ペットとして長い歴史をもつウーパールーパーですので、両生類としては例外的にたくさんの人工飼料が市販されています。
昔よりも粗悪品が少なくなり、どのメーカーの人工飼料を与えてもある程度は育てられます。
生き餌を使うメリットはあまりないのですが、あくまで野生に近い姿を楽しみたい、という場合は生き餌を使うのも一手です。
水面に浮かないタイプで、動きの遅い生き餌なら、基本的には食べてくれるはずです。
個人的には、小さめのザリガニをもっともおすすめしています。
今回は、ウーパールーパーにおすすめの生き餌についてご紹介します。
ウーパールーパーに与える生き餌の条件
ウーパールーパーに与える生餌には、いくつかの条件を満たしていることが大切です。
消化しやすい
まず、消化しやすいことが重要です。
ウーパールーパーは丸飲みする習性があるため、消化しにくいものや硬い骨を持つ生き物は避けるべきです。
柔らかくて体内で分解しやすいものが理想的で、特に粘液が少なく、水に馴染みやすい生餌が適しています。
水質を悪化させにくい
次に、水質を悪化させにくいことも大切です。
水槽内で生餌を放置すると、食べ残しが腐敗しやすく、水の汚れが早まります。
ウーパールーパーは水質の変化に敏感なので、水がすぐに汚れる餌は避けたほうがよいでしょう。水中で安定して生息できるものや、ウーパールーパーが素早く食べきれるサイズのものが望ましいです。
寄生虫や病原菌
また、寄生虫や病原菌のリスクが少ないことも欠かせません。
特に野生で捕獲した生き物は寄生虫を持っている可能性があり、与えるとウーパールーパーの体調を崩す原因になります。
できるだけ養殖されたものを選ぶか、事前にしっかりとトリートメントして、安全性を確認したうえで与えることが大切です。
サイズ
さらに、適度なサイズであることも考慮すべき点です。
ウーパールーパーの口に入りやすいサイズのものを選ぶことで、スムーズに食べることができ、食べ残しや消化不良のリスクを減らせます。大きすぎる場合は適度にカットして与えると安心です。
栄養バランスの考慮
最後に、栄養バランスも考慮する必要があります。
単一の生餌ばかり与えると、特定の栄養素が不足したり、逆に偏った栄養過多になったりすることがあります。
成長段階に合わせて複数の種類をローテーションしながら与えることで、健康的に育てることができます。
ウーパールーパーにおすすめの生き餌4選
ミミズ

ミミズは非常に栄養価が高く、ウーパールーパーの成長に必要なタンパク質を豊富に含んでいます。
特に赤ミミズ(シマミミズ)やドバミミズは食いつきがよく、ウーパールーパーにとって消化しやすい餌です。
ただし、大きな個体を丸ごと与えると食べにくいことがあるので、必要に応じて適度な大きさにカットして与えると良いでしょう。
ミミズを入手するなら、ペットショップよりも釣具屋さんのほうが向いています。
価格も比較的安く、大量に購入できることが多いため、コストパフォーマンスが良いのもメリットです。
また、釣り用のミミズは活きがよく、新鮮な状態で販売されていることが多いので、ウーパールーパーの食いつきも期待できます。
一方、ペットショップでは爬虫類や両生類用に専用の生餌が売られていることもありますが、ミミズを取り扱っている店舗は少なく、取り寄せが必要なこともあります。
また、釣具屋よりも価格が高めに設定されていることが多く、大量に購入するにはあまり向いていません。
直接実物を見れない点と死着のリスクはありますが、通販で良ければアマゾンなどで購入は可能です。

生餌なので心理的に購入しづらいけれどネット通販でも購入は可能じゃ。
もう一つの選択肢として、自宅でミミズを飼育・繁殖させる方法もあります。
赤ミミズは比較的簡単に繁殖できるので、挑戦してみても良いかも知れません。
手間はかかりますが、新鮮なミミズをいつでも与えられるメリットがあります。
そのため、手軽に入手するなら釣具屋さん、安定供給を考えるなら自家繁殖という選択肢も検討すると良いでしょう。
アカムシ
ウーパールーパーにとって赤虫は幼体から成体まで幅広く食べることができる定番の餌です。
見た目がイトミミズに似ていますが、全く別物です。
アカムシはユスリカの幼虫で分類としては昆虫になります。
特に幼体には適しており、栄養価も高く、ウーパールーパーの食欲を刺激します。
冷凍や乾燥タイプも販売されていますが、生の赤虫のほうが食いつきがよい傾向があります。
よって理想としては生餌のアカムシを食べさせてあげたいところですが、冷凍で販売されている方が主流で生餌はなかなか売られている事が少ないというのが現状です。
ただし、水質の悪化を防ぐために食べ残しが出ないように気をつけましょう。


ザリガニの幼体


ウーパールーパーに使う生き餌としては、ザリガニがもっともおすすめです。
危険を察知すれば素早く後ろにジャンプするものの、基本的な動きは遅く、ウーパールーパーでも追いつきやすい動きです。
水槽の底面にいるので、同じく底面で暮らすウーパールーパーが見つけやすく、水面で空気を吸い込んでしまう心配もありません。



ザリガニは動きが遅いので、動きの遅いウーパールーパーでも追いつける!
ザリガニが丈夫な生き物なので、まとめ買いしてもキープが容易です。
ウーパールーパーの嗜好性も高いのですが、注意しなければいけないのは、ザリガニの大きさです。
ウーパールーパーは口は大きいのですが消化力は弱く、あまり大きすぎるザリガニは詰まってしまいます。
ウーパールーパーの両目の幅よりも小さなザリガニ(幼体)を使いましょう。
ハサミを取っておくとより安心です。



ザリガニの大きさには注意!
またハサミを取っておくと食べやすいです。
また、ザリガニを食べると水が汚れやすいので、水質にも気を遣うようにしましょう。
エビ


ウーパールーパーにエビを生餌として与えることはできるのでしょうか?
熱帯魚屋さんに行くと、コケとり用や餌用にヤマトヌマエビやミナミヌマエビが売られています。
ザリガニよりも小型で殻が薄いため消化しやすいメリットがあります。
ザリガニと同じく、ウーパールーパーに好まれる生き餌ですが、ザリガニよりも動きが速いので食べ損ねるケースが多いようです。
ザリガニと違って、食べ残したものがウーパールーパーにいたずらするようなこともないので、多めに水槽内に入れておいてコケを食べてもらいつつウーパールーパーに食べさせ、エビが減ったら補充する、というような方法でもいいでしょう。
ただし、どの生き餌でもそうですがあまり長く入れっぱなしにすると餌として認識しなくなります。


ウーパールーパーの生き餌NG編4選【ダメ!絶対】
メダカ


おすすめの生き餌と言いたいところですが、実はあまりおすすめではありません。
食べるには食べるのですが・・・。
おすすめしない最大の理由は、ウーパールーパーが追い付かないからです。
メダカは水面付近を泳ぐ傾向が強いうえに動きが素早く、底面をゆっくり歩きまわるウーパールーパーには捕まえにくい獲物といえます。
水槽という限られたスペースなので、そのうち疲れてしまったメダカから食べられていきますが、見ていてイライラするほど捕まえるのがへたくそです。
餌として食べないのならウーパールーパーとメダカの混泳ができるのではないかと思われるかも知れませんがこれも微妙です笑


今回はウーパールーパーにメダカを生餌として与えることについて解説していましたが、同様の理由で、金魚もあまりおすすめではありません。
昆虫類


メダカや金魚以上におすすめしないのは昆虫類です。
こちらもウーパールーパーが食べるには食べます。
餌用に販売される昆虫は主にコオロギとミルワームですが、水面に浮いてしまうためウーパールーパーが気付きにくく、食べる際に空気を吸い込む危険性もあります。
ミルワームはしばらくすると沈みますが、沈むころには瀕死の状態で、生き餌としての意味があまりありません。
もともと、野生のウーパールーパーも水面に落ちた虫はあまり食べないので、あえて昆虫を使う必要はないでしょう。
どうしてもという場合は、ウーパールーパーにコオロギをピンセットで掴んだ動かせば食べてくれます。


ドジョウ


ドジョウは細長くてウーパールーパーの口に入りそうですが、与えるのは危険です。
ドジョウの体表にはヌルヌルした粘液があり、これがウーパールーパーの消化を妨げることがあります。
また、ドジョウは比較的硬いヒレや骨を持っているため、飲み込んだ後に喉や内臓を傷つける可能性があります。
さらに、ペットショップや釣具屋で販売されているドジョウは寄生虫や病気を持っていることがあるため、十分なトリートメントをしないとウーパールーパーが感染症にかかるリスクも高くなります。
また生餌にならないのならウーパールーパーとドジョウの混泳ならできるのでは?と思われるかも知れませんがこちらもおすすめできません。
詳細については以下の記事を参照してください。


カエルやオタマジャクシ
野生のカエルやオタマジャクシは寄生虫や病原菌を持っている可能性が高いため、ウーパールーパーに与えるのは非常に危険です。
また、日本に生息するオタマジャクシの中には「ヒキガエル」など毒を持っている種類もいます。


これらをウーパールーパーが食べてしまうと、中毒症状を引き起こし、最悪の場合死に至ることもあります。
さらに、カエルやオタマジャクシは動きが素早く、ウーパールーパーがうまく捕まえられずにストレスを感じることもあります。
そのため、これらを生餌として利用するのは避けるべきです。
成長段階別のおすすめの生き餌
ウーパールーパーの成長段階に応じて向いている生餌は異なりますので以下も参考にしてください。
幼体


ブラインシュリンプ
ウーパールーパーの幼体は体が小さく、消化機能もまだ発達していないため、口に入りやすくて柔らかく、栄養価の高い生餌が適しています。
特にブラインシュリンプは定番で、孵化直後のウーパールーパーが無理なく食べられるサイズです。
ブラインシュリンプは高タンパクで消化しやすく、成長に必要な栄養素をしっかりと補給できます。
ただし、成長するにつれて栄養が不足しがちになるので、赤虫などの少し大きめの生餌も徐々に取り入れると良いでしょう。
赤虫は水中に漂うため、泳ぎながら摂取しやすく、食いつきも抜群です。
成体
成長したウーパールーパーには、より大きなサイズの生餌を与えることができます。
ミミズ(特に赤ミミズ)は消化しやすく、高タンパクで栄養バランスも良いため、成体にとって最適な生餌の一つです。
ミミズをそのまま丸ごと与えると食べづらい場合があるので、適度な長さにカットしてあげるとスムーズに食べられます。
前述であまりおすすめできないとはしていますが、メダカなどの小魚も、動くことで捕食本能を刺激し、自然な食事体験を提供できます。
ただし、寄生虫のリスクを避けるために、健康な個体を選び、導入前にトリートメントを行うことが大切です。
スジエビやヌマエビのような小型の甲殻類も成体には適しており、カルシウム補給にも役立ちますが、硬い殻を持つものは食べにくい場合があるので注意が必要です。
シニア
高齢になったウーパールーパーは、若い頃に比べて消化能力が落ちるため、柔らかくて消化しやすい生餌を選ぶことが重要になります。
ミミズは成体と同様に優れた栄養源ですが、より柔らかい赤ミミズを中心に与えると負担が少なくなります。
赤虫もシニアのウーパールーパーには適しており、口に入りやすく、消化にも良いため、定期的に与えると良いでしょう。
ただし、食欲が落ちる傾向があるため、食べ残しが出ないように量を調整しながら与えることが大切です。
また、あまり動きの速い生餌は捕まえにくくなるため、活きた小魚よりも、少し弱ったものや動きの遅い生き物のほうが食べやすくなります。
さらに、栄養を補う目的で少しふやかした人工飼料を組み合わせるのも良い方法です。
ウーパールーパーの成長段階に応じて適切な生餌を選び、健康を維持しながら育てることが大切です。
ウーパールーパーにおすすめの生き餌!【まとめ】
冒頭に書いた通り、基本的には人工飼料だけで飼育できる生き物なので、生き餌を食べる姿が見たい、という場合を除いてあまり生き餌を使う必要はありません。
もし使うのなら、小さめのザリガニを少量与えてみるといいでしょう。
確かに、獲物を襲うウーパールーパーの姿は野趣にあふれてかっこいいものではあります。