イエアメガエルは樹上性カエルの中でも特に飼育がしやすい種類です。
簡単すぎるがゆえに、カエル愛好家の間では「樹上性カエル飼育の練習にはならない」と言われるほどです。
鮮やかなグリーンが魅力的なこのカエルは、単なる練習用としてではなく、その美しさだけで十分に注目に値します。
このカエルは肉食性が強く、特に幼体は生きた昆虫にのみ関心を示します。しかし成長するにつれて人工フードにも適応します。
幼い時期は体が弱いため、早く成長させるためにも生きたコオロギなどを十分に与えることが大切です。
体長が約5センチになったら人工フードへの餌付けに挑戦してみると良いでしょう。
イエアメガエルのエサ(幼体)
エサの種類
イエアメガエルは、樹上性のカエルとしてはかなりコンスタントに出回っています。
よく見かけるのはベビーサイズと呼ばれる、親指の第一関節くらいの大きさの個体です。
このサイズから飼い始める方も多いと思います。
ベビーサイズであっても丈夫なカエルですが、アダルトほどではありません。
特に水切れと餌切れに弱いので、水入れには常に清潔な水を入れ、成長期である幼体の間は餌を毎日与えましょう。
このとき与える餌は、餌用として市販されている生きたコオロギ(生餌)がいいでしょう。
コオロギ位でしたら身近な昆虫なので、「近くの山で捕獲する!」と意気込む方もいるかも知れませんが、おススメしません。
野生のコオロギは寄生虫や病気を持っている可能性がありますし、また日本国内は特に農薬の影響を受けているリスクが高いです。
自然の多い地域であれば、コオロギは割と見つけられると思いますが、必要とするサイズのコオロギを見つけるのは困難です。
安全に安定的に餌を与えるためにも野生のコオロギを、餌とするのは現実的ではありません。
与える餌の大きさに注意
各サイズが売られていますが、カエルの口に無理なく入る大きさのコオロギを与えます。
カエルはものをかみ砕くことができず丸呑みにするので、大きな餌を与えると内臓を傷つけたり、吐き戻してしまうことがあります。
ケージ内にコオロギを撒くと、うまく隠れて食べられなくなったり、脱走して部屋の中を飛び跳ねたり、寝ているカエルをかじったりと、不慮の事故の原因になります。
タッパーウェアなどを餌入れとして使い、その中にコオロギを入れるといいでしょう。
ひと手間かけるなら、コオロギの後ろ足を折っておくとより確実に脱走を防げます。
エサの量と頻度
与える数ですが、まずは10匹ほどのコオロギを与え、何匹食べるか観察しましょう。
このときに食べきった数よりも少し少なめに、毎日与えるようにします。
たとえば、8匹食べたのなら毎日5~6匹与える、といった具合です。
どんどん食べてどんどん成長するので、カエルのサイズに合わせてコオロギのサイズも変えましょう。
成体のイエアメガエルの餌やり
人工フードへの切り替え
全長5センチを超えるくらいから、人工フードへの切り替えができます。
まずは、生きたコオロギをピンセットではさんで与えてみましょう。
躊躇なく飛びついてくるなら、コオロギを人工フードに切り替えても飛びつくはずです。
飛びついてこない個体でも、根気よく続ければ反応するようになります。
意外と多いのが、人工フードを口に入れたあと、吐き出してしまう個体です。
どうも味や食感がわかるらしく、時折このような個体がいます。
こういった様子が見られたら、しばらくピンセットでコオロギを与え続けましょう。
ピンセットから落ち着いて食べるようなら、冷凍コオロギに切り替え、その次に人工フードにチャレンジしてみましょう。
人工フードに切り替えなくてはいけないわけではない
ここでは人工フードに切り替える前提で話を進めてきました。
実際、人工フードは最も扱いやすいしコスト面でも優れているため最終的に人工フードに落ち着く飼育者さんが多いと思います。
しかし野生のイエアメガエルは人工フードを食べることはありませんから、生きたコオロギを与えていて特に不便がないのなら、人工フードにならす必要はありません。
なお、7センチを超えた個体には、餌は2~3日おきに1回で大丈夫です。
成長期は過ぎているので、じっくり時間をかけて育てるようにしましょう。
冷凍や乾燥のエサもOK
また、コオロギの生餌は保存が難しいので保存が効く冷凍や乾燥のエサを与えても問題ありません。
ただし、冷凍コオロギや乾燥コオロギは、冷凍や乾燥の過程で栄養素が減少している可能性が高いです。
そのため、冷凍コオロギや乾燥コオロギを与える場合は、人工フードやビタミンのパウダーを振りかけて不足している栄養素を補う必要があります。
ピンクマウスも食べる
大きめのイエアメガエルの中には、小さな魚や小型の爬虫類、哺乳類も食べることがあるため、小さなピンクマウス(ネズミの幼体)を食べることも可能です。
ただし、イエアメガエルにピンクマウスを与える場合は注意が必要です。
ピンクマウスは通常、肉食性の爬虫類や大型の両生類のための餌として利用されます。
イエアメガエルのような比較的小さな両生類には、消化困難を引き起こす可能性があるため、適切なサイズや栄養バランスを考慮する必要があります。
イエアメガエルのエサは虫以外なら何を食べる?
イエアメガエルのエサとして虫以外であればどんなものが良いのでしょうか。
既出ですが、カエル用のペレットなどの人工フードは、栄養バランスが取られているため便利です。
これらは通常、消化が良く、必要な栄養素をバランスよく含んでいます。
また前述のようにピンクマウスを食べますが、それ以外にも小さな魚や小型の爬虫類、哺乳類も食べることがあります。
・・・と言いますか、目の前で動くものがあれば(口に入るサイズであれば)何でも食べてしまうというのが実情です。
サイズの大小がはっきりしている複数の個体を同じケージ内で共生させれば、大きい個体が小さい個体を共食いすることもあります。
食べるなら与えて良いというわけではない。
イエアメガエルは本能的に動くものに反応して捕食行動を起こしますが、それが食べ物であるかどうかを区別する能力は限られています。
イエアメガエルは動くものに対して捕食反応を示すため、動く昆虫や小さな動物に飛びつくことがあります。
しかし、実際に飲み込めるサイズかどうか、また安全に消化できるものかどうかは異なります。
食べるなら、どんなエサを与えてもいいというわけではないのじゃ。
イエアメガエルは大きな口を持っているため、比較的大きな餌も捕食することができますが、大きすぎるものや適切でないものを飲み込むと消化不良や内臓損傷を引き起こす可能性があります。
また、全ての動物が適切な餌であるわけではありません。
そのため、イエアメガエルにはそのサイズと種類に適した生餌や人工フードを与えるのがベストで、無計画にあらゆる動くものを餌として与えることは避けるべきです。
結局、コオロギやミルワームのようなスタンダードな生餌(冷凍や乾燥も可)や、カエル用人工フード等一般的なものを与えるが望ましいのじゃ。
イエアメガエルがエサを食べないのはなぜ?
いつも元気に餌を食べてくれれば良いのですが、なかなか食べてくれないという事もあるでしょう。
エサが動かないから
カエルの特性として、昆虫など動くものは餌として認識しますが、動かないものはエサとして認識しません。
そのため、人工フードはもちろん乾燥コオロギや冷凍コオロギも動かないので置くだけではエサとして認識しません。
動かないものをエサとして与える場合は、ピンセットで捕まえてイエアメガエルの顔のそばで動かして与えましょう。
エサの種類や状態・大きさによるもの
餌が大きすぎる場合は、イエアメガエルは食べません。
イエアメガエルの口に入る、サイズの餌を与えるようにしましょう。
餌がカエルの好みに合わない、餌が新鮮でない餌であることも、食べない原因になります。
また、イエアメガエルは生餌が最も食いつきが良く、それ以外のエサは食いつきが劣ります。
生餌から生餌以外のエサに移行する際は、段階的に進めて行くのが望ましいです。
年齢や体調・環境によるもの
年を取るにつれて、カエルの食欲は自然に減少することがあります。
また、寄生虫感染、消化器系の問題、栄養不良、感染症など、健康問題が食欲を減少させる原因となることがあります。
新しい環境への適応、ケージ内での適切でない条件(温度、湿度の不適切)、他のペットや騒音などによるストレスが原因で食欲不振になることがあります。
また気温が低下すると、イエアメガエルは自然に活動量を減らし、冬眠または休眠に近い状態に入ることがあります。この期間中は、自然に食欲が減少します。
イエアメガエルの餌を与える頻度や量は?【まとめ】
いかがでしたか。
今回はイエアメガエルのエサについて解説しました。
イエアメガエルは樹上性カエルの中でも非常に頑丈で扱いやすい種類です。
神経質ではないため、餌を拒むことが少なく、幼体の時期から積極的に餌を与えてしっかりと成長させることをおすすめします。
成長が一定の大きさに達するとペースが落ちるため、その時期には人工フードへの移行を試み、じっくりと育てていくことが良いでしょう。
長寿であるため、長期間のペットとして楽しむことができます。