エジプトミドリヒキガエルは、鮮やかな緑と黒の斑点が美しい、ちょっと珍しい外来種のカエルです。
見た目のユニークさだけでなく、比較的丈夫で飼いやすいことから、両生類飼育の中でも注目を集めています。
この記事では、エジプトミドリヒキガエルの飼育に必要な環境や餌、温度・湿度の管理、注意点などを初心者にも分かりやすく解説します。
初めて飼育する方でも安心してスタートできるよう、分かりやすくポイントを紹介していきます。
エジプトミドリヒキガエルの生態と特徴

エジプトミドリヒキガエルは、鮮やかな緑色の体に黒い斑点が入った、非常にカラフルで印象的な見た目をもつカエルです。
分布
名前に「エジプト」とありますが、実際の分布はエジプトを含む北アフリカから中東、さらにはヨーロッパの一部地域にまで広がっています。
エジプトミドリヒキガエルは「Bufotes」属に分類され、日本に生息するニホンヒキガエル(Bufo属)とは異なる種類ですが、見た目や行動パターンには共通点も多くあります。
見た目の特徴
体長は4〜9cm程度で、ヒキガエルの仲間としてはやや小型~中型サイズ。
体表の鮮やかな模様は個体によって差があり、中には黄緑色が強い個体や、黒い斑点がはっきりしているものもいます。
性格
性格はおとなしく、基本的にあまり動かず、夜行性で日中は物陰でじっとしていることが多いです。
ただし気温や湿度によっては夕方から活動を始めることもあります。
乾燥耐性
乾燥に比較的強く、半乾燥地帯でも生息できるのが特徴で、こうした環境への適応力が飼育のしやすさにもつながっています。
毒性
また、ヒキガエルの仲間であるため、皮膚から弱い毒(ブフォトキシン)を分泌します。
人間に対しては重篤な影響はありませんが、触ったあとは手を洗う、犬や猫には近づけないなど、基本的な取り扱いには注意が必要です。
エジプトミドリヒキガエルの飼育方法
入手難易度

エジプトミドリヒキガエルは日本国内では流通が少なく、ペットショップや爬虫類イベントなどでも滅多に見かけません。
販売される場合もスポット的で、確実に入手するのは難しいのが現状です。
輸入のタイミングや流通量によって価格や在庫にばらつきがあり、運良く見つけたらすぐにお迎えを検討するくらいのスピード感が必要です。
ケージ

エジプトミドリヒキガエルは陸生のカエルで、水中環境ではなく陸地環境を好みます。
乾燥した環境を好むため、適度な湿度を保ちながら乾燥した場所も用意します。
ケージは広めに用意することが好ましく最低でも一匹あたり60cm×45cmの床面積を確保し、できればもっと大きなスペースを提供してください。
縦長よりも広い面積を意識してケージを選ぶ
エジプトミドリヒキガエルは基本的に地表を這うように移動する陸生のカエルで、ジャンプ等の高い場所への移動は限定的です。
そのため、飼育においては、縦長よりも広い床面積を提供する水平方向に広がるケージが適しています。
ケージ内には浅い水入れを設置して、いつでも水分を補給できるようにします。
水は常に清潔に保つ必要があります。
コルクバーク、植木鉢の破片、プラスチックのシェルターなどが使えます。
床材にはヤシガラや砂を敷き、隠れ家となるシェルターや流木、水入れを設置することで、快適な環境を再現できます。
床材
エジプトミドリヒキガエルの飼育では、適度な湿度を保ちつつ、潜れる性質を活かせる床材を使うのが理想的です。
ヒキガエルの床材には赤玉土やヤシガラ土、腐葉土など、保湿性と通気性を兼ね備えた素材がよく使われます。
以下のページでは、ニホンヒキガエルを例に具体的な床材の種類や特徴を詳しく解説していますが、エジプトミドリヒキガエルにも基本的に同じ内容が当てはまります。

水場
このカエルは乾燥地帯に生息しているものの、水を利用する習性があり、適切な水場を設置することで健康を維持しやすくなります。
水場の大きさは、カエルが全身を浸せる程度が理想的で、浅めの容器を使用すると安心して利用しやすくなります。
水が深すぎると溺れるリスクがあるため、底が浅く、出入りしやすいデザインを選ぶのがポイントです。
使用する水はカルキを抜いたものが適しており、市販の爬虫類・両生類用の浄水剤を使うのも効果的です。
水は汚れやすいため、毎日交換し、清潔な状態を維持することが大切です。
また、水場の周囲には滑りにくい素材を使うと、カエルが安全に移動できます。湿度管理の一環としても機能するため、水場の設置場所を考慮しつつ、蒸発による影響を確認することも忘れずに行いましょう。
隠れ家(シェルター)

