりやすく解説しています。
さらに、飼育に役立つ基礎知識として、ヒメアマガエルの生態や性格、鳴き声、オタマジャクシの育ち方なども丁寧に紹介。
「ヒメアマガエルってどんなカエル?」「飼っても大丈夫?」と感じている方にとって、安心して読み進められる内容になっています。
ヒメアマガエルの生態

ヒメアマガエルの分布と生息地(地域と環境)
ヒメアマガエルは、日本国内では沖縄本島とその周辺の島々に限られて生息している、とても珍しいカエルです。
本州や九州に生息するニホンアマガエルとよく似た見た目をしていますが、生息地が完全に異なるため、自然下で両者が混ざり合うことはありません。
自然環境では、水田や湿地、草むら、林の縁などの水辺周辺に生息しています。
特に、適度な湿度と植生のある場所を好む傾向があり、人里近くにも姿を見せることがあります。
地域によって呼び方に差異がある
なお、「ヒメアマガエル」と総称されるカエルには、地域によって微妙な差異があることが知られています。
たとえば、沖縄本島に生息する個体を基準として「ヒメアマガエル」と呼ぶのが一般的ですが、八重山諸島(西表島・石垣島など)に生息する個体群は、「ヤエヤマヒメアマガエル」として分類されることもあります。
研究途上
また、宮古島や徳之島でもヒメアマガエルに類似する個体が確認されており、「宮古島 ヒメアマガエル」「徳之島 ヒメ アマガエル」などのワードで検索されることもあります。
ただし、これらが明確に別種・別亜種として分類されているかは、現在も研究の途上にある部分です。
検索ユーザーの中には、「ヒメアマガエル 沖縄」「ヒメアマガエル 西表島」「ヒメアマガエル 産地」「ヤエヤマヒメアマガエル 飼育」などのワードで情報を探している人も多く、地域による違いや見た目の差異、分類のゆらぎなどに注目が集まっているのが現状です。
この記事ではヒメアマガエルと統一して解説します。
ただし、飼育方法や生態の基本はどの地域の個体も大きくは変わらないと考えられますので、特に明確な種の区別が必要でない限り、本記事ではすべて「ヒメアマガエル」として統一して解説しています。
ヒメアマガエルのサイズ・特徴の比較
ヒメアマガエルは名前の通り、アマガエルの中でも非常に小型です。
成体でも体長は2〜3cmほどしかなく、日本に生息するカエルの中でもトップクラスのミニサイズ。
体色は緑が基本ですが、個体によって茶色がかったものや斑模様のあるものも見られます。
背中には黒いラインや斑点模様が入ることが多く、個体差も大きいため、よく観察すると顔つきや体型にも違いがあって面白いです。
なお、よく混同されるニホンアマガエルは体長3〜4cmとやや大きく、ヒメアマガエルよりもがっしりした印象があります。
性格・行動の特徴
ヒメアマガエルは夜行性で、昼間は物陰に隠れてじっとしていることが多く、活動するのは夕方から夜間にかけてです。
飼育下でもこの習性は変わらず、日中は動きが少ないため「元気がない」と心配されることもありますが、これは正常な行動です。
性格はおとなしく臆病で、あまり跳ね回ったりするタイプではありません。
樹上性のため、高さのあるレイアウトを好む傾向があり、木の枝や壁面に張りついていることもよくあります。
ヒメアマガエルの鳴き声の特徴
ヒメアマガエルは、繁殖期になるとオスが「キュルキュル」や「ギュルギュル」と聞こえる高めの声で鳴きます。
その鳴き声はニホンアマガエルの「ケロケロ」という低めで力強い声とは対照的で、やや控えめでか細い印象を受ける人も多いでしょう。
鳴くのは主に春から初夏にかけての繁殖期で、夕方から夜にかけて活発に鳴き始めます。
ヒメアマガエルが鳴くのは求愛のため
ヒメアマガエルの鳴き声は、同じ場所にいるメスに自分の存在をアピールするための行動であり、求愛の鳴き声とも言えます。
飼育下でも繁殖シーズンになると、水場の確保や湿度の上昇などの条件がそろえば、オスが鳴き始めることがあります。
ただし、野外に比べて声量は小さい傾向があるため、室内で聞いても「鳴いてるかも…?」と感じる程度のこともあります。
鳴くのは基本的にはオスだけ
なお、メスは基本的に鳴きません。
オス同士が誤って乗り合ってしまった際などに、メスが短く「キュッ」といった警戒音のような声を出すことはあるものの、継続的な鳴き声を発するのはオスのみです。
ヒメアマガエルの鳴き声については以下の記事でより詳しく解説していますので是非ご覧ください。

