夜になると聞こえてくる、「キュッ」「キュッ」という不思議な音。
ヒキガエルの鳴き声は、実際に聞いてみると意外と軽く、かわいらしく感じることもあります。
それでも「うるさい」と感じる人が多いのは、繁殖期に複数の個体が同時に鳴く“大合唱”の状態になるためです。
特に静かな夜では、短い鳴き声でも繰り返されることで強く印象に残ります。
この記事では、実際の鳴き声動画をもとに、ヒキガエルの鳴き声の特徴や「うるさい」と感じられる理由を整理し、飼育者・非飼育者それぞれの立場での対策も分かりやすく解説します。
ヒキガエルの飼育全般に関する詳細は以下の記事を是非参考にしてください。
ヒキガエルの鳴き声とは?

ヒキガエルの鳴き声は、想像しているほど重苦しい音ではありません。
実際に聞いてみると、「グゥ…」というよりも、音の出る子どもの靴が鳴るような「キュッ」「キュッ」とした短い音に近く、案外かわいらしく感じる人もいます。
ただし、この音が夜の静かな時間帯に、複数個体から繰り返し聞こえてくることで、結果的に「気になる」「うるさい」と感じられる場合があります。
ヒキガエルの鳴き声を実際に聞いてみよう
ニホンヒキガエルの鳴き声の特徴
日本でヒキガエルと言えばニホンヒキガエルが最も一般的です。
実際の鳴き声を聞いてみると分かるように、ヒキガエルの声は爆音でも重低音でもありません。
「キュッ」「キュッ」と短く鳴く、どこかゴム靴の音を思わせるような、意外とかわいらしい音に聞こえる場合もあります。
それでも夜に目立つのは、周囲が静かな中で、同じ音が何度も繰り返されたり時には多数の個体が鳴くことで大合唱になるためです。
鳴き声そのものよりも、聞く環境が印象を左右していると考えると分かりやすいでしょう。
アズマヒキガエルはやや力強く響く傾向がある
アズマヒキガエルは、ニホンヒキガエルとよく似ていますが、鳴き声はやや太く、押し出すような低音になる傾向があります。
・音の圧が強い
・鳴いている時間が少し長い
と感じられることがあり、静かな夜だとより「うるさい」と受け取られやすいケースもあります。
ただし、個体差・環境差も大きいため、明確に聞き分けられるほどの違いではない、という点も重要です。
ナガレヒキガエルは環境音に紛れやすい声質
ナガレヒキガエルは、主に渓流沿いなど流水環境に適応した種です。
そのため鳴き声も、
・やや短め
・連続性が弱い
・水音に紛れやすい
といった特徴があり、「ヒキガエルが鳴いている」と気づかれにくいことも少なくありません。
住宅地で問題になるような“騒音感”は、他のヒキガエルに比べると小さい傾向があります。
種の違いよりも「状況」の影響が大きい
重要なのは、鳴き声の印象を左右する最大の要因は“種類”ではないという点です。
実際には、
・何匹が同時に鳴いているか
・周囲がどれだけ静かか
・夜間かどうか
・反響する地形・建物があるか
といった条件のほうが、「うるさい」「気になる」と感じるかどうかに強く影響します。
つまり、
種類ごとの差は“わずかにある”
体感の差は“環境による部分が大きい”
という整理が、最も実態に近いと言えるでしょう。
なぜヒキガエルは鳴くのか?

繁殖期のオスがメスを呼ぶため
ヒキガエルが最もよく鳴くのは、春の繁殖期。
この時期、オスたちは水辺に集まり、鳴き声でメスを呼び寄せようと必死にアピールします。
この鳴き声は「繁殖音」と呼ばれ、オスにしか出せない特別な声です。
メスに自分の存在を知らせるだけでなく、周囲のオスとの競争に勝つためにも、より大きく、持続的に鳴くことが重要になります。
オス同士のリリースコール
繁殖期の水場では、オスが密集するため誤って他のオスに抱きつくことも珍しくありません。
そんなとき、「ちがうよ!オスだよ!」と知らせるために、「グッ」「ギュッ」といった短い鳴き声を出します。
これは「リリースコール」と呼ばれ、しがみつきを解くためのサインです。
戦いというより、ちょっとした「間違い防止のコミュニケーション」ですね。
メスは驚いたときに短く鳴くことがある
基本的に、鳴き声を発するのはオスだけですが、メスもまったく声を出さないわけではありません。
例えば、人に持ち上げられたり、急に驚かされたときなどに、「キュッ」や「グッ」といった短くかすれた声を出すことがあります。
これは鳴嚢(鳴き袋)を使った本格的な鳴き声ではなく、防御反応や驚きによる反射的な声と考えられています。
つまり、鳴くことがあるとはいえ、習慣的に鳴くわけではないというのがポイントです。
ヒキガエルの鳴き声が気になるときの対策方法【立場別】
あなたがヒキガエルを飼育している場合

鳴くタイミングはいつ?
飼育下でも、ヒキガエルのオスは春先の繁殖シーズンになると鳴き始めます。
特に室内が暖かく、春の気配を感じさせる環境になると、日照や温度の変化に反応して発情スイッチが入ることがあります。
「夜になると急に鳴き始める」「他の個体にしがみついて鳴いている」といった行動が見られるなら、それは本能的な求愛行動です。
ご近所への音漏れが気になるときは?
室内で鳴いているとはいえ、夜間に低音が響くと壁を通じて音漏れすることも。
特にアパートやマンションなどの集合住宅では、ご近所への配慮が気になるポイントですよね。
対策としては、飼育ケースを厚手の布や段ボールで覆う(通気性確保しつつ)ことで音を少し軽減できる場合があります。
また、繁殖期のあいだは寝室から離れた場所にケージを移すなど、音の届きにくいレイアウトに変更するのも有効です。
鳴き止ませる方法はあるのか?
正直に言うと、完全に鳴き止ませる方法はありません。
鳴くのは自然な生理現象であり、無理に止めようとするとストレスや健康悪化の原因になるおそれもあります。
どうしても気になる場合は、オスだけを別の部屋に移す・一時的に離すなどの工夫で少し静かにできることも。
ただし、鳴くのは繁殖期の限られた期間だけなので、季節的なものと割り切るのが現実的な対処法ともいえるでしょう。
あなたがヒキガエルを飼っていない場合

どこから鳴き声がしているのか特定する
もし「どこからともなくグゥグゥと鳴いていて気になる…」という場合は、まず声の発生源を探すことが第一歩です。
ヒキガエルは雑木林のふち・庭の片隅・用水路沿いなどに潜んで鳴くことが多く、鳴き声だけでは場所が特定しにくいこともあります。
夜間にライトを持って、声のする方向をゆっくり探すと、静かにたたずんでいるヒキガエルの姿が見つかることも。
住宅に入らないようにする対策
ヒキガエルは高く跳ぶことが少ないため、20〜30cmの障壁でも侵入防止に役立ちます。
家の周りにある隙間や穴をふさぐ・水たまりを減らす・雑草を刈るなどの環境整備も、カエルの居場所を減らすポイントです。
ただし、**捕まえて遠くに放すことは法律で禁止されている(鳥獣保護法)**ため、基本は「来づらくする」対処を心がけましょう。
どうしても気になる場合の対応(耳栓、自治体相談など)
繁殖期の一時的な鳴き声とはいえ、騒音として眠れないほど気になるケースもあります。
その場合は、耳栓や窓の防音対策を行うのが現実的な対応です。
また、自治体の環境相談窓口に相談することで、保護とのバランスを考慮しつつアドバイスをもらえることもあります。
とはいえ、自然の生き物の営みでもあるため、可能であれば「春だけの風物詩」として見守る気持ちも持てると理想的ですね。
ヒキガエルの鳴き声が聞こえる季節と時間帯
繁殖期はいつ?
ヒキガエルが鳴くのは主に春の繁殖シーズンで、地域にもよりますがおおむね2月下旬~4月頃にかけてがピークになります。
暖かくなってくるとともに、オスたちは産卵のために水辺へと集まり、集団で鳴き交わすようになります。
特に雨が降ったあとの夜などは活発に活動しやすく、一斉に鳴き始める「カエル合唱団」状態になることも。
それ以外の季節には、基本的にほとんど鳴かないため、**鳴き声を聞けるのは年に一度の“春のイベント”**とも言えます。
夜に鳴くのはなぜ?
ヒキガエルは夜行性の生き物です。
日が落ちてあたりが暗くなると活動を始め、繁殖期のオスは夜通し鳴き続けることもあります。
これは天敵に見つかりにくいという生態的な理由のほか、気温や湿度の条件が整いやすい夜間の方が、カエルたちにとって快適な活動時間であるためです。
そのため、ヒキガエルの鳴き声が気になる時間帯はだいたい夜8時〜深夜1時ごろが多く、静かな夜ほど響きやすいというわけです。
まとめ|ヒキガエルの鳴き声とうまく付き合うために
ヒキガエルの鳴き声は、春の繁殖シーズン限定の自然現象。
「キュッキュッ」という不思議な音は、オスたちがメスを呼ぶための大切なサインです。
飼育している場合には、ご近所トラブルを避けるための音対策や飼育場所の工夫が必要になることもあります。
一方、野外で鳴き声が気になるときは、できる範囲での環境整備や距離の取り方を意識することで、無理なく共存できる可能性もあります。
鳴き声が響くのは、ほんの一時。
少しだけ見方を変えてみれば、それは「春の訪れを告げる声」かもしれません。
ヒキガエルの飼育全般に関する詳細は以下の記事を是非参考にしてください。