エジプトミドリヒキガエルは夜行性で、日中は暗くて落ち着ける場所に身を潜める習性があります。
そのため、ストレスを軽減し、健康を維持するためにも、十分な隠れ家を用意することが重要です。
シェルターとしては、半分に割った植木鉢や流木、ココナッツの殻、人工の洞窟型シェルターなどが適しています。
通気性が良く、内部が蒸れないものを選ぶと、カビや雑菌の繁殖を防ぐことができます。
また、隠れ家は飼育ケージ内の複数の場所に配置するのが理想的です。
例えば、比較的乾燥した場所と、湿度が少し高めの場所の両方に設置すると、カエルが好みの環境を選べるようになります。
床材を掘る習性もあるため、軽く埋めるように配置するのもよいでしょう。
隠れ家が不足するとストレスがかかり、活動性の低下や食欲不振の原因にもなるため、落ち着いて休めるスペースを確保することが大切です。
観葉植物

観葉植物は、隠れ家の役割を果たすだけでなく、湿度を適度に保つ助けにもなります。
飼育ケージ内に適した植物としては、ポトス、サンセベリア、スパティフィラム、シダ類などが挙げられます。
これらは丈夫で、比較的乾燥にも強いため、エジプトミドリヒキガエルの飼育環境に適しています。
植物を設置する際は、農薬や化学肥料が残留していないか確認し、使用する土も無害なものを選ぶことが大切です。
腐葉土やヤシガラ土を使うと、植物の成長を助けると同時に、カエルにとっても安全な環境を作れます。
エジプトミドリヒキガエルです。🐸#エジプトミドリヒキガエル pic.twitter.com/SSOPNAStAB
— Aquaman (@mamoru0323) November 11, 2024
エジプトミドリヒキガエルは樹上性ではなく地表性のカエルなので、高さのある植物よりも、低めで広がるタイプの植物を選ぶのが適しています。
背が高い植物は倒れやすく、カエルが移動しにくくなるため、以下のような工夫をすると良いでしょう。
- 低く広がる植物を選ぶ
ポトスやスパティフィラムなどは成長すると高さが出ますが、低く剪定することで地表の隠れ家として活用できます。また、シダ類やピレア(カネノナルキの仲間)など、地面を這うように成長する植物を使うのも良い方法です。 - 植木鉢を横にして活用
植木鉢を倒して床材に半分埋め、その中に植物を植えることで、隠れ家の要素を加えながら高さを抑えることができます。植物の根元に水苔を敷くと湿度の調整にも役立ちます。 - 人工植物を利用する
本物の植物では高さの調整が難しい場合、人工の葉を低めに設置する方法もあります。プラスチック製のフェイクグリーンを低めに配置すれば、見た目も良く、カエルの隠れ家として機能します。
人工物ですから当然成長はしません。
こうした工夫をすることで、エジプトミドリヒキガエルにとって快適で自然に近い環境を作ることができます。
流木や木の枝
エジプトミドリヒキガエルの飼育環境において、流木や木の枝は隠れ家やレイアウトの一部として活用できますが、樹上性ではないため高さを重視する必要はありません。
その代わり、地表での活動をサポートし、適度な障害物として機能する形状のものを選ぶことが大切です。
エジプトミドリヒキガエルは主に地上で過ごすため、地面に沿うような低い流木や、横に広がる枝を選ぶと良いでしょう。高さがあると転倒した際にケガをする可能性があるため、しっかりと床材に固定するか、土に半分埋める形で設置すると安定します。
流木や木の枝は、カエルが身を隠せる環境作りにも役立ちます。たとえば、アーチ状に配置して下にくぐれるようにする、または流木を組み合わせて自然なシェルターを作ると、安心して休めるスペースになります。木の隙間やくぼみを利用することで、自然な隠れ家のような雰囲気を演出できます。
流木は湿度を保持するのに役立ちますが、過度に湿気がこもるとカビが発生する可能性があるため、定期的にメンテナンスが必要です。通気性を確保しつつ、霧吹きの頻度を調整して適度な湿度を維持しましょう。
流木や枝は、シンプルに配置するのではなく、植物や石と組み合わせるとより自然な環境を再現できます。たとえば、流木のそばに低めの観葉植物を配置したり、床材に部分的に埋めることで安定感を出すと、見た目も機能性も向上します。
エジプトミドリヒキガエルの飼育では、高さよりも地表の環境づくりが重要なため、流木や枝は隠れ家や移動の障害物としてうまく活用するのがポイントです。
温度と湿度の管理