オタマジャクシの特徴

ヒメアマガエルのオタマジャクシは、沖縄の田んぼや小川などの水辺で春から初夏にかけて見られることが多いです。
体は半透明で、一般的なオタマジャクシに比べるとやや小さめ。
まだ前肢が生えていない段階では、他種との見分けが難しいこともあります。
卵から孵化したあとは、しばらく水中生活を送りながら成長し、やがて手足が生えて上陸します。

この時期の個体は「カエルの赤ちゃん」とも呼ばれ、小さくてとても可愛らしい姿をしています。
なお、ヒメアマガエルのオタマジャクシについては、成長の過程や飼育方法、注意点などを詳しく別ページで解説していますので、興味のある方はぜひ下記の記事もご覧ください。

毒性はあるの?触っても大丈夫?
ヒメアマガエルには、皮膚から分泌される弱い毒(アルカロイド系)があり、外敵から身を守るために備わっているものです。
ただしこの毒は、人間にとって強い毒性はなく、素手で触れても健康に大きな影響が出ることは基本的にありません。
とはいえ、敏感肌の人やアレルギー体質の方が触れると、かゆみやかぶれなどの皮膚刺激が出る可能性もあります。
特に目や口の粘膜に触れると危険なため、触ったあとは必ず手洗いをすることが大切です。
このようなヒメアマガエルの毒の種類や、他のカエルとの違い、取り扱いの注意点については以下のページで詳しく解説しています。

繁殖はできるの?抱接や産卵の様子
ヒメアマガエルは、条件が整えば飼育下でも繁殖が可能なカエルです。
繁殖期になるとオスが鳴き始め、メスに抱きつく「抱接(ほうせつ)」という行動を取るようになります。
交尾中のヒメアマガエル🐸 pic.twitter.com/ajpWqzlKEy
— AmamiCinemaPro(奄美野食ch) (@amami_cinema) August 20, 2024
その後、水中にゼリー状の卵を産みつける姿も観察できます。
ただし、飼育下で繁殖を成功させるには温度・湿度の管理、水場の確保、オスメスの性成熟などの条件を揃える必要があり、初心者にはやや難易度が高い部分でもあります。
ヒメアマガエルの繁殖の様子やオスメスの見分け方、繁殖を促す環境の作り方については、以下の記事で詳しく解説しています👇

ヒメアマガエルの飼育難易度
飼育難易度は比較的高い
ヒメアマガエルは見た目の可愛らしさから人気がある一方で、飼育難易度はやや高めといえます。
情報が少ない
ニホンアマガエルなどと比べて飼育例が少なく、販売されている個体も野生採集されたものが中心であるため、飼育情報が少ないことが一因です。
与える餌が小さい(しかも生餌がメイン)
また、体が非常に小さいため、与えられる餌の選択肢が限られるのもハードルのひとつです。
ピンヘッドコオロギやショウジョウバエなどの小型生餌を安定して確保できる環境が必要になります。
人工飼料に慣れさせるのも難しく、生餌中心の管理が基本となる点は注意が必要です。
デリケートな体質
さらに、臆病な性格でストレスにも弱く、湿度や温度の変化に敏感なため、安定した環境づくりが重要です。
日頃から湿度を保つ工夫や、ケージ内のレイアウトに高さを持たせて安心できる隠れ場所を用意する必要があります。
比較的、飼育の難易度が高い
これらの理由から、ヒメアマガエルの飼育はカエル飼育にある程度慣れた中級者以上の方向けと言えるでしょう。
ただし、必要な設備や習性を理解した上で環境を整えれば、魅力的な姿や仕草をじっくり観察できるとても楽しい飼育対象でもあります。
入手難易度について
流通量が少ない
なお、入手自体の難易度がやや高い点にも注意が必要です。
ヒメアマガエルは流通量が少なく、ペットショップで見かけることはまれです。
沖縄や奄美地域の一部のショップ、あるいは個人間のやりとりで入手されるケースが多く、地域やタイミングによってはそもそも購入が難しいこともあります。
野生個体の採集も注意が必要
そのため、一部の飼育者の中には、実際に現地(沖縄など)で野生個体を採集して飼育するケースも存在します。
ただし、こうした方法にはいくつか注意点があります。
まず、地域によっては捕獲が制限されていたり、許可が必要だったりする場合があるため、事前に地元自治体のルールを確認することが大前提です。
また、無闇に野生個体を持ち帰る行為は、生態系への影響や倫理的な問題をはらんでいることも理解しておく必要があります。
採集する場合は個体数や環境に配慮した慎重な判断を心がけ、現地の自然や命に対するリスペクトを忘れないことが大切です。
ヒメアマガエルの飼育方法

さて、昨今は、多種多様なカエルを飼育するYouTuberが人気なこともあり、この記事を読んでいらっしゃる方々のなかでも「ヒメアマガエルを飼育してみたい」と興味を持った人がいらっしゃるでしょう。
しかし、結論から申し上げると、ヒメアマガエルの飼育はかなり難易度の高い生き物ですので注意が必要です。
ケージ
ヒメアマガエルはジャンプ力が強いため、脱走防止のために高めのケージでの飼育をおすすめします。
例えば、30センチメートル以上の高さがあるテラリウムやアクアリウムが適切です。
ヒメアマガエルは小さくて敏捷なため、ケージの蓋はしっかりと固定できるものを選び、脱走を防ぎます。
また、良好な通気性を確保するために、メッシュの蓋や通気口が付いたケージを選んでください。
床材

ヒメアマガエルの飼育には、湿度を保ちつつも清潔を維持しやすい床材が適しています。
一般的に使われるのは、水苔、ヤシガラ土(ハスクチップ)、腐葉土、園芸用の赤玉土などです。
水苔は保湿力が高く、カエルの肌に優しいですが、カビが発生しやすいため定期的な交換が必要です。
ヤシガラ土や腐葉土は自然な見た目で、湿度管理がしやすいですが、誤食を防ぐためにエサ皿を使うと良いでしょう。
赤玉土は水はけがよく、管理しやすいですが、固まりすぎると掘りにくくなるため、適度に湿らせることが重要です。どの床材を使う場合でも、清潔を保つために定期的な掃除を心がけ、フンやカビが発生しないよう注意しましょう。
水場
ヒメアマガエルは湿った環境を好みますが、水に長時間浸かることはあまりありません。
そのため、ウシガエルのような水生ではないため水深は不要で、小さな浅い水場を設けるのが理想的です。
市販の小動物用の水入れや、浅めのタッパーを活用し、カエルが簡単に出入りできるようにすると良いでしょう。
水は毎日交換し、カルキ抜きをしたものを使用することで健康を維持できます。
また、蒸発しやすい季節はこまめに水を足し、湿度が下がらないよう注意が必要です。水場の周囲には水苔や観葉植物を配置し、自然な見た目と湿度保持を両立させると、より快適な環境になります。
観葉植物

観葉植物は飼育環境の美観を高めるだけでなく、隠れ場所や湿度維持にも役立ちます。
ヒメアマガエルの飼育では、ポトス、シダ類、アヌビアス、サトイモ科の植物(例:モンステラ)などが適しています。
これらの植物は湿度に強く、葉がしっかりしているため、カエルが登ったり休んだりするのに適しています。
植木鉢に植えたり、流木や壁面に活着させたりすることで、より自然に近いレイアウトが可能です。
人工植物を使用する場合は、ツル状のものや広い葉を持つタイプを選ぶと良いでしょう。植物の成長によるレイアウトの変化も楽しめるので、適度な管理をしながら取り入れるのがポイントです。
木の枝や流木
ヒメアマガエルは地表性のカエルなので基本的には地面や落ち葉の上で生活するカエルですが、隠れ場所や見た目の良さ目的で木の枝や流木を置くこともあります。
木の枝や流木を立体的に配置すると、休む場所や移動経路が増え、活発に動くようになります。流木は乾燥しにくく、適度な湿度を維持しやすいため、熱帯系の飼育環境にも適しています。
また、コルクバークを斜めに配置すると、カエルがしがみつきやすくなり、安心して過ごせます。
設置する際は、倒れないように固定し、カエルが挟まらないような配置を心がけましょう。枝の太さはカエルの体に合ったものを選び、滑りにくい素材のものを使用することがポイントです。
隠れ家
ヒメアマガエルは昼間はじっとしていることが多く、安心して休める隠れ家が必要です。
流木やコルクバーク、半割りした竹筒、植木鉢を横に倒したものなどが隠れ家として適しています。
市販の爬虫類用のシェルターを利用するのも良いでしょう。
隠れ家は飼育ケースの隅や植物の影に配置すると、より自然な雰囲気になります。
ただし、必ずしも隠れ家として用意する必要はなく、観葉植物や流木が結果的に隠れ家となることもあります。
また、湿度を保つために、水苔やヤシガラ土をシェルターの中に敷くと快適です。複数の隠れ家を用意することで、カエルが自分の好きな場所を選べるようにすると、ストレスの軽減にもつながります。
温度と湿度管理について

まず、ヒメアマガエルは南国の生き物なので寒さに弱く温度が下がると内臓が弱り命の危険があります。
そのため冬はこまめな温度管理が欠かせません。
ヒメアマガエルの飼育においては、温度は22度から27度を目安にし、湿度は常に70%から80%を保つことが重要です。
そしてカエルは皆、皮膚呼吸に頼っているため、常にやや高めの湿度を維持し、皮膚が乾燥しないように気を配らなければなりません。
・温度は22度から27度
・湿度は常に70%から80%を保つ
餌
カエルの成体はもともと生きている虫しか口にしないので、餌の確保が大変です。
餌としてはアリ、コオロギ、ショウジョウバエを与えることが一般的で、栄養バランスを整えるためにカルシウム剤をふりかけると良いでしょう。
人工飼料でも食べることは食べますが、食欲をなくし生餌以外口にすることがなくなることもたびたびあります。
特にヒメアマガエルは体が小さいので生餌のサイズにも注意が必要です。
こういった点からも、ヒメアマガエルの飼育は、上級者向けと言えるでしょう。
・餌はアリ、コオロギ、ショウジョウバエ
・小さなカエルなので生餌の大きさにも注意
ヒメアマガエルの食べ物については以下の記事でより詳しく解説していますので是非参考にしてください。

ヒメアマガエルの飼育方法【まとめ】
ヒメアマガエルは、沖縄など限られた地域にしか生息していない、とても小さくて魅力的なカエルです。
見た目の可愛さだけでなく、鳴き声や行動の特徴、オタマジャクシの育ち方など、知れば知るほどその奥深い魅力に引き込まれます。
飼育にはややコツが必要ですが、生態を理解し、環境を整えてあげることで長く健康に育てることも可能です。
本記事では、ヒメアマガエルの特徴や飼育方法、毒性・繁殖に関する基本情報まで幅広くご紹介しました。
これからヒメアマガエルの飼育にチャレンジしたい方や、すでに飼っている方にとっても、参考になる情報源となれば幸いです。