ウーパールーパーのエサについて調べていると、「ミルワーム」という名前を見かけたことはありませんか?
見た目は小さな虫で、動きもあるため、ウーパールーパーがよく食いつくエサとして一部の飼育者に人気です。
しかし、「本当に与えてもいいの?」「どんなミルワームを選べばいいの?」といった疑問を持つ方も多いはず。
この記事では、ウーパールーパーにミルワームを与えるメリットや注意点、与え方のコツなどをわかりやすく解説します。
大切なウーパールーパーの健康を守るために、正しい情報をチェックしていきましょう。
ウーパールーパーにミルワームを与えてもいいの?

結論から言えば、ウーパールーパーにミルワームを与えることは可能です。
ただし、「与えてもいいけれど注意が必要なエサ」であることを理解しておきましょう。
野生下では食べることがない餌
まず前提として、ウーパールーパーは野生では主に湖や水辺に生息しており、水中にいる小魚やエビ、ミジンコ、水生昆虫の幼虫などを捕食しています。
一方、ミルワームは乾燥地帯などに生息する昆虫の幼虫であり、自然界の水辺でウーパールーパーが出会うことはほとんどありません。
つまり、ミルワームは「自然界に存在するエサ」ではなく、「人間が飼育下で与える人工的な補助エサ」という位置づけになります。
食いつきがよくミルワームを食べる
とはいえ、ミルワームはよく動くため、ウーパールーパーの狩猟本能を刺激しやすく、目の前に差し出すと勢いよく食いつくことも多いです。
そのため、人工飼料に見向きもしない個体や、食欲が落ちている時の“きっかけ”として利用されることもあります。
ただし注意したいのは、ミルワームの外皮には「キチン質」と呼ばれる硬い成分が多く含まれているという点です。
このキチン質は消化がしにくく、特にまだ小さなウーパールーパーや胃腸が弱っている個体にとっては、便秘や消化不良の原因になる可能性があります。
おやつとしてたまに与えるのはOK
したがって、ミルワームはウーパールーパーにとって「絶対にNG」というわけではないものの、「主食には不向き」であり、「たまのおやつ」や「食欲刺激の手段」として、慎重に与える必要があります。
ミルワームを与えるメリットとデメリット
ミルワームをウーパールーパーに与えることには、メリットとデメリットがはっきり分かれています。
メリット

まずメリットとしては、生餌に限りますがその“動き”です。
ウーパールーパーは視力が弱い代わりに動きに反応する習性があるため、ミルワームのピクピクとした動きにすぐ気づき、食いつきやすくなります。
また、ミルワームはタンパク質を多く含んでおり、栄養価は高めです。
特に、成長期の個体や人工飼料だけでは食いつきが悪い場合など、補助的なエサとして使える場面はあります。
さらに、生きたまま販売されていることも多く、ペットショップやネット通販で比較的手に入りやすい点もメリットでしょう。
デメリット

しかし、こうした利点の裏側には、見逃せないデメリットがいくつかあります。
先にも少し触れましたが、最大の問題は“消化のしにくさ”です。
ミルワームの外皮は硬く、ウーパールーパーの体内では完全に消化されにくいため、与えすぎると便秘や腸閉塞を起こす可能性があります。
さらに、脂肪分も多めであるため、頻繁に与えると肥満や内臓への負担が大きくなってしまいます。
こうした理由から、ミルワームは「与えてもOKなエサ」ではありますが、「適量を守って、たまに与えるにとどめるべきエサ」だと考えておいた方が安心です。
どんなミルワームを選べばいい?(種類・大きさ・状態)
ウーパールーパーに与えるミルワームには、「生きたもの」「乾燥されたもの」「冷凍されたもの」の3種類があります。それぞれに特徴があり、与える際の注意点も異なります。
状態①生餌

生きたミルワームは最も食いつきが良く、動きに反応しやすいウーパールーパーにとっては魅力的なエサになります。
ただし、水槽内に落としてしまうと床材の中に潜ってしまったり、水を汚す原因になったりするため、ピンセットを使って直接与える必要があります。
状態②乾燥ミルワーム
乾燥ミルワームは保存がしやすく、臭いも少ないので扱いやすいのが魅力です。
しかし、そのままだと非常に硬く、消化への負担が大きくなります。
与える際は、必ずぬるま湯などでふやかしてから、柔らかくして与えるようにしましょう。
状態➂冷凍ミルワーム
冷凍ミルワームは、保存性の高さと安全性のバランスが取れているタイプです。
すでに加熱処理されていることもあり、寄生虫などの心配も比較的少ないのが特徴です。
ただし、冷たいままだとウーパールーパーが食べないこともあるので、解凍後は少し室温に慣らしてから与えるとスムーズです。
サイズ選び
ミルワームを選ぶ際にもう一つ大切なのは「サイズ」です。
大きすぎるミルワームをそのまま与えると、喉に詰まらせたり、未消化のまま排泄されるリスクが高まります。
基本的には、ウーパールーパーの頭の幅よりも小さいサイズのミルワームを選ぶようにしましょう。
小さな個体や幼体の場合は、ミルワームをハサミで切って与える工夫も必要です。
また、ミルワームは成長が進むと黒ずんできて、硬くなっていきます。
こうした黒いミルワームは栄養価も落ちており、消化にも悪いため、なるべく新鮮なものを選んで与えるのがポイントです。
ミルワームの与え方と注意点

ミルワームをウーパールーパーに与えるときは、いくつかの大切なポイントがあります。
頻度と量
まず、与える頻度と量についてですが、これは個体のサイズや体調にもよりますが、成体であっても週に1〜2回、1〜3匹程度にとどめるのが無難です。
幼体の場合はさらに頻度を下げ、月に数回程度に抑えることをおすすめします。
ピンセット利用が基本
与える際は、必ずピンセットを使って、ウーパールーパーの口元にやさしく差し出すようにしましょう。
床に落としてしまうと見失ってしまったり、床材と一緒に飲み込んでしまう危険もあります。
乾燥や冷凍は適切な状態にしてから
また、乾燥ミルワームを使う場合は、ぬるま湯でふやかすことで飲み込みやすくなり、消化への負担も軽減されます。
冷凍タイプも、自然解凍またはぬるま湯で解凍してから与えることが基本です。
大きい場合はハサミで切る
大きすぎる個体の場合は、あらかじめキッチンバサミで切ってから与えると安心です。
与え過ぎに注意
どんなに食いつきが良くても、ミルワームだけに頼った食事は避けるべきです。
人工飼料など、主食としてバランスのとれたエサを基本にし、ミルワームはあくまで“補助的なご褒美”として取り入れるのがベストです。
実はミルワームは陸化個体向け?水中でも食べられる?
ウーパールーパーは本来、幼形成熟(ネオテニー)といって、水中のまま大人になる珍しい両生類です。
陸化とは?
ただし、まれに「ホルモン処理」や「強いストレス」「環境条件の変化」などによって、陸上の姿=サンショウウオのような形態に変態(へんたい)する個体がいます。
この陸上化個体はエラがなくなり、肺呼吸をするようになるため、水中ではなく陸上生活になります。

陸上に上がった個体にとって、ミルワームは与えやすい「陸生の生き餌」です。
ピンセットでちょこんと差し出せば、バクっと食べてくれるので、乾いた場所でもエサやりしやすいんですね。
そのため、YouTubeやSNSなどで「ウパがミルワームを食べている映像」は、実は変態個体や半陸上環境にいる個体であることが少なくありません。
変態ウパさんはミルワームがお好き(^^) #ウーパールーパー pic.twitter.com/M5AI3vGOmL
— 魔竜王 (@maryuou) April 14, 2021
■じゃあ、水中のウーパールーパーはミルワームを食べられないの?
結論から言うと、食べられます。ただし“工夫が必要”です。
水中にいるウーパールーパーにミルワームを与える場合、
- ミルワームが沈みにくく、水面に浮いてしまう
- ピクピク動くミルワームが底材に逃げる
- 水中でミルワームが泳げないので、自然な動きがなく、反応が鈍い
といった問題があり、普通に落とすだけだと食べてくれないことも多いです。
なので、多くの飼育者は
- ピンセットで直接目の前に差し出す
- 小皿や餌場トレーの上に置く
- 切って柔らかくしたりふやかしたりして見せる
といった工夫をしています。
- 陸上化個体はミルワームを食べやすい
- 水中のウパにもミルワームは与えられるが、ひと手間が必要
- 与え方を工夫すれば、水中飼育でも問題なし
ミルワームが原因で起こるトラブル事例
実際に飼育していると、ミルワームを与えたことで体調を崩してしまったというケースは少なくありません。
最も多いのは、消化不良による便秘です。
ミルワームの外皮が消化されず、腸の中にたまってしまい、うんちが出なくなったり、お腹がパンパンに膨らんだりします。
また、食後に吐き戻すような嘔吐反応を見せることもあります。
これは、与えたミルワームが大きすぎた、あるいは硬すぎたことが原因で、ウーパールーパーの体に負担をかけてしまった可能性があります。
さらに、ミルワームを頻繁に与えすぎると、脂肪分の摂りすぎによって太りすぎてしまい、肥満や内臓疾患につながるおそれもあります。
特に運動量が少ない飼育環境下では、カロリーコントロールがとても大切になります。
ウーパールーパーにとって理想的なエサとは?
ウーパールーパーにとって、毎日の食事として最も理想的なのは、栄養バランスがしっかり計算された専用の人工飼料です。
ペレット状になっているものが多く、消化もしやすく、水質を汚しにくいように作られているものもあります。
最近では、浮くタイプ・沈むタイプが選べるなど、個体の食べ方に合わせて選べるようになっているのも嬉しいポイントです。
人工飼料だけでは食いつきが悪いという場合は、冷凍アカムシやイトミミズなどを補助的に与えるのもおすすめです。

これらは自然界のウーパールーパーの食性にも近く、無理なく栄養補給ができます。
ただし、水が汚れやすくなるため、与えすぎには注意が必要です。
ウーパールーパーにとって、ミルワームはあくまで「おやつ」や「補助的なご褒美」として位置づけるのが安全です。
主食は人工飼料、必要に応じて赤虫などを補助、そしてたまにミルワーム。
そんなバランスを意識することで、健康的な飼育が続けられるでしょう。
まとめ:ミルワームは“たまのおやつ”に。与え方を工夫してウパの健康を守ろう
ウーパールーパーにとってミルワームは、食いつきがよく、補助的な栄養補給にもなる便利なエサです。
しかし、自然下では食べることのないエサであり、消化に悪い外皮や脂肪分の多さなど、リスクも抱えています。
だからこそ、主食としてではなく、「たまのおやつ」として与えるのがベストな使い方です。与える量や頻度、種類、状態をきちんと理解し、個体の様子を観察しながら慎重に取り入れましょう。
可愛くて大切なウーパールーパーの健康を守るために、エサ選びと与え方にはちょっとした工夫と気配りを忘れずにいたいですね。