エジプトミドリヒキガエルを飼育する際、特に重要なのが温度管理です。
温暖な地域に生息しているため、適切な温度を保つことが健康維持の鍵となります。
昼間は25~30℃、夜間は20~25℃程度が理想的で、常に温度計で確認しながら適温を維持することが必要です。
・昼間は25~30℃
・夜間は20~25℃
また、温度が低すぎると活動が鈍くなり、免疫力の低下を招く可能性があります。
冬場など低温になりがちな場合は、ヒーティングパッドや小型ヒーターを用いて温度管理をします。
一方で、高温すぎる環境もストレスを与えるため、適度な調整が不可欠です。
次に、生息環境を整えることも重要です。
湿度は50%以上を目安に保ちます。
乾燥と湿度のバランスをとるために霧吹きを活用するのも効果的です。
エジプトミドリヒキガエルのエサについて
ベビーへの餌の与え方
ベビー個体は毎日、少量の餌を与える
若齢個体は成長期にあるため、毎日または一日おきに少量ずつ餌を与えることが望ましいです。
与える餌の量は小さく、カエルの口に入るサイズの餌を2〜3個程度が適切です。
ベビーに与える餌もコオロギ等の生餌で良いのですが、大きさには注意が必要です。
特に生後すぐのベビーカエルには、ピンヘッドコオロギ(非常に小さいコオロギ)が最適です。
これらは大きさが非常に小さく、ベビーカエルが食べやすいサイズです。
ミールワームのベビーサイズも適していますが、硬い外皮が消化に悪影響を及ぼす可能性があるため、あまり多くは与えないようにしましょう。
成体に与える餌
餌の選び方や与え方にも注意が必要です。

これは他のカエルと同じですが、コオロギやミルワームなどの昆虫を主に与え、栄養バランスを考慮してカルシウムパウダーを追加すると良いでしょう。
成体は2~3日に1回の頻度
成体のエジプトミドリヒキガエルには、2~3日に1回の頻度で餌を与えることが一般的です。
一回の餌の量は、カエルの口に収まるサイズの餌を2〜4個程度が目安です。
過剰に餌を与えると肥満や健康問題を引き起こす可能性があるため、餌の量と頻度には注意が必要です。
餌を与えた後、食べ残しがあれば取り除くことで、ケージ内を清潔に保ち、不衛生な環境が発生するのを防ぎます。
餌の種類に変化を持たせることで、栄養不足や偏食を防ぐことが可能です。
ヒキガエルの餌の与え方については以下の記事で詳しく解説しています。
厳密に言えばニホンヒキガエルを想定した内容ですが、ヒキガエルの仲間でしたらほとんど同じですので、是非参考にしてください。

エジプトミドリヒキガエルの飼育注意点
毒性について
エジプトミドリヒキガエルは、ヒキガエルの仲間で皮膚に弱い毒を持っています。
人に対して重篤な害はありませんが、触ったあとは必ず手洗いをするなど、基本的な注意が必要です。
毒性の詳しい解説については、以下の記事をご参照ください(ニホンヒキガエルを例に説明していますが、基本的な考え方は共通です)。

脱走予防について
エジプトミドリヒキガエルも他のヒキガエルと同様、ちょっとした隙間から脱走してしまうことがあります。
1週間ほど前にべべレプ(@BebeRep )さんところよりお迎えしました😊
— 三毛猫のチャチャ@生き物 (@chacha_Love0118) June 18, 2023
エジプトミドリヒキガエル
来た頃は脱走ばかり考えたみたいです
その割には、コオロギを食べるのが鈍臭い😅
色も顔もめちゃくちゃ綺麗な子です😍
名前は「麻実」ちゃん
(麻の実は香辛料なので)#エジプトミドリヒキガエル pic.twitter.com/KEzXRfGBaG
特にフタのないケージや不完全な閉め方には要注意です。
脱走の原因や対策については、以下の記事で詳しく紹介しています。

脱皮不全について
湿度管理が不十分な場合、ヒキガエルは脱皮不全になることがあります。
脱皮した皮が体に残ると衛生面にも悪影響が出るため、見つけたら早めに対処しましょう。
詳しい対処法については、以下の記事をご覧ください(こちらもニホンヒキガエルをベースに解説しています)。

鳴き声について
オスのエジプトミドリヒキガエルは、繁殖期になると大きな声で鳴くことがあります。
夜鳴きが気になる場合は、飼育環境を見直すことも検討しましょう。
鳴き声の特徴や騒音対策については、以下の記事を参考にしてください。

エジプトミドリヒキガエルを長寿にするために
ここまではエジプトミドリヒキガエルの基本的な飼育方法について解説してきました。
飼い主さんの個々の事情もあるでしょうし、カエルの個体差もありますからこの通りに全部やって下さいというわけではありませんが、多少なりとも参考にはなると思います。
また、それとは別に以下の注意点を守ることで、エジプトミドリヒキガエルの寿命を延ばすことができるので是非参考にしてください。
室内飼育が望ましい
エジプトミドリヒキガエルを飼育する際は、屋外ではなく室内で管理する方が安全です。
屋外飼育では、気温や湿度の変動が大きく、夏は高温になりすぎたり、冬は極端に冷え込んだりするため、カエルにとってストレスや健康リスクが高まります。
また、雨が降るとケージ内が過湿状態になり、病気や皮膚疾患を引き起こす可能性もあります。
さらに、外敵(鳥、猫、昆虫など)に襲われたり、逃げ出してしまったりするリスクも考えられます。

一方、室内飼育なら、温度や湿度を一定に保ちやすく、カエルの健康を管理しやすいというメリットがあります。特に冬場は、適切な温度管理を行うことで冬眠を防ぎ、活発に過ごせる環境を維持できます。
室内でも直射日光の当たる場所やエアコンの風が直接当たる場所は避け、適度な湿度と温度を維持することが長寿につながります。
冬眠はさせない
カエルの多くの種類は野生下で冬になると冬眠をしますので、飼育下でも冬眠させる方は少なくありません。
しかしエジプトミドリヒキガエルは寒冷地に生息するカエルではなく、もともと冬眠の習慣がない種類です。
野生では冬場に活動が鈍ることはありますが、飼育下では無理に冬眠させると体力を消耗し、命を落とすリスクが高まります。
特に、冬眠に入る際や目覚める際に体調を崩しやすく、冬眠が完全に成功する保証はありません。
飼育環境では、冬眠を避けるために最低でも20℃以上の温度を維持することが重要です。
温度管理には、パネルヒーターや保温球を使用し、ケージ内の温度を安定させると良いでしょう。また、急激な温度変化はカエルにストレスを与えやすいため、冬場は特に温度が下がりすぎないよう注意が必要です。
冬眠をさせずに活動を維持することで、健康を保ち、寿命を延ばすことができます。
多頭飼いはリスク

エジプトミドリヒキガエルは基本的に単独で生活する生き物であり、多頭飼いをするとさまざまなリスクが発生します。
まず、縄張り意識が強く、同じケージ内で争いが起こる可能性があります。
特に餌の奪い合いが起きると、弱い個体が十分に餌を食べられず、成長不良やストレスによる体調不良を引き起こすことがあります。
また、サイズ差があると共食いのリスクも高まるため、特に小さい個体を一緒に飼育するのは危険です。
さらに、病気が一匹に発生すると、同じケージ内の個体にすぐに感染が広がる可能性があり、飼育管理が難しくなります。
単一飼育であれば、それぞれのカエルの体調をしっかり管理しやすく、健康を維持しやすくなります。カエルにとってもストレスが少ない環境になるため、長寿を目指すなら単独飼育が最適です。
落下事故の防止
エジプトミドリヒキガエルは樹上性ではなく、基本的に地表で生活する種類のため、高さのあるレイアウトは避けた方が安全です。
高さがあると、カエルが誤って落下した際に、お腹や骨を傷める可能性があるため、飼育環境は低めで安定した設計が望ましいです。
特に、流木や岩などの装飾を設置する際は、登ってしまっても安全な高さにとどめるように工夫することが大切です。
また、床材をクッション性のあるもの(ヤシガラ土や腐葉土)にすることで、万が一の転倒時の衝撃を和らげることができます。
高い場所への移動を防ぐためには、隠れ家を横に広く配置し、安心して過ごせる環境を作ることが重要です。
直接触れるのはほどほどに
エジプトミドリヒキガエルは観賞向きのカエルであり、頻繁に触れることは避けた方が良いとされています。
カエルの皮膚は非常にデリケートで、人間の手の油や化学物質(ハンドクリーム、石鹸の残りなど)が付着すると、皮膚の健康を損なう可能性があります。
また、捕まえられること自体がストレスになり、暴れてケガをする、食欲が落ちるといった悪影響を及ぼすこともあります。
どうしても触る必要がある場合は、手をよく洗い、水で湿らせた状態で優しく扱うことが大切です。ただし、基本的には観察を楽しみ、無理に触れ合おうとしない方がカエルにとって快適な環境になります。
カエルと人間の体温の違いにも注意
エジプトミドリヒキガエルに限らず、カエル全般は変温動物であり、周囲の環境によって体温が変化します。一方で、人間は恒温動物であり、体温は常に約36~37℃に保たれています。この温度差が、人間がカエルに触れる際のリスクを生み出します。
カエルの体温は通常20~25℃前後が適温とされており、人間の手で直接触れると、短時間で急激に体温が上昇してしまいます。
これはカエルにとって大きなストレスとなり、代謝の異常や体力の消耗を引き起こす可能性があります。特に、小型の個体や体調が悪いカエルにとっては、急な体温変化が致命的な負担となることもあります。
さらに、カエルの皮膚は非常に繊細で、乾燥や刺激に弱い特徴があります。人間の手の温度が高いことで、皮膚の水分が奪われやすくなり、乾燥によるダメージが発生することも考えられます。
加えて、手に付着した化学物質(ハンドクリーム、消毒液、石鹸の成分など)がカエルの皮膚に悪影響を与えるリスクも高くなります。
水場での溺死リスクについて
エジプトミドリヒキガエルの飼育環境に水場を設置することは重要ですが、水の深さや形状によっては溺死のリスクが発生します。
エジプトミドリヒキガエルは水生種ではなく、泳ぎが得意ではないため、深い水場や登りにくい構造の容器を使用すると、出られなくなって溺れてしまうことがあります。
特に体調が悪い個体や、足場のない水場では動きが鈍くなり、水の中で疲労してしまうケースがあるため注意が必要です。
水場を安全にするためには、「浅くて広い容器」を選ぶことが重要です。理想的な深さはカエルが全身を浸せる程度(1~2cm程度)で、深すぎないものが適しています。
また、傾斜をつけたり、小さな石や流木を配置して簡単に上がれるようにすると、万が一転落しても安全に脱出できます。滑りやすい素材の容器は避け、カエルがしっかり踏ん張れるようなざらつきのある底の容器を使うと安心です。
また、水質の管理も重要です。汚れた水は細菌の繁殖を助長し、皮膚病や体調不良の原因となるため、毎日清潔な水に交換することを習慣づけましょう。カルキ抜きをした水を使用し、ぬるすぎず冷たすぎない適温(20~25℃程度)を維持することが理想的です。
さらに、カエルが水場に過剰に依存している場合は、ケージ内の湿度や床材の乾燥状態を見直すことも必要です。通常、エジプトミドリヒキガエルは水場を利用しつつも地表で過ごす時間が長いため、水場にずっといる場合は環境が乾燥しすぎている可能性があります。
溺死を防ぐためには、水場の構造をシンプルかつ安全に整え、カエルが簡単に出入りできる形状にすることが最も重要です。
ヒキガエルの仲間たち
エジプトミドリヒキガエルは、日本ではペットとして流通する海外種のカエルですが、日本国内にもさまざまなヒキガエルの仲間が生息しています。
飼育スタイルや性格に違いはありますが、見た目や生態を比較してみると面白い発見があるかもしれません。
ニホンヒキガエル

ニホンヒキガエルは日本で最もよく知られるヒキガエルで、本州・四国・九州を中心に広く分布しています。
体が大きく、飼育もしやすいため、ペットとしても非常に人気があります。
夜行性で、湿度を好み、基本的におとなしい性格。飼育情報や餌・床材の選び方なども豊富で、初心者にもおすすめの種類です。
ミヤコヒキガエル

ミヤコヒキガエルは沖縄県・宮古島にのみ生息する地域固有のヒキガエルで、ニホンヒキガエルの亜種とされています。
温暖な地域に生息しているため、冬眠はせず、飼育時も加温の必要があまりないのが特徴です。
体格はやや小柄で、地域差による独自の魅力を感じられるカエルです。

ナガレヒキガエル

ナガレヒキガエルは紀伊半島の山間部を中心に生息する日本固有のヒキガエルで、ニホンヒキガエルに比べて体格がやや小さく、目の周りや体表の模様が特徴的です。
名前の通り、渓流沿いなど水辺に近い環境を好みます。
野生ではやや見かけにくい種類ですが、静かで落ち着いた印象を持つ個体が多いです。

エジプトミドリヒキガエルの飼育方法【まとめ】
エジプトミドリヒキガエルは、独特な魅力で多くの人を惹きつけるペットです。
適切な環境を整え、温度管理や餌、病気予防といったポイントを守れば、健康で長生きしてくれるでしょう。
飼育環境を整えるステップを丁寧に実践し、彼らの魅力を最大限に引き出して素晴らしい時間を過ごしてください